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ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


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第59話 二年目の秋収穫・準備

二年目の、秋収穫が、近づいていた。


「今年の収穫は、私が、計画します」


ミリアが、そう言って、農業記録帳を、広げた。


去年のデータを、もとに、区画ごとの、収穫の順番、刈った麦の乾燥方法、選別の手順を、自分で、組み立てていた。一年前は、俺の後ろを、ついて回っていた少女が、今は、収穫全体を、設計している。


俺は、その計画を、確認した。


「いいです。よく、考えられています。そのまま、やってください」


直すところは、なかった。



アナも、準備を、進めていた。


「今年の収穫記録は、もっと、細かく、取ります。区画ごとの、重さと、品質の評価も」


「どこで、それを、学んだんですか」


「記録帳を、読み返していたら……去年のデータが、ちょっと、荒くて。これだと、比べにくいなって」


去年の自分の記録を、読み返して、足りないところに、気づく。それは、誰にも、言われていない、自律的な、改善だった。


「いい気づきです」


俺は、素直に、感心した。



農具置き場では、刃を、研ぐ音が、していた。


村の若者が、鎌を、一本ずつ、丁寧に、研いでいる。横で、住民が、感慨深そうに、言った。


「去年は、もっと、ボロボロの農具で、やっていたのにな」


土も、人も、道具も。一年で、すべてが、底上げされていた。



俺は、最後に、全区画の、土壌診断を、した。


膝をつき、土に、手を当てる。じっくりと、土の声を、聞く。


「……今年の土は、去年より、全区画で、改善している」


特に、区画Bと、Cが、良かった。


「『良好』から、『優良』に、上がった。これなら――去年を、超える」


確信が、あった。土が、そう、言っていた。



ふと、視線を、向けると。


センが、農具研ぎを、手伝っていた。


黙々と、鎌を、研いでいる。手つきは、慣れていた。


「セン。それ、いつから、手伝ってるんですか」


センは、手を止めずに、答えた。


「……先月から」


それだけ、言って、また、刃に、向き直った。


あれほど、心を、閉ざしていたセンが、いつの間にか、村の仕事に、自分から、加わっていた。俺は、声を、かけすぎなかった。焦らなくて、いい。センは、センの速さで、この村に、根を張り始めている。



収穫の、二日前。


ラナが、俺に、言った。


「今年は……ちゃんと、眠れそうか」


去年の、収穫前夜。俺は、一晩中、農地を、歩き回っていた。眠れなかった。


「……寝ます」


俺は、答えた。


「そうか」


ラナが、少し、笑って、言った。


「去年より、俺も、眠れそうだ」


その一言の、重さが――五十年分、あった。

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