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ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


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34/70

第34話 秋の収穫まで待ってほしい

本作は全70話で完結予定です。

毎日5話ずつ、07:10/12:10/18:10/20:10/22:10 に予約投稿しています。

続きが気になりましたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。

数日後、俺は、住民全員を、集会場に集めた。


グライの提案について、はっきりさせる必要があった。隠れて話し合うのではなく、全員の前で、答えを共有しておきたかった。


「今日は、皆さんに、話したいことがあります」


ざわめきが、静まった。揺れている者たちは、気まずそうに、目を伏せた。


「グライの提案は、真剣な提案です。否定はしません。三年分の生活費は、本当に、大きい。それを、嘘だとは言いません」


俺は、一人ひとりの顔を、ゆっくりと見た。


「ただ――一つだけ、お願いがあります。秋の収穫の、数字を見てから、判断してほしい」



「改善した畑の収穫量と、改善する前の収穫量を、比べてください。それで、はっきりします。この村で農業を続けることに、価値があるのか、ないのか」


老人の一人が、手を挙げた。


「もし……収穫が、変わらなかったら。そのときは、グライの提案を、受け入れるのか」


正直な問いだった。俺は、ごまかさなかった。


「皆さんが、そう判断すれば、それに従います。この村は、皆さんのものだ。俺が、決めることじゃない」


集会場が、静かになった。俺が「従う」と言うとは、思っていなかったのだろう。



そのとき、ミリアが、立ち上がった。


俺は、何も、頼んでいなかった。ミリアは、自分から、口を開いた。


「私は、信じています」


全員の目が、ミリアに集まった。


「秋の収穫は、変わります。区画Bの麦が、どれだけ育っているか、私は毎日、見ています。去年とは、明らかに違う。だから――それまで、待ちましょう」


弟子だったミリアが、今は、住民の前で、自分の言葉で語っていた。俺は、その姿を、黙って見ていた。


ざわめきが、少しずつ、変わっていった。疑いの色から、「見てみよう」という色へ。



最後に、ラナが、低い声で言った。


「秋まで、待つ。それが、妥当だな」


ラナの一言は、重かった。長く村にいて、誰よりも畑を見てきた女の言葉だ。それで、場は、決まった。


全員一致では、なかった。それでも、大多数が、「秋の収穫を見てから決める」という方向に、傾いた。諦めからではない。久しぶりに、「期待してみよう」という空気だった。



集会の後、ウォルトが、ぽつりと言った。


「ミリアさん……かっこよかったですね」


俺も、そう思った。


でも、余計なことは、言わなかった。


ミリアは、誰に言われたわけでもなく、自分で立ち上がって、自分の言葉で語った。


それが、何より、大事なことだった。

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