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ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


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第69話 辺境へ広がる農法

辺境伯府からの、正式な辞令が、届いた。


「辺境農業改良使・レイム・ダールム」


ウォルトと、一緒に、読んだ。


「辺境東部の、農業改良を、担当してほしい。ダールム村での、実績を、基に――か」


ダールム村での、二年間が、一つの、肩書きに、なった。荒れた土地を、立て直す。それが、正式な、俺の、仕事になった。



俺は、ある作業を、始めた。


ダールム村での、二年分の経験を、「他の村でも、使える、手引き」として、整理し直す。


「この記録を、見れば、誰でも、同じことが、できるように、書く」


土壌の、見方。堆肥の、作り方。輪作の、順番。水路の、直し方。すべてを、順を追って、誰が読んでも、分かるように。


「私も、手伝います」


アナが、言った。記録係の、アナだ。字が、一番きれいで、誰よりも、記録を、読み込んでいる。


「助かります」


俺は、頭を下げた。



ミリアには、特別な、一冊を、渡した。


二年分の、すべてが、入った、農業記録帳の、完全版。


「重いですよ、これ」


ミリアが、両手で、抱えて、言った。


「いい意味で、重いんです」


俺は、笑った。


「それを、持っていけば、どこでも、農業を、始められます。困ったら、開いてください。答えの、半分は、そこに、あります」


「半分?」


「残りの、半分は――あなたが、現場で、見つけるものです。土は、村ごとに、違うので」


ミリアが、記録帳を、ぎゅっと、抱きしめた。



俺は、改めて、村を、見渡した。


アナが、記録を、引き継ぐ。トムが、農業を、覚え始めた。センが、農具を、扱い、土を、触り始めた。ラナが、農地を、見守っている。


俺が、いなくなっても――ここは、続く。


それは、もう、確信に、変わっていた。一人の人間に、頼った村は、もろい。でも、この村は、もう、大勢の手で、回っている。



東の集落は、廃村寸前だという。


今年の収穫が、ほぼ、ゼロ。二年前の、ダールムと、同じだ。


だが――今の、ダールム村を、見れば。


廃村寸前から、変われることは、もう、証明された。まぐれでは、ない。やり方が、ある。だから、また、同じことを、すればいい。土を、調べて、原因を、見つけて、一つずつ、直していく。


前世で、できなかったことを。ここで、続けられる。


それは、不安ではなく――楽しみだった。



ミリアの、旅立ちは、翌朝だった。


夕方、ラナが、農地で、農作業を、していた。


老いた手で、ゆっくりと。でも、確実に。鍬を、振っていた。


「明日、見送りに、行きますか」


俺が、聞くと、ラナは、手を止めずに、言った。


「当然だろう」


「そうですね」


俺は、農地を、一周してから、宿舎に、戻った。


明日で、また、一つ、区切りが、つく。

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