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人がモンスターになる??  作者: 愚者B
第2章 テイマーの役目

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第18話 従魔契約


「よしっ、契約終了!」

 静まり返ったギルマスの部屋でルルはハートの従魔契約が終わったことを奉告した。


 しかしギルマスが口を開かない。

 ルルはギルマスを見るとクエストの紙を書いていた。


『いや、気まずすぎでしょ!ムー君も困ってるよ……。』

 

 するといきなり扉が開いた。ルルとムーチーはびっくりして扉を凝視した。

「お待ちどーさん!」

 

 声の主はクライシスだった。


「遅いぞ!おかげで変な空気になってたぞ。」

『あっ、ギルマスも気まずかったんだ。』


 ルルとムーチーは顔を見合わせて思わず、くすりと笑った。


「仕方ないじゃないか。そんなこと言うなら調べた結果黙ってるぞ?」


 クライシスは物ありげに話した。

「もったいぶらず報告!待ってたんだ、それなりの結果だったんだろうな?」


 ギルマスの問いににやりとし、両手を腰に当て得意げに答えた。

「もちろんじゃないか!おっと、肝心の蝙蝠はいるかい?」


 ムーチーを見たが手ぶらだった。クライシスが首を傾げるとルルが声を掛けた。

「クースさん、こちらですよ!先程まで従魔登録してたので。」

 

 ルルが端の席にいたので気付かなかったのだ。

「ルルじゃないか!そちらに行く。」


 クライシスは端の席へ行き、鳥かごの布を取った。

「テイマーの情報が少なくて部下に書庫を漁らせていたんだが、テイムには力量かお互いが尊重し合えたら契約できる。ここが他の従魔との大きな違いだよ。」

「そして、契約に必要なのが……。契約者の血なんだ!」


『ん?僕の血?』


「おいっ!そんな報告受けてないぞ?」

 ギルマスがクライシスを睨んだ。


「ちゃんと伝えただろ?蝙蝠だから血が主食だったって!」


 ギルマスは大きなため息とともに右手を額に当てた。

「頭が痛い、本人も驚いてるではないか!」


 ルルがムーチーを見ると口をあんぐりと空けて固まっていた。

 

 ◆◇


「いやぁ、本人にはいってないっすよ?調査のためって多めに血を抜いてあげてただけで……、ムーの血しか飲まないから仕方ないでしょ!」

 話を聞くにつれ、ギルマスの目は段々と鋭くなった。それにつられてクライシスはあわただしく答えていた。


「テイムのスキルレベルとテイム数は?」


「すんません、そればっかりは分かんないです。」

 クライシスはけろっと答えた。思ったことは内心で押しとどめた。

 

『分からんものは仕方がない。』


「それはおいおい少年にも協力してもらわなくてはな。で、クース。直接言いたいこととはなんだ?」


 クライシスは待ってましたとばかりに目を輝かせた。

「ムーが職業選択の紙を見て、ちょっと調べてみたんです。不確かなんですけどムーがモンスター化しない可能性、テイマーなんじゃないかと!」


「はぁ?」

 ギルマスが予想外のことに素っ頓狂な声を出した。


「問題は今日テイマーではなく、剣士を選んでいたら……。僕も予想がつかない。」

 お手上げとばかりに両手を挙げた。


「クースさん?あくまで予想ですよね?」

 ムーチーは信じられないとばかりに聞いた。


「あぁ、だが2つの村にはテイマーはいないだろ?」


『確かに……。聞いたこともない職業だったから。』

 

「一理あるか……。少年、ここに呼んだ理由だが明日より個人指名で依頼をこなして欲しい。」

 とギルマスは先程書いたクエストの紙を渡して来た。


 ・Fランク

 内容:シンク村、キョクタ村周辺の薬草採取

 報酬:銅貨2枚~

 条件:騎士団2名の護衛付き


「これって……。」

 ムーチーは驚いていた。現在2つの村周辺は立ち入り禁止だ。


「護衛はもし元村人がいた際に捕獲できるオーウェドと、モンスターを操れる可能性があるユウラだ。」

 予想外の依頼だった。

 

 ◆◇◆◇


「理由は2つ。少年が唯一村人の特徴を知っている。後は、蝙蝠だ。」

 ムーチーはハートを見た。


「こんな特殊な蝙蝠は人目に付く。森へ入るまで鳥かごの中。誰にも見られるな!それが従魔の条件だ。」


 ムーチーは頷いた。

『確かに目立つよな……。』


「僕からはこれだ。とりあえず試すよ!」

 剃刀の刃と軟膏、器を取り出した。


 ムーチーの左手、小指の腹を器の上で軽く切った。器に血が溜まっていく。

「こうやって指先を切って、この器の線まで入れれば蝙蝠ちゃんは飲んでくれるよ。終わったら心臓より高い位置に手を挙げて、軟膏を塗ればすぐ血が止まるよ。」


 軟膏を塗るとすぐに血が止まった。

『すごい……。こんな薬があるなんて!』


 ムーチーは驚いていた。

 

「1日1回、夜にあげれば大丈夫だよ。」


 説明が終わるのを待っている間、ギルマスはまたクエストの紙を書いていた。


「少年、もう1つのクエストだ。」


 ・F~Bランク

 内容①:元村人の発見

 報酬①:銅貨5枚~

 

 内容②:元村人の捕獲

 報酬②:銀貨1枚~


「見つかったらの話だ。動物やモンスターにより変動。報酬は最低額だ。」


『こんなに貰えるの?そもそも、Gランクですけど……。』


「明日から調査で騎士団の宿舎に9時で話がついている。帰り、ルルに薬草採取の本を貰うように。」


「ムー君、じゃあ行こっか。」


「僕も行くー!『ギルマスから逃げないとヤバい!』」


「クース……。」


「あっ、はい……。」


『クースさん、説教かな?』

 ムーチーは何となく察したがルルとこの場を離れることに感謝し、受付に戻った。

 

「じゃあ。まずは初のクエスト達成おめでとう!」


 2つのクエストの報酬、銅貨3枚と手のひらサイズの本が置かれた。

「これって、さっきギルマスが話してたやつですか?」


「そう、冒険者は基本皆持ってるよ。薬草採取のクエストの時に渡されるんだ!」

 中を見てみると左ページに薬草の形、右側に簡単な説明と採取方法。最後には目安の報酬額が書かれていた。


「見て覚えていくといいよ。騎士団の2人もいるし、目安の報酬は時期とか採取状況で変動もあるし、3本セットとか条件もあるよ。」


「ありがとうございます、帰って早速読んでみます。」

 

 ルルに手を振ってギルドを後にした。

 

 ◆◇◆◇◆◇


 宿に帰るとハートとお金を机に置いて、ご飯を食べに降りた。


「おかえり、ムーチー君。ご飯食べる?」

「はいっ、お願いします!」


 するとローユンは受付の後ろにある窓を開けた。

「ご飯2人分~。私も食べる。」

 

 すると、窓の奥からの可愛い声が聞こえた。

「はぁ~い!」


「すぐ出来るからそこの開いてる席に座って待っていて!」


(受付の後ろに厨房あったんだ、しかも可愛いというより幼い声だったな……。)


 と少し気になったが、聞くほどでもなかったので薬草採取の本を開いて読みだした。


「はい、前座るよ。」

 ご飯と一緒にローユンも座った。本を読んでいたから自分の世界に入っていて状況が読めなかった。


「なんだい、いいだろ?ナオハもおいで!」


 すると厨房から猫耳の小さな子が出て来た。

「お邪魔します。ナオハです。」


「彼がラットンさんから紹介の新人冒険者、今日から泊まるムーチー君だ。」


『僕と同じくらい?若いよね?』

 ムーチーはぺこりと会釈した。声を出すと思ったことを口に出しそうだったのだ。


「薬草の本かい?てことは明日から薬草採取か、どこに行くんだい?」


 ムーチーは周りに誰もいないのを確認してから伝えた。


「あの、内緒にできます?」


「そりゃーお客さんの信頼第一だからね!あと行く場所によっては直接買うからお願いしたいくらいだ。」


 横のナオハも頷いた。

「ナオハはずっと厨房で働いているし、ここで寝泊まりしてるから安心していいよ。」


「立ち入り禁止のシンク村とキョクタ村の方です。」


 ローユンは話を聞いて納得した。

「あぁ、ラットンさんからあそこの出身って聞いているよ。じゃあご飯食べよう。後で欲しい奴の現物見せるからもしよかったらよろしく!」


『いい人だな、ありがとう。ラットンさん……。』

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