第24話 止まらない犠牲
ローユンと掲示板の前に行った。
個室で時間が過ぎていたため、冒険者の数が減っていた。
「どれにするんだい?」
ムーチーは少し悩んだ後に2つのクエストを選んだ。
・Gランク
内容:荷馬車の荷の積み下ろし
報酬:銅貨2枚
・Gランク
内容:地図の下水の掃除
報酬:銅貨5枚
「この2つですかね?」
ローユンはビックリした。
「フランクに上がったんだから、わざわざそんなの取らなくてもよくない?」
ムーチーは苦笑いをして答えた。
「でも、誰かがしないと困るじゃないですか!」
ローユンは呆れた顔をしながら言った。
「優しいというか、損な性格だな……。」
「なんでですか?困ってる人がいるじゃないですか……。それにお金は今日たくさん貰っちゃったので困らないです。あとは取られないように、大事に使わないと!」
ムーチーは報酬で貰った小さな袋を大事そうに抱えて辺りを見渡した。
「逆に怪しいぞ?不安ならギルドか商人に預けるか……、うちの宿に前金払ってくれてもいいんだぞ?」
『預けるのありだな……。』
ムーチーが真剣に受付を見ているからローユンは思わず笑った。
「そんな真剣に考えるくらい貰ったのか?でも預けると利息取られるぞ?」
「り、そく?」
初めて聞く言葉にムーチーは目を丸くしてローユンの言葉をオウム返しした。
「あははっ、クエスト受注するときに聞いてみな?それともその貧弱な装備を買い換えたらいいじゃないか!」
ローユンに言われて自分の体を見下ろした。
『確かに初期装備のままだ!』
◆◇
ムーチーが納得した顔をするとローユンは付け加えた。
「これは公けじゃないが、初期装備はギルドが安く買い取ってくれるぞ?」
「えっ?これただで貰いましたけど……?」
ローユンはウインクした。
「素人職人が試作品で売れないやつをギルドに安く卸しているんだ。新人の数は多いからギルドも困らないのさ!」
ローユンはムーチーの背中を叩いて言った。
「ほら、ルルのところに行くぞ!」
ムーチーは言われるがまま受付に向かった。
「この2つ受けます。」
ルルは内容を見てびっくりした。
「ははっ、面白いだろ?」
ローユンはルルの反応を含めて笑った。
「ムー君、他のもあるけどいいの?」
「はい、大丈夫です!それより、いくつかお聞きしたいんですけど……?」
ルルはローユンの顔を見た。
「なんで私見るんだよ!」
と言いつつ、ルルに顔を近づけて小声で伝えた。
「報酬が多いから貯金を説明して。あと、初期防具を明日にでも売るわ!」
「貯金と……、えっ?ローユンさんっ!」
ルルは眉間に皺を寄せてローユンを見た。
「ははっ、いいじゃないか!まだ今日が2日目だ。」
ルルは驚いて大きな声を出した。
「そんな抜け道まだ覚えていたんですか!?」
ルルは急いで手で口を覆った。遠くからサブマスがルルを睨みつけている。
そんなことはつゆ知らず、やれやれと首を横に振った。
「まぁ、確かに今でもたまに居ますけど……。」
少し考えて、口に出した。
「ムー君、あまり人に言わないでくださいね?お古使いたくないって文句が来ちゃうから!」
ムーチーはなるほどと頷いた。
「大丈夫だって、今日宿で洗って明日渡せるようにしとくよ!」
ローユンは得意げにグッドポーズを2人にした。
ルルは苦笑いした。
「では、貯金ですね。基本的に入れたお金の両替、保管目的になるのでそのたびにお金が発生します。」
「金額はギルドカードに書かれるのですが、他の人には見られません。くらいですかね?」
何故かルルはローユンの方を見た。
「大方合ってんじゃないの?まぁ、今日は防具と武器買いに行くから!」
ローユンはそう言うとルルに手を振って受付を後にした。
「ムー、荷馬車の積み下ろし行ってから宿に帰っといで。自慢の武器屋に連れてってあげよう!」
ローユンはニヤッとして宿に向かって歩いて行った。
「呆気に取られたよ……。荷馬車の場所に向かおう!」
宿とは反対方面へ歩いて行った。
◆◇◆◇
大きな商店が大通り沿いにあった。
「すみませーん、冒険者のクエストで来ました!」
大量の荷物と荷馬車が3台あった。
「あれ……、君1人かい?」
ムーチーは頷いた。
「そうか、注文を間違えてね……。その、3倍なんだ。」
商人は申し訳なさそうに頭を掻いた。
「ギルドに確認取らないと分かんないです……。」
ムーチーは初めてのことに戸惑った。
「あぁ、待って下さい。追加のクエストで銅貨6枚追加するので受けてくれませんか?」
『困ってそうだな……。』
「分かりました。」
ムーチーは追加依頼を受けた。
「はい、商店の小切手をギルド充てに書いたから報告してくれたらいいよ。助かる~。」
商人はホッと胸を撫でおろして作業に取り掛かった。
『内容的にはラットンさんのお手伝いと同じだから力仕事なだけで簡単だ!』
ムーチーは慣れた手つきで進めるが、商人は慣れていないのか度々ムーチーへの支持が止まってしまっていたが、それ以外は順調だった。
「ありがとう。これで最後だ……、一時はどうなるかと思ったよ!お礼にこれもあげよう。きっといろんなところで役に立つよ?」
個々の商店のワッペンを貰った。
「ありがとうございます。」
お礼を言って商店を後にして宿に帰った。
◆◇◆◇◆◇
「ムー、遅かったじゃないか!ご飯食べるぞ。」
ローユンが宿の受付で待ちくたびれていた。
ナオハがすぐにお昼ご飯を準備して3人で食べた。ムーチーは遅れた理由を説明しながら。
「で、成り行きで数が増えてお詫びに小切手とこれ貰ったんです。」
商店のワッペンを見せた。
「おっ、それはレアだな。どの国でも使えるぞ?」
ローユンは色違いのワッペンを受付から取り出した。
「僕のが黄色でローユンさんのが赤色?」
「そう、黄・青・赤の順番で割引してくれたり優先してくれるんだ。」
ローユンは説明してくれた。
『ローユンさんは赤で一番凄いやつなんだ……。』
当然のごとく凄いところを当たり前のように伝えてくれる。
「さぁ、武器や行くよ。」
ローユンさんに連れられた武器屋は狭い路地にある、小さな武器屋だった。
『うん、ローユンさんだから何か理由があるはずだ。』
ムーチーは規格外のローユンを知ったため、目の前の店に驚いていた。
「ラッツー、客だよー!」
中に入ると薄暗くて仲が良く見えないが、人はいなさそうだ。
「ついて来て。よっと!」
ローユンは立ち入り禁止と書かれた奥の扉を開けた。
すると、凄い熱気が押し寄せて来た。
『凄い……。』
ムーチーが驚いたのは店の3倍はある工房と、ガラス張りで様々な武器や武具が並べられていた。
「ラッツー!客だってばー。」
「ちょっと待ってー。」
ムーチーは熱気の中、ガラス張りの向こうにある武器を見ていた。
『凄い、こんなに一杯。』
「お待たせ。」
振り返るとムーチーの身長よりはるかに大きい、2.5mのリザードマンだった。
ムーチーは状況生理が出来なかった。
「珍しいねローユン。もう冒険者もやってないんだろ?」
「今日はこの宿の太客の武器と武具を見繕って欲しい。ムーだ。」
「ランビッツだ。気軽にラッツーと呼んでくれ。よろしくムー!」
ムーチーは驚いて固まっていた。
「この反応久しぶりだなぁ。よっこいしょ。」
ラッツーはムーチーを片手で持ち上げ、ガラス張りの奥へ連れて行った。
「金額はこれ以内で。」
ローユンが勝手に話を進める。
「武器はロングソードと短剣かな?防具は動きやすさ重視。職業はテイマーだ。」
「テイマーなんか久しぶりに聞いたな。寸法を測って、明日には渡せるよ。」
「じゃあまた明日ー!」
ムーチーは一言も話さず武器屋を後にした。
「じゃあ、タッコルのところ行っといで。」
ローユンは何事もなかったかのように別れた。
武具は寸法を測られるときにちゃっかり脱がされてローユンの腕の中にあった。
『なんかよく分かんないうちに終わってしまった……。』
武器屋の情報を整理していると、あっという間にギルマス部屋まで着いた。
「ムーチーです、入ります。」
「あぁ、早かったですね。まずこちらから報告が、騎士団が調査の移動中にもう1つの村の被害が確認された。」
ギルマスの机の上にはユウラの鳥がいた。
先程報告があったのだろう。




