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七番目の殺人  作者: 金帽子


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第五話 奥の部屋へ

ヨウスケが最初に俺に声をかけた。


「ツバサさん、何か見つけたんですか?」

「うん。最初メモ、あれは皆のノートの切れ端だった。さっき部屋を捜索した時に、全員のノートの種類は同じ事を確認した。それで、全員のノートを見れば誰かしらのノートに切った跡があるんじゃないかって。それで、ユカのノートにその痕跡を見つけた」


えっ、なんで、という声が周囲から飛び交った。いの一番にユカは焦って声をかけてきた。


「待って、私のじゃない!」

「待ってほしいのはこっちの台詞だよ。俺だってまだ、ユカが犯人だと思っているわけじゃない。ただ、痕跡は確かにユカのノートから見つかったんだ。それは紛れもない事実だ」


コウヘイがパッと立ち上がった。


「痕跡見つかったのは、本当にユカのノートなのか?」

「うん、間違いない」


皆で、ユカの部屋のノートを見た。そこには、さっき確認した痕跡が確かにあった。周りからまたしても、なんで、という声が飛び交った。


「ユカ、説明してほしい」

「説明してほしいも何も、本当に私じゃない。誰かがすり替えたのよ!」

「俺もユカではないと思うけどな」


コウヘイが横槍を入れてきた。


「俺だって、あれだけで犯人だって言っているわけじゃない。ノートに痕跡があったのは、紛れもない事実なんだ」

「僕も違うと思います」

「私も違うんじゃないかなぁと思うよ」


ヨウスケとタカシも揃いも揃ってユカを擁護する。

惚れてるのか?と思うくらい、三人はユカを守ろうとしている。だが、それにしても妙だった。ここに閉じ込められてまだ二日目だ。普通なら、誰か一人に疑いが向けば、もっと疑心暗鬼になってもおかしくない。なのに、三人はまるでユカが犯人ではないことを最初から知っているかのようだった。一体、なぜここまでユカを庇うのだ?


ブツッ


(皆さん、午後九時になりました。本日は部屋にお戻りください。尚、通常と同じく部屋に戻った際は内側から必ず鍵をかけるようにしてください)


タイミング悪く、アナウンスが流れた。


「戻りましょ」


ユカがそう冷たく言うと、皆は足早に部屋へ戻った。俺も続いて、部屋へ戻った。



鍵を掛け、今日は早めに寝ようとしていたところ、


シューッ


ドアの隙間から何かが投げ込まれた音がして、それはベッドの足に直撃した。なんだと思って、見てみるとそれはどこかの部屋の鍵だった。外に誰かいるかもしれないと思い、バッとドアを開けたが時すでに遅く廊下には誰もいなかった。

誰が何のために鍵をよこしたのか。そこで、俺は一つ気になっていた事を思い出した。


(ゲンジさんは侵入禁止の部屋に入ろうと試みたため亡くなりました)


ハッとした。

あのアナウンスは、もしかしたら全てが事実ではないのではないか。

なぜなら、俺は初日に一度入ろうとしてじゃないか。にも関わらず、俺は生きている。

ただ、俺が入ろうとした時には何も起きなかった。ゲンジは死んだ。この違いは何だ?

だとしたら、この鍵はあの部屋へ入れと言うメッセージなのかもしれない。

だが、誰にも見られていない時ではないといけない。きっと入ろうとする俺を他の人達が止めるだろう。もし明日、何か起きてバラバラに行動するタイミングさえあれば……

そうして、多くの疑問を残したまま、二日目が終わった。


ーー翌朝


また今日も誰かしらの被害が出ているのだろうか。事件の全貌が全く見えない。この密室、そしてゲンジの死体。


しかし、一つ言える事がある。こいつらは何かを俺に隠している。昨日のユカへの執拗な擁護がきっとそうだろう。

九時になり広場へ向かうと、皆がいない。

どこへ行ったと、後ろを振り返ると一番の部屋が空いていた。慌てて一番の部屋へ俺も走る。


そこにいたのは、ヨウスケ、サキ、タカシだけであった。


「こんなとこで何してんだお前ら」


部屋のベッドで寝ているユカの側で、焦りと悲壮感漂う様子で皆が佇んでいた。


「ツバサさん、次はユカが死んでるんだ」


ヨウスケが声を振るわせながら、そう告げるのだった。

三日目の被害者にユカが選ばれたようであった。


「そうか……」

「そうか?もっとないのか?人が死んでるんだぞ」


タカシが俺を見た事ない形相で責め立てる。

だが、それよりもお前達の焦り方の方がよっぽど目立っている。

ゲンジの時と大違いだ。あの時は皆、ただ驚いてるだけだったのに、ユカの時はまるで予定外だ、と言わんばかりの焦り方をしている。まるで、本来ならユカは死ぬはずではなかったような。


「あ、あぁすまん。こうも立て続けに人が死ぬとなると感情が追いつかなくてさ」


冷たくなって、人の死に驚かないのではない。事態の急転に感情が追いつかないのだ。

ここに来て初めてコウヘイが姿を消した。皆はユカのベッドから動きそうにない。これは好機である。

昨晩の鍵はきっと、あの部屋を開けるための物だ。

そう確信し、ゆっくりと向かった。


「ふぅ……よし」


扉の前で深呼吸をして、鍵を穴に差し込んで回した。


「ダメぇ!!!!」


と、遠くでサキの声が聞こえたが俺は急いで扉を閉めて内側から鍵を掛けた。


中は薄暗く、照らされていて足元がギリギリ見えるくらいだった。廊下の少し先に、更に扉があるのが見えた。俺は、息を殺してゆっくりと扉の前まで歩いた。


昨日のユカの言っていたことが本当なら、この部屋の奥にはきっとコウヘイがいる。もしかしたら、犯人と一緒にいるかもしれない。そう思って扉を中が見えるように少しだけ開けた。


ーー中には、コウヘイがただ一人いた。だだっ広い空間で体のサイズを遥かに超える一つの大きなモニターと操作パネルの様な物を触っている。

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