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【書籍化】ちび神獣たちのお世話係始めました ~世界樹の森でもふもふスローライフ!~  作者: カナデ
4章 ユーラの成長と世界との繋がり

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148 燻製小屋建設と……?

またまたお待たせいたしましたーーーーー!

 砂糖をまぶしたドライフルーツは無事に子供たちに受け入れられ、特別なおやつとなった。


 やっぱり大鍋で一気に煮たのは失敗だったよな……。結晶にするのにウィンディーネやシルフの力を借りたのに、中鍋では失敗したし。小鍋で何度も繰り返したから、一部のシロップとして残した分以外を全部結晶化するのに、結局十日近くかかっちゃったしな。


 俺と精霊が試行錯誤している姿を見ていた子供たちが、自ら砂糖をまぶしたドライフルーツは特別なおやつ、と申し出てくれたのだ。


 ううう……。砂糖が手に入れば、もっと気軽に甘いおやつとか作れると思っていたのに。まあ、結局卵とミルクが手に入らないから、パンケーキさえまだ夢だけどな。


 洋菓子には卵とバターは必須だ。和菓子には卵とバターは必要としていない物が多いと思うが、肝心の材料や作り方をほとんど知らなかった。


 小豆の煮方は実家で母親が定期的に煮ていたから知っているけど、小豆どころか大豆に似た豆も見つけられていないしな……。


 野生の芋があるし、豆もある筈。そう思って畑が出来た頃にスプライト達に尋ねたこともあった。だけど森の中を案内されて行き、見つけたのは小指の先程の大きさの鞘に入った豆と、木に絡む蔓になった、俺の腕程の太さの豆だったのだ。


 あの大きな豆を見た時はつい叫んでしまい、木の上から蛇型の魔物が襲い掛かって来たんだよな。

 目の前にぬっと現れた蛇に、更に大声で叫び声を上げて逃げようとして尻もちをついた俺の目の前でキキリがあっさりと頭を切り落としたのだ。


 ……アーシュが持って来る魔物で血も死体も見慣れたつもりだったんだけどな。目の前のスプラッタに茫然自失してしまったのは、日本人としては仕方ないと思うんだ。うん、あれ以来蛇型の魔物の解体は出来ず、肉もしばらくの間食べられなくなった俺を、ドライに呆れた目で見降ろされたけどな!


 しかも、その大きな豆は当然のように魔性植物で、鞘の中には豆も詰まっていたけど大量に捕獲した虫の死骸も……。うわあ、ダメだダメ、これ以上思い出すな!


 そのトラウマから、森では豆を探すことはなくなった。まあ、春先になってさやえんどうのような、ペタンとした小さな実が生る豆をスプライトが教えてくれて、その豆だけは畑で育てているんだけどな。栄養がいいのか、精霊達の世話のお陰か、鞘ごと茹でて食べられるので、スープのいいアクセントになっている。


 なので砂糖を手に入れたというのに作って食べた料理は、結局肉と芋、それとその豆を干しキノコと炒めて砂糖と塩、胡椒で味付けをした塩味の肉じゃがもどきだった。

 食べた時にしょっぱさとキノコの味の奥に甘さを感じて感動はしたが、やはりお菓子も食べたくなる。


 日本では甘い物をそれ程積極的に買って食べてはいなかったけどな。たまに食べたくなってコンビニでコンビニスイーツを食べたり、外食の時にデザートを頼んだりしてたけどな。せめてゼラチンがあれば、俺でもゼリーくらいは作れたのにな。


 他はいくつか見つけたハーブに似た野草を干したハーブティーに砂糖を入れ、ほんのり甘くして飲んでみたりはした。

 ほんの少しの甘さでも、いつでも食べられると思えるようになったことで、ここでの生活での心の余裕が広がったように思えた。



 砂糖を毎日少しずつ結晶化していた間も、森へ行って果物やキノコなどを収穫し、川へも行って魚を釣って少しずつ燻製などの保存食作りもした。

 そしてーーーー


『燻製小屋を造りに来たぜ!木材も用意して来たから、ここで組み立てるだけだぞ!』


 今日は、オズの保存食を作った時に提供した肉や魚の燻製、それにジャーキーを酒のつまみに気に入ったドワーフ達が燻製小屋を建てに早朝からやって来た。

 ドワーフ達には見つかったマジックバッグの内の一つを提供しており、そのマジックバッグ一つでどやどやと五人程でやって来たのだ。


 そのマジックバッグにもドワーフ達は食いついていたが、さすがのドワーフでも仕組みは分かっていないらしい。ケット・シーが当時から所持しているうと知って、人と今まで全く交流がなかったことを、後悔したくらいには悔しがっていたので、新たに作り出すまでには、まだまだ時間が必要そうだった。


「本当に建てるんですね……。あると助かりますし、肉ならたくさんあるので定期的にジャーキーなどを作るのは、子供たちも楽しんで作業してくれそうですが」


 ジャーキーは実はアーシュも気に入っていた。たまに思い出したように俺に食事を出せと言ってくることがあるのだが、その時に出してみたら濃いめに味付けでピリ辛のハーブ味のジャーキーがお気に入りとなったのだ。

 そのお陰か、最近ではほとんどアインス達が獲物を運んでいたのに、ジャーキーを食べて以来、三日に一度はアーシュ自身が大物の獲物を運んで来るようになっていた。


 ……燻製小屋が出来るまでは大量に作れない、ってアーシュには言っていたけど、燻製小屋が出来たら、アーシュ用にも大量に作らなきゃダメだよな?ドワーフ達には世話になっているし、頑張って定期的に作るか。


 砂糖も手に入ったことだし、自分でもお気に入りのソミュール液の配合を見つけてもいいかもしれない。


 そう考えていると。


『あーーーっ!今度は何を作るの?』

『おう!燻製小屋だ!ジャーキーはいい物だからな!』


 今日も一番に来たクオンと、少し遅れて駆けて来たシュウが、ドワーフ達の姿を見つけて尻尾を楽しそうに振りつつ突撃する。

 ただジャーキーと聞いたシュウは急ブレーキで止まり、そのままドワーフ達がいない方へと駆けて行ってしまった。


「シュウ、まだ胡椒が効いたジャーキーを食べたの引きずっていたのか……。まあ、燻製小屋が出来たら、シュウが好きそうな味で干し肉を作ってやるかな」


 オズの保存食を作った時、落ちていた胡椒が効いたジャーキーの欠片を口に入れてしまって以来、ジャーキーを口にしていない。よっぽど胡椒がダメだったみたいだった。


 神獣や幻獣、精霊が胡椒を食べても健康に危害はないらしいんだけどな。それでも鼻にツーンと刺激があったのが、ダメだったのだろうがな。


『ジャーキーかーー。確かにあれは美味しかったよなーー』

『燻製小屋が出来るなら、今日は大物を持って帰って来るぜ!』

『そうだね。まあ父さんが知れば、訓練そっちのけで大物を狩りに行っちゃいそうですけどね』


 朝食の焼き肉を食べ終えたアインス達が燻製小屋を建てるドワーフ達を見て、張り切って訓練へと飛んで行った。


「……今日の午後は、ジャーキーの仕込みを子供たちと一緒にした方がいいかな。まあ、もうかなり寒くなって来ているし、保存食用に、たくさん作らないとだしな」


 朝食を食べる手を止めて森を見ると、森の木々の半分近くが葉を落として寂しくなっていた。


 オズ、大丈夫だよな……。シンクさんが、ちゃんと食べているようだ、って報告してくれたけど。そろそろ雪がチラつくかもしれないし。森の外だと、雪がまだ雪は降らないかな?


 フウ……と吐き出した息が白く、これからまた冬が訪れることを実感する。


 賑やかに燻製小屋を建てるドワーフ達と、ドワーフ達にじゃれる子供たちを眺めつつ、ここにはもう居なくなったオズのことを思い出し、精霊を象った象徴を彫った石を配置している森との境目へと目をやると、ふと、何かが視界を横切った気がした。


 ん?なんだ、何か今、居たか?……ぼんやり見えた気がしただけだし、ああ、シュウがまだ戻って来てないか?


「シュウー!そろそろ日課に行くから戻って来てくれーー!」

『みぎゃっ!』


 畑の方へと歩きつつ森へと声を掛けると、右手の森の方から返事と共に森から出て来るシュウの姿が。


 あれ?じゃあ、俺が見た気がしたのは何だったんだ?……まあ、それこそ初雪だったかもしれないか。初雪が降れば、ハーツが駆けて来るな。ララは結局一度だけ顔を出しに来たけど、ハーツが拗ねるから冬に来る、って言ってたから、二人が来ればまた賑やかになるな。


 雪が降れば家に来る子供たちは少なくなるが、ハーツとララが来る。

 オズのことへの心配を断ち切り、日課へ行くと子供たちへと声を掛けようと踵をかえそう、とした時。


「えっ、今のは……?」


 空を漂う、シルフとは違うオレンジ色の影が、また目の端を過った気がしたのだった。





決算期の仕事繁忙期&書籍化作業で遅れました。

なんとかボチボチ更新再開したいです!(これも下書きしだしたのは先月なんですが)


そして宣伝です!

5月末、3巻がGCノベルズさんより発売予定です!

予約も開始しておりますので、是非、是非!予約していただけるとうれしいです。


話の筋は変わりませんが、かなり改稿&加筆をしています。

(そろそろWEB版をタイトルに入れるか検討中です)

書下ろしもありますので、書籍版をお手に取っていない方は、是非!この機会にお手に取っていただけるとうれしいです。

(連載版も書籍の設定のまま書いています)

どうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>

次は日曜日に更新出来るように頑張ります!

ブックマーク&評価、いいね!をありがとうございます。励みに頑張ります!


挿絵(By みてみん)

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