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人がモンスターになる??  作者: 愚者B
第1章 シンク村の悲劇

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第12話 蝙蝠の主食?


 翌朝、ムーチーは家の外が騒がしくて目が覚めた。

『まだ、早いな……。』


 窓の外を見ると、まだ暗かった。

 うっすらと明るくなっているので日の出までそれほど時間がかからないだろう。


『少し早いけどいつもの日課をしよう。』

 

 外に出ると目の前で小さな宴会が始まっていた。

「おはようございます!おかえりだったんですね?」


「坊主!起こしてすまないっ。」

「エドックさん、何か進展ありました?」


 エドックは首を横に振った。


「タイロが一番村の外側を回っていたが、動物すらいないよ。」

「副隊長が村長の家に合流しているくらいかな?」


 キリザスとタイロが答えてくれた。


「ムーチー君はいつもの日課かい?」


「はい、オーウェドさん。皆さん楽しんでくださいね?」

『騎士団の皆さんずっと村の外で探索してくれてたから少し息つきしたくなるよね?』


「昼くらいに集合かかると思うぞー!」

「ボッシュさん、ありがとうございます。」


 言い残していつもの日課である村の柵の内側10周走った。


 入り口ではユウラさんが眠そうにしていた。

 空を見上げると帰って来ていた手紙を運ぶ鳥が空を舞っていた。


『村の皆どこ行ったんだろう?』

 

 ムーチーはもやもやしながら日課を終えて家に着くと宴会をしていた探索組は酔いつぶれて寝ていた。


「疲れた……。シャワー浴びよう。」


 家に入り汗を流した。

 着替えて外に出ると、村長の家が気になった。


 村の入り口を目指して歩き出そうとしたが、立ち止まった。

『んー、ユウラさんも眠そうだったし村長の家覗いてみよう。』

 

 そして村長の村へ向かった。


 ◆◇


 村長の家の前にはギィシャとジャッケが話し込んでいた。

『ジャッケさん、まだ起きてたんだ。』


 更に近づくとジャッケがムーチーに気付いた。


「すまない、朝ご飯の時間か……。」

「あ、それより……。」


 ムーチーは言葉に詰まってしまった。

『村長?エヴィー?そして蝙蝠、なんて呼んでいいのか……。』


「中の調査は進展ないよ、邪魔しないなら少し覗くかい?」


 ジャッケの問いに頷き、中を覗いた。


「あっ、ちょうどいいところに来た!ムーチー君、それぞれの前に行って話しかけてくれないかい?」


 扉の音に気付いたクライシスが振り返り、村長ゴブリンの前で手招きしていた。


「クライシスさん、朝ご飯は?」

「ジャッケ君、私はまだ大丈夫だよ?」


 ジャッケはそういう意味ではないと困りながらギィシャの方を見た。

 そんなギィシャはムーチーの背中を軽く押して一緒に村長ゴブリンの方へ歩き出した。


「一緒に行こう、安全だけど。」


 ジャッケは左手を額に当ててやれやれと首を振った。

「団長、ご飯準備して出発まで寝ますよ!」


 ギィシャは振り返り両手を顔の前で合わせて「ごめんっ。」

 とだけ言った。


 ムーチーは歩きながらも考えたが何も思い浮かばない。

『なんて声かけたらいいんだ?』


 村長ゴブリンの前まで来ても答えはでず、固まった。

「あー、ムーチー君?気負わずいつも通り元の人だった時みたいに話しかけてみて?」


 クライシスに言われて見慣れた髪型と左目の傷を見た。

『やはり村長の面影があるな……。』


「村長、ムーチーです。分かりますか?」


 クライシスはゴブリンが「村長」と言う言葉にわずかに耳が反応したのを見逃さなかった。


「次は一緒に行動していた兎だね。」


 クライシスは村長ゴブリンの反応をあえてスルーした。

 そして奥の部屋の扉を開けた。


 兎のエルヴィルは自由に奥の部屋に野放しだった。

「おいで、エヴィー!」


 ムーチーは無意識に名前で呼んだ。

 エルヴィルはムーチーに気付き、しゃがみ込むと腕に飛び乗ってきた。


「待ってー!」

 奥の部屋からギルマスの部屋をずっとサーチしていた研究員が兎を追いかけて来た。


「急にごめんね!」

 クライシスは一言謝り、兎の落ち着いた表情を見た。

 

「エヴィーは確か、6歳の男の子だっけ?」

 ムーチーはクライシスの質問に頷いた。


「ちょっと今のうちに少し血貰っとこうか。ムーチー君、少し抑えてもらえるかな?」

 

 ◆◇◆◇


 エルヴィンの血は慣れた手つきでさっと血を抜いた。

『クライスさん?注射器使うの上手いな。』


 と感心していた。

 エルヴィンは何事もなかったかのようにムーチーの腕の中で寝だした。


「後は謎の蝙蝠かな?奥の部屋で鳥かごの中で監視しているから適当に話しかけて!」


「鳥かご?」

 ムーチーは不思議そうにしていた。


「騎士団の研究員に簡単な木魔法使える人がいてね。元人だったら可哀想だから!」


 ギィシャがあたふたしながら答えた。

「蝙蝠は雌ってこと以外何も分かってないよ。」

 

『やっぱり村の誰かなのかな?』

「村の女性で背中にハートのある人なんて分かんないよね?」


 ギィシャに聞かれたが当然思い当たる節も無く、首を横に振った。


 蝙蝠に近付いても大人しくぶら下がっていた。

「ムーチーだよ。シンク村の誰かなの?」


 聞いたけど朝だからか目を閉じていた。


「エヴィーを貰うから皆でご飯食べて来て!」


「クライシスさん、僕たちも言ってきても?」

 先程兎を追っかけて来た研究員の人はクライシスに睨まれた。

 

『あ、クライシスさんだった。名前呼ばなくてよかった。』

 ムーチーは心の中でそっと胸を撫でろしていた。

 

「所長、ギルドの研究員は大丈夫?」

「もちろん!僕の部下じゃないからね。」


 ニヤッとしながら答えた。

 クライシスの部下二人は諦めた顔をして作業に戻った。


「じゃあ、ご飯食べに行っか。」

 ギィシャの一言でムーチー達は外に出た。

 

 ◆◇◆◇◆◇


 村の入り口に戻るとユウラだけでジャッケはいなくなっていた。

「副団長がご飯作ってくれてるからよそいますね!」


 ユウラはすぐに4人分の用意をした。


「ユウラ、少し寝ておいで。」

 眠そうなユウラにギィシャは言うと大人しく従った。


「鳥は残しておくので何かあれば教えてくれます。」

 と言葉を残し、あくびをしながら寝に行った。


 誰も話すことなく、もくもくとご飯を食べた。

 

 

 一方、村長の家ではクライシスがここぞとばかりに動きまくっていた。


「騎士団のいない今がチャンスだ。」


 蝙蝠を鳥かごから解き放った。

 兎を追いかけることもせず、天井にぶら下がった。


 するとクライシスは三種類の血を並べると1つにだけ反応した。

 

「ムーチー君の血に反応か。」


「でも襲いはしなかったですよね?」


「早朝に他の騎士団の人達の血にも反応なかったからね……。」


「さて、蝙蝠を鳥かごに戻したら外で防護服脱いで、軽食食べといで!」

 

 2人はムーチーの血の入った器ごと鳥かごに入れると家の外に出た。


『検査的には何も問題ないんだよなぁ。感染する気配もないし……。』

 クライシスは悩んでいた。


 その後は検査に異常は見られなく、ギィシャは睡魔の限界で半目になり、うとうとしていたのだ。

 エドックとキリザスが起きて来て、ギィシャは安心して眠りについた。


 起きて来た2人はお昼ご飯を全員分作ってくれた。


 村の入り口で皆そろい、お昼ご飯を食べだした。


「この後キョクタ村へ移動する。騎士団の研究員と応援部隊がこの村で待機。ゴブリンたちの検査を引き続き頼む。」


「最初のチーム分けで団長のチームにギルド研究員が追加で2列目。残りの2チームで等間隔になりモンスターと動物に警戒!」

 

 ジャッケが皆に説明していた。


『フフッ。ギィシャさん、また寝ぼけている。』

 ムーチーは寝ぼけて隅っこの方でゆっくり食べているのを眺めていた。


「引継ぎは完了してるよー!」


 クライシスは元気に答えた。


 ジャッケが聞こうとしたところ、見事に遮られたが頷いた。


「じゃあ、ご飯を食べたら片付けて出発だ。キョクタ村に異常があればユウラの鳥を飛ばす。以上!」


「ムーチー君、君の血を検査で大目に欲しいんだ。」

 騎士団の研究員からご飯の合間に言われたが深く考えずに血を抜かれた。


 半分は蝙蝠の餌になるとは知らずに……。



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