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ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


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第48話 初めての市場出荷

保存しておいた、麦と、乾燥野菜と、豆を、市場に、出すことにした。


ダールム村の農産物が、初めて、外で、売られる日だった。


「ちゃんと、売れるでしょうか」


ミリアが、荷を、何度も、確かめている。緊張しているのが、分かった。


「品質は、保証できます。あとは、買い手が、それを、分かってくれるかどうか」



出荷には、ウォルトと、ミリアと、村の若者が二人、行くことにした。


最寄りの、グリム市場までは、馬車で、一日。俺は、村に、残った。農地の管理は、止められない。それに――もう、俺が、ついていかなくても、彼らだけで、できる。それを、信じたかった。


「行ってきます」


ミリアが、緊張した顔で、馬車に乗った。



二日後、馬車が、戻ってきた。


ミリアが、馬車から、飛び降りて、駆けてきた。


「全部、売れました! しかも、予想より、高値で!」


息を、弾ませて、言った。


「品質が、いいって、分かったみたいで……買い取ってくれる商人が、いたんです。『この豆は、どこの産だ』って、聞かれて。『ダールム村だ』って、答えました」


ダールム村の名が、品質と一緒に、市場で、口にされた。それは、大きな、一歩だった。



俺は、収益の、使い道を、住民に、説明した。


「まず、村の、運営費。次に、来年の、農業の資材。種や、道具を、買い足す。そして――残りは、辺境伯への、年貢に、充てます」


老人の一人が、目を、見開いた。


「年貢を……払えるのか。俺たちが」


長く、年貢を、滞納し、廃村の話まで、出ていた村だった。


「払える日が、来るとは……思わなかった」


老人の、声が、詰まった。施しを受ける側だった村が、自分の力で、義務を、果たせるようになった。それは、誇りの、回復だった。



俺は、辺境伯への、報告書に、追記した。


初めての、市場出荷額。市場での、品質評価。そして、年貢を、納められる見通し。


ヴィンスへの、対抗材料として――いや、それ以上に、この村が、農業で、自立し始めた、確かな証拠として。



ミリアが、市場から戻って、最初に、言ったのは、こうだった。


「グリムって……大きいですね」


「初めて、でしたか」


「ダールムから、出たことが、ほとんどなくて……」


ミリアは、少し、照れたように、言った。


外の世界を、知ること。それは、自分の村の、価値を、知ることでもある。


「次も、行きますか」


「行きます!」


即答だった。


その目は、村の外へと、開かれ始めていた。

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