表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/70

第47話 危機を共有する

俺は、住民を、集会場に集めた。


「皆さんに、話さなければ、ならないことが、あります」


全員の顔が、こちらを向いた。俺は、隠さず、すべてを、話した。


ヴィンスが、ダールム分領の管理権を、求めて、辺境伯に、正式申請したこと。辺境伯が、判断を、保留していること。俺が、視察を、請願したこと。


ざわめきが、広がった。



老人の一人が、苦々しく、言った。


「……また、貴族の都合で、振り回されるのか」


その声には、古い怒りが、にじんでいた。二十年前、貴族の争いで、村が壊された。その記憶が、よみがえったのだ。


「レイム様が、去ることに、なるのか」


別の住民が、不安そうに、聞いた。


「どうすれば、いいんだ」



俺は、落ち着いて、説明した。


「辺境伯に、視察に来ていただけるよう、お願いしています。来てくだされば、皆さんが、証言してくださるなら――この村が、どう変わったかを、数字と、皆さんの言葉で、伝えられる。それが、一番、強い」


そこで、俺は、言葉を、切った。


「ただし。皆さんが、証言するかどうかは、皆さんが、決めることです。俺は、強制しません。巻き込まれたくなければ、それでも、構いません」


しばらく、沈黙が、あった。



その沈黙を、破ったのは、ラナだった。


「言わせてもらう」


低い、しかし、はっきりとした声だった。


「この土地が、どう変わったか。死にかけていた畑が、どうなったか。俺が、証言する」


続いて、ミリアが、立った。


「私も。農業が、これから先も、続いていくこと。その、根拠を、言えます」


老人たちが、次々と、声を上げた。


「俺も、言う」


「ああ、俺もだ」


そして――端のほうで、センが、ぽつりと、言った。


「……俺も」


あれほど、大人を、信じなかったセンが。



最後に、村長が、立ち上がった。


かつて、俺を、最も疑っていた男だった。「一年で、何ができる」と、突き放した男だった。


その村長が、言った。


「……俺も、言う」


声が、震えていた。


「この村が、変わったことは――俺が、一番、分かっている。誰よりも、長く、ここの畑が、死んでいくのを、見てきたんだ。だから、俺が、言う」


俺は、何も、言わなかった。


この団結を、壊す言葉は、何一つ、いらなかった。



集会の後、ウォルトが、ぽつりと、言った。


「……これは、強い」


「強い?」


「みんなが、証言するということは、辺境伯が来た時、数字だけじゃなく、人間を、見ることになる。生きた村を、見る。それは――強いです」


俺は、住民の力を、借りているんじゃない。


住民が、自分の意思で、立ち上がっている。


それが、一番、強いのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ