791話
さて...グランヴィルはサファイアのような青くキラキラと輝く宝石を飲み込んだ訳なのだが、ドールはその行動が理解できず、様子見をしているとグランヴィルの身に纏っていた外套の背中の部分が少しづつ盛り上がり、まるで何かの生物がいるかのようにもぞもぞと動き出すではないか。
「うへぇ...気色悪いなぁ...っと...見てる場合じゃねぇか。何をするつもりか分からねぇが隙だらけだぜ?」
そんな気色の悪い光景を目にしたドールは苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべつつも隙だらけのグランヴィルをそのままにするつもりはないようで、手に持っていた短剣を投げ付けていく。
そしてドールが投げ付けた短剣は空を鋭く切りながら何をしでかすか分からないグランヴィルに向かって飛んでいくも、先ほど切りつけた時と同様にスルリとすり抜け、背後の地面へずぶりと深く突き刺さった。
「ちっ...まるでレイスを相手してるようだぜ...俺は魔法がからっきしだしなぁ...」
そのため、ドールはグランヴィルに対してまるで実体を持たないレイスなどの魔物のように感じるも魔法が苦手ということもあって少しだけ困ってしまっている様子ではあったりする。
「何かしら種があると思うんだがなぁ...」
とはいえ、何かしらの種があるとドールは予想を立てるも、それが一体何なのか今の段階では分からないため、どちらにせよ探りながらグランヴィルと対峙していくしかないのかもしれない。
そうこう考えている間にグランヴィルの準備が整ったのか身に纏う外套の背の部分を破るように何かが突き出てきたのだが、それは真っ黒な2本の腕と大きな手であり、明らかに異形なものであった。
「なんだかもう人って感じじゃねぇなぁ...」
「いやいや人だよぉ〜?ちょ~っと見た目が違うだけだし見た目で判断は良くないよぉっ!」
そして両手と背中から突き出てきた真っ黒な手に何処からともなく取り出した剣を合計4本握りしめると、地面がめり込むほど蹴り上げて、グランヴィルは一気にドールへと距離を詰め、大きく振りかぶりながら4方向から剣を振るっていく。
といっても流石はアルトマード王国に2人しかいないSランク冒険者の1人ということもあって、4方向から剣を振るわれたとしても正確に全てを捌いていたりする。
しかし腕が2本だけのドールに対してグランヴィルは4本もあり、流石に不利なのか、徐々に押されながら後ろに向かって足が一歩一歩下がっていってしまっていた。
「あまり俺を舐めるんじゃねぇ!」
とはいえ、ドールもやられっぱなしではないようで、腕の太い血管が浮き出るほどに力を込めると、4方向から繰り出されるグランヴィルの剣を全て力技で弾き飛ばし、背後の地面へ弾き飛ばされた4本の剣が地面に深く突き刺さった。
「おっとっと!流石はSランク冒険者だねぇ!」
そのため、グランヴィルは弾き飛ばされた剣を取り戻すためにドールに対して警戒をしつつも、背後の地面に突き刺さった4本の剣の下へ引き下がっていく。
「このままじゃ何も分からねぇし埒が明かねぇな。あんまり使いたくねぇがしょうがねぇ!」
そんな4本の剣を取り戻そうとするグランヴィルを見ながらドールはこのままでは埒が明かないと思ったのか、身に付けていた首飾りを徐に引きちぎると、思いっきり地面へ叩きつけ、首飾りに装飾された宝石の部分が粉々に砕け散ったのだが、それと同時に地面へ魔法陣のようなものが描かれていくのであった...。
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次回の更新は多分6月16日になると思いますのでよろしくお願いします!




