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ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


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第60話 外部の対立が消えた村

二年目の、秋収穫の、初日。


明るい、秋の朝だった。住民が、全員、農地に、集まっていた。


去年と、違うのは――誰も、不安そうな顔を、していないことだった。


老人が、去年と同じ、鎌を、手にしている。だが、その扱いは、もう、慣れていた。麦の、刈り方を、知っている手だった。



ミリアが、前に出た。


去年は、ラナが、最初の一刈りで、合図を、した。今年は、違った。


「区画Aから、始めます!」


ミリアの、よく通る声が、響いた。


俺は、何も、指示しなかった。ミリアが、自分で、収穫の、号令を、かけた。それが、去年と、最も、大きな違いだった。


全員が、一斉に、刈り始めた。



収穫の様子を、見ながら、俺は、観察していた。


「麦の株が、去年より、密だ。穂も、重い。選別種子の、効果が、はっきり、出ている」


膝をついて、刈り取られた麦を、手に取る。粒の、詰まり方が、違う。種を、選び続けてきた、成果だった。


アナが、すぐ横で、記録帳に、書き込んでいた。区画ごとの、刈り取り量を、一つずつ、丁寧に。



昼時、全員で、休憩を、取った。


パンと、野菜のスープと、豆。畑の脇に、腰を下ろして、みんなで、食べた。


俺は、ふと、気づいた。


この食事の、食材の、半分以上が――自分たちで、作ったものだ。


去年は、麦粥だけの、貧しい食事だった。それが、今は、パンがあり、野菜があり、豆がある。笑い声が、あった。


豊かに、なっていた。土が、人を、養っていた。



夕方、ウォルトが、聞いてきた。


「次は……どこに、行くんですか」


俺は、刈り取られた麦の、山を、見ながら、答えた。


「まだ、ここに、います。この収穫が、全部、終わって、二年目の記録を、全部、まとめたら――その次のことを、考えます」


「……その後は?」


「辺境に、荒れた土地は、たくさん、ある。でも、今は」


俺は、言った。


「ここが、終わってから、です」



辺境伯が去った後の、ダールム村は、少し、静かだった。


嵐の、後みたいに。


でも、嵐の後の空は、晴れている。


ウォルトが、もう一度、「次は、どこへ」と、聞いた気が、した。


俺は、しばらく、答えなかった。


この村を、まだ、離れる気には、なれなかった。


まだ、やることが、ある。


もう少し――ここに、いたい。

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