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ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


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第61話 二年目の大収穫

三日間の収穫が、終わった。


倉庫に、全量が、揃った。ミリアと、アナが、重さを、量っている。


「……出ました!」


ミリアが、興奮した声で、振り返った。


「去年の、二・三倍より、さらに、多いです!」


区画ごとの、数字を、読み上げていく。どの区画も、去年を、上回っていた。



アナが、計算を、まとめた。


「全体で……一年目の収穫量の、三・一倍。辺境の平均を、大きく、超えています」


「一年目と、比べると?」


俺は、聞いた。一年目とは、最初の秋まきの、収穫のことだ。


「去年の収穫が、一年目で……今年は、その、一・三五倍です。二年、続けて、増えています」


二年、連続の、改善。土が、確実に、力を、取り戻していた。一度きりの、まぐれでは、ないことの、証明だった。



倉庫の前で、住民が、話していた。


「そういえば、隣の集落から、二家族、移ってきたな」


「ああ。『ダールムは、豊かになってると、聞いた』って」


人が、出ていくばかりだった村に、人が、戻ってきていた。四十三人だった人口が、少しずつ、増えている。


村が、生き返っている。その、何よりの、証拠だった。



老人の一人が、積み上がった麦を、見上げて、言った。


「……来年も、食えるな」


「去年も、食えましたよ」


俺が、言うと、老人は、首を、振った。


「去年は、食えた。けど、これほどじゃ、なかった。それに――『来年も、豊かだ』と、思えるのは、初めてだ」


その言葉の、重さを、俺は、噛みしめた。


明日を、信じられること。それが、どれだけ、大きいことか。長く、飢えと隣り合わせで、生きてきた人間には。



ラナが、倉庫の前に、立っていた。


積み上がった、麦の山を、じっと、見ている。


何も、言わなかった。


俺も、その隣に、立って、何も、言わなかった。


二人で、しばらく、麦を、眺めていた。それだけだった。だが、その沈黙の中に、五十年分の、何かが、流れていた。



収穫祭は、三日後に、開くことに、なった。


「今年は、誰を、呼びますか」


ミリアが、聞いた。


「外から、来たい人が、いれば、来てもらいましょう。去年は、内輪でしたが――今年は、広げても、いいと思います」


「辺境伯様も?」


「来てくれるなら。ただ」俺は、言った。「今年の主役は、ここにいる、人たちです」


ミリアが、嬉しそうに、「はい」と、答えた。

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