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ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


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第62話 センが信じることにした

収穫祭の、前日。


準備で、村中が、慌ただしい中、センが、農地の端に、しゃがんでいた。


土を、触っている。


「何を、してるんですか」


俺が、聞くと、センは、手を止めずに、言った。


「土壌感知って……どうやるんですか」


「スキルが、ないと、できません。俺の、スキルだから」


「スキルなしで、土を、確かめる方法は、ないんですか」



俺は、センの隣に、膝をついた。


「あります。スキルがなくても、土を、触って、色を見て、臭いを、嗅げば――ある程度は、分かる」


センと一緒に、土を、握った。


「去年の土と、今年の土の、違いが、分かりますか」


センは、両手で、土を、揉んだ。じっと、感触を、確かめている。


「……少し、柔らかい。去年より」


「正解です」


俺は、言った。


「堆肥が、効いて、土の中に、隙間が、できた。だから、柔らかい。根が、伸びやすくなる。よく、分かりましたね」


センの目が、少し、輝いた。



しばらく、土を触ってから、センが、ぽつりと、言った。


「俺は……大人を、信用しないって、決めてた」


俺は、黙って、聞いた。


「それは、なぜ」


「大人は、いつも、正しいことを、言う。でも、何も、変えなかった。『なんとかなる』『そのうち良くなる』って、言うだけで――村は、死んでいった」


センは、土を、見つめたまま、続けた。


「でも、あんたは……言って、変えた。土を。畑を。本当に、変えた」



センが、顔を、上げた。


「あんたを、信用することに、した。それだけです」


俺は、しばらく、言葉が、出なかった。


子供が、心を、開くのは、何より、難しい。一度、裏切られた子供なら、なおさらだ。そのセンが、自分から、「信用する」と、言った。


「……ありがとう」


俺は、言った。


センが、照れたように、目を、逸らした。


「お礼を、言うようなこと、じゃないです」


「俺にとっては」俺は、答えた。「一番、大事なことです」



センが、刈り取られた畑を、見ながら、小さな声で、言った。


「農業……やってみたいかも、しれない」


恥ずかしそうだった。


「それは、いいですね」


「……まだ、分かんないです」


「分からないうちに、始めると、だんだん、分かってきます」


センは、土を、もう一度、握った。



「農業、続けても、いいですか」


「もちろんです」


「ただし」俺は、言った。「条件が、一つ、あります」


「なんですか」


「字を、覚えること。記録帳が、読めないと、農業は、続けられないので」


センが、嫌そうな顔を、した。


「……字は、嫌いです」


「俺も、最初は、嫌でした」


俺は、笑った。


「でも、農業のためだと、思えば、続きます」


センは、しばらく、黙ってから、言った。


「……やります」

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