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六十歳、追放されましたが遅すぎることはありません 〜家族に捨てられた私を覚えていたのは、あの子だけでした〜  作者: snow☆rabbit


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第1話 私はもう、いらないと言われた日

味噌汁の湯気が、ゆらゆらと揺れていた。


 それを見ているのは、私だけだった。


 「いただきます」


 誰ともなく言って、箸が動く。


 テレビの音だけが、やけに大きく響く食卓。


 それが、いつもの夜だった。


 「……ちょっと味、濃くないですか?」


 美咲さんの声はやわらかい。


 責めるでもなく、ただ事実を置くように。


 「ああ……ごめんなさい」


 本当は、いつもと同じはずだった。


 でも、そう言われれば、そうなのだと思うしかない。


 隣で、小春が静かに食べている。


 何も言わない。


 でも、残さない。


 その姿だけが、救いだった。


 「母さん、ちょっと話があるんだけど」


 修一の声で、空気が変わる。


 視線は合わない。


 「今のままだと、ちょっと厳しくてさ」


 何が、とは言わない。


 でも、わかる。


 「施設とか、考えてもいいんじゃないかって」


 時間が、止まる。


 すでに決まっていた話。


 知らなかったのは、自分だけ。


 「……そう」


 それだけしか言えなかった。


 気づく。


 ——私はもう、いなくてもいいのだと。


 湯気は、もう消えていた。


 「ごちそうさま」


 小春の声だけが、静かに残った。


 ——私は、いらないのだと知った。

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