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ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


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第36話 農具の改善と鍛冶師

本作は全70話で完結予定です。

毎日5話ずつ、07:10/12:10/18:10/20:10/22:10 に予約投稿しています。

続きが気になりましたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。

収穫の前に、俺は、村の鎌を、一通り確認した。


そして、気づいた。


「この鎌、刃の角度が、合っていない」


ミリアが、不思議そうな顔をした。


「角度、ですか。鎌は、鎌でしょう」


「麦を刈るのに、向いていない角度なんです。これだと、力が逃げる。刈るたびに、余計な力がいる。一日刈り続けたら、疲れ方が、全然違う」


俺は、鎌を手に取って、軽く振ってみせた。


「改善できます。鍛冶師に、相談したい」



最寄りの街まで、ウォルトと二人で、出かけた。


鍛冶屋の主人は、中年の、無骨な男だった。俺が農具の改善を頼むと、最初は、面倒くさそうな顔をした。


「刃の角度を、これくらい変えてほしいんです。今より、寝かせる方向に」


俺は、地面に、図を描いた。


「この角度にすれば、同じ力で、一・三倍の速さで、麦を刈れる計算です。試しに、一本、作ってもらえますか」


鍛冶師が、眉を寄せた。


「……それは、農具の話ですか。武器の話ですか」


「農具です」


「そんな細けえ農具の話、初めて聞いたぞ」



鍛冶師は、ぶつぶつ言いながらも、その場で、試作を一本、打ってくれた。腕は、確かだった。


俺は、できあがった鎌で、店先の藁を、試し刈りした。


「……もう五度、寝かせてほしい。それと、この部分の厚みを、少し落としてください。重さが、ここに来ると、振りが、鈍る」


鍛冶師が、手を止めて、俺を、まじまじと見た。


「……お客さん。あんた、農家なのか、武器職人なのか、どっちなんだ」


横で、ウォルトが、小声で言った。


「農具の形を、一度単位で、指定してる……すごいな」



改善した鎌を持って、村に戻った。


ミリアに、鍛冶師とのやり取りを話すと、目を丸くした。


「なんで、農具の形まで、知ってるんですか。角度とか、厚みとか」


「前の仕事で、覚えたんです」


ミリアは、少し、考える顔をした。


「前の仕事……どんな、仕事だったんですか」


俺は、すぐには、答えなかった。前世の話を、どこまで、できるものか。


「……いろんな畑を、見て回る仕事です。土と、道具と、人を」


ミリアは、それ以上は、聞かなかった。でも、その目には、俺の「前の仕事」への、小さな好奇心が、灯っていた。



改善した鎌が、村に行き渡った翌日。


ミリアが、試しに、麦の端を、刈ってみた。


「……速い。全然、速い」


何度か、振ってみて、信じられないという顔をした。


「なんで、今まで、誰も、これをしなかったんですか」


「知らなければ、できない。それだけのことです」


ミリアは、刈ったばかりの麦を、手に取った。


「分かれば、変えられる、か」


そう呟いて、もう一度、鎌を振った。

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