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人がモンスターになる??  作者: 愚者B
第2章 テイマーの役目

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第16話 冒険者登録


 ムーチーは職業選択の紙を右手に握り締めて、ギルドの扉の手前で立ち止まった。


「教会で職業選択を受けて、冒険者登録する人はこっちにならんでくださぁーいっ!」

 ルルが必死に叫んでいた。


『ギルドも、ルルさんも大変そうだな……。クースさんに呼ばれてるから裏口から回ろう。』


 ムーチーはきびすを返し、裏口へ向かって歩き出した。丁度そのタイミングでルルがムーチーを見つけた。

『あちゃ~、タイミングが悪かったか……。このチビ達がいるからゆっくり話もできないんだけどね。』


 とルルは苦笑いしながら喧嘩をし出した新人冒険者の仲裁に入った。

「ここで喧嘩するなら列から抜けてもらうよ?」


 仲裁と言えるのか?若干イライラしつつ、脅し半分で言うと2人はしぶしぶと諦めた。

 

 そんなこともつゆ知らず、ムーチーはギルドの裏にある研究所に着いた。

「クースさーん、戻りましたよー。」


 扉を開けると、待っていましたと作業を止めて猛ダッシュで駆け寄ってきた。


「どうだった?戦闘職になれたかい?」


 その問いにムーチーは黙って職業選択の紙を渡した。


「見ていいのかい?」


 ムーチーは心にこう思いながら、頷いた。

『この1ヶ月、お世話になっていたからね。』


 クライシスは紙を広げて目を丸くした。

「なんだってぇ~??」


『今まで聞いたクースさんの声で一番大きい……。』

 と思わず耳に両手を当てた。


 他の研究員も気になっていたのか、ムーチーが帰って来てからソワソワしていたが、クライシスの驚いた声で手が離せない人以外全員クライシスのところへ集まった。


「所長、そんなに驚いたら我慢できないじゃないですか……。」

 苦笑いしながら副所長のラムファーが言いながら来た。


「ムー君、どんなサプライズを用意してくれたんだい?」

 クライシスが固まったままで、紙を覗くのは違うと思ったから直接聞いた。

 

 ◆◇


「えっと、皆さんも見た方が速いかと……。」


 クライシスから紙を奪い、順番に回っていった。

 手にしたものから驚き、固まり、次の人に取られる。の繰り返しだった。


 紙が後半まで回った辺りで正気に戻ったクライシスがムーチーを見て聞いた。


「剣士の選択肢があったのにいいのかい?誰も選ばないような職業だけど……。」

「所長、直球すぎでしょ。でも、意外だな。何があったんだい?」

 

「直観というか、村の皆の事を思えば自然と違和感がなかったんです。」


 ムーチーは正直に答えた。

「そうか。ま、本人が選んだんだ。深く繊細しないよ。」


「ラムファーさん、ありがとうございます。」


「あ”ぁー、もしかして!」

 クライシスが何かを思い所長室へ走っていった。


「どうしたんだろうね?」

 ラムファーは不思議そうにムーチーの横に立ち、走り去るクライシスを見ていた。


 バタバタと帰ってきた右手には注射器が……。


「所長?今度は何企んでるんです?」


「企むぅ?人聞きが悪い。可能性の問題だよ!ムー、血をくれ。」


 と、返事を待たず、ムーチーを座らせ、血を抜いた。

『いつもより多いんですけど?』

 

 ムーチーは思ったが口に出さなかった。


「所長がここに呼んだ本来の理由はギルドの前の列見たでしょ?毎度恒例で並ぶから時間の無駄だから気を使ってたんだよ。」


 クライシスは聞いていない振りをして所長室へ帰って行った。


 最終的に職業選択の紙はムーチーの手元に帰ってきた。

 

 ◆◇◆◇


「ムー君、恒例の検査をさせて欲しい。午前中で終わるだろう。」


 2つの村の探索が終わってからの好例だ。モンスター化の傾向が無いか、それに対する抗体がないか?を調べている。

 待っている間は可能な限り筋トレなどをして、常に鍛えているからムーチーとしては問題ない。


『むしろ、何か解決策が見つかればいいのに……。』といつも通り思っている。

 日もすっかり昇り、検査が終わったころ。

 

「よーし、ご飯だー!」

 元気よく所長室からクライシスが出て来た。


『今日は籠らなかったな。』

 何かに没頭するとご飯のことなど忘れてしまうのだ。


 ラムファーは休憩室へ行き、愛妻弁当を食べだしていた。所長か副所長、どちらかが所内に残らないと非常時に動けないからだ。


 クライシスと食堂へ行き、ご飯を食べていた。

「テイマーでも冒険者登録する?」


 クライシスは剣士を選ばなかったから気にしていた。

「はい、テイマーでも冒険者登録はします。薬草採取とかは出来るので。」


「そっか。でも、冒険者になってもギルマスの言いつけは守って週1は研究所だね。」


『みんなが粘ってくれなければ毎日になっていた……。それに皆も心配だから問題ないけど。』

 と頷きながら心の底でお礼を言った。


「宿は大丈夫かい?ギルドの宿舎今日までじゃなかったっけ?」


「それは大丈夫です。商人のラットンさんに紹介してもらいました。」

 そう、ラットンはキョクタ村からルシャまで送ってくれた商人だ。

 

『調査が終わった次の日、宿に向かうとまだいたから話すと今日から1週間分を前金で払ってくれたんだよね。個人依頼が条件だったけど。』


「そうか、彼なら安心だな。」

 と話しているうちにまたまた豪華なご飯を食べ終わった。


「おばさん、ありがとうございました。いつも美味しかったです。」

 今日の豪華なご飯と日頃の感謝を込めてお礼を言った。


「いいよ、ご飯に困ったらいつでもおいで。格安で食べさせてあげるから!」

 と涙目になりながらウインクをしてくれた。


「じゃあ、受付に行こうか。」


 ◆◇◆◇◆◇


 受付に行くとガラガラだった。

『朝のあれは収まったんだ。』


「ムー君!こっち、こっち!」

 朝の影響か疲れ切ったルルが手招きをしていた。


「やっぱり冒険者になるんだね。職業選択の紙を貰うね!」

 と言われ、紙を渡した。


 案の定固まるルル。その顔をみてクライシスがお腹を抱えて爆笑していた。

「あはっ!おもしろぉ~。」


「クースさんも似たような顔でしたよ。」

 ムーチーはルルのためにフォローを入れた。


「ムー君、テイマーってこのギルドで1人も登録してないよ?何なら世界でも数人だよ?」


「大丈夫です。剣士じゃなくても日頃から訓練しているから。それに今はモンスターの討伐依頼もできない状態だから……。」

 掲示板の討伐クエストはSランクのクエストがぽつぽつ残っているだけだった。


「分かった、登録するね。」


 ――――

 名前:ムーチー

 年齢:15歳

 職業:テイマー

 ランク:G


 スキルレベル:剣術1、体術1、テイム1

 ――――


「はい、これで立派な冒険者の一員だよ。最低ランクのGランクだから1つ上のFランクの依頼まで受けれるよ。まぁ、薬草採取か街中の手伝いとかだけどね。」


「ルルさん、ありがとうございます。」

 早速掲示板へ行き、依頼を見た。


 ・Gランク

 内容:店の積み荷おろし

 報酬:銅貨1枚


 ・Gランク

 内容:店のグリス掃除

 報酬:銅貨2枚


 これらを持ってルルへ渡した。


「うわぁ、頑張れ。Gランクは10個の依頼をこなせば自動でFランクに上がるからね。」


 2つのクエストを受注した。

「クースさん、後で研究所に寄ります。」


 クライシスは手を挙げてそのまま研究所へ帰って行った。


「これから休憩だから一緒に行くよ。荷物まとめるんでしょ?」

 ルルはこのために休憩を遅らせていたのだ。


『チビ共の相手をしたから大目に休憩貰ったし。』


 そしてルルに手伝ってもらいあっという間に荷物をまとめ終わった。

「これからは冒険者と受付だね。担当は私だからね!」


 と言いながら手を振って別れた。

『ルルさん、いつもありがとう。』


 研究所に戻り、蝙蝠の前へ一直線に歩いて行った。

『テイムしますか?』


『やっぱりだ。テイム。』


「クースさん、この蝙蝠をテイムしました。名前は背中のマークと色からハートです!」


「やはりか……。ギルマスには報告しておくよ。またね!」

「ありがとうございます。」


 ムーチーは感謝だけ言い残して研究所を後にした。

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