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ハズレスキル『土壌感知』で転生した俺に、死にかけの辺境村を任されました  作者: ヲワ・おわり


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23/70

第23話 病害という試練

本作は全70話で完結予定です。

毎日5話ずつ、07:10/12:10/18:10/20:10/22:10 に予約投稿しています。

続きが気になりましたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。

工事の四日目の朝だった。


農地の見回りに行こうとしていた俺のところへ、アナが駆けてきた。


「レイム様。なんか、葉っぱが、変な色になってる」


胸が、ざわついた。


アナに案内されて、区画Aの麦畑へ行く。一目で、分かった。麦の葉の一部が、茶色く変色し、ぐったりと倒れている。立ち枯れだ。


しゃがんで、根元の土に手を当てる。土壌感知が、状態を教えてくれる。


「……根腐れじゃない。葉の病気だ。腐敗菌だな。気温が下がった後、湿度が上がったタイミングで、出た」


被害の範囲を、丁寧に確かめて回る。


区画Aの、およそ三割。だが――区画Bには、広がっていない。堆肥で土を戻した畑には、同じ条件でも、病気が出ていなかった。



噂は、すぐに村中に広がった。


住民が、ぞろぞろと畑に集まってくる。立ち枯れた麦を見て、老人たちが、口々に言った。


「やっぱりか」


「今年も、ダメか」


「結局、変わらんかったんだ」


そこへ、村長が、険しい顔でやってきた。


「どういうことだ。大丈夫だと言ったじゃないか。芽が出たと、喜ばせておいて、これか」


その声には、怒りと、それ以上に、深い失望があった。期待してしまったぶん、裏切られたと感じている。期待させて失望させるのが一番こたえる――村長が、最初に言った通りだった。


俺は、住民の前に立った。逃げも隠れもしなかった。


「区画Aの、三割が、病害を受けました」


俺は、はっきりと言った。


「小さく見せるつもりはありません。三割は、事実です。これは――対策が遅れた、俺のミスです。申し訳ありませんでした」


俺は、頭を下げた。


だが、すぐに顔を上げた。


「ただし、区画Bは、無事です。一本も、病気が出ていない。そして、この病害は、対策すれば、必ず止められます。諦める理由には、なりません」


「……本当か」


「本当です。明日、原因と対策を、全部、説明します」



ラナは、何も言わなかった。


ただ、立ち枯れた麦の前に立って、じっと、それを見ていた。怒りでも、絶望でもない、静かな沈黙だった。


ミリアは、違った。彼女は、俺のところへ来て、まっすぐに聞いた。


「どうすれば、止められますか」


その目に、諦めはなかった。すでに、次のことを考えている目だった。


「教えてください。私も、やります」


「ありがとうございます」


この人がいる限り、まだ大丈夫だ。俺は、そう思った。



その夜、俺は、病害の特徴を、頭の中で整理した。


腐敗菌。気温低下のあとの、湿度上昇。区画Aは、もともと水はけが弱かった。それは、分かっていたことだった。なのに、対策が、後手に回った。


俺のミスだ。言い訳はできない。


だが――区画Bは、無事だった。


その差こそが、明日、住民に示すべき答えだった。失敗は、ただの失敗で終わらせない。そこから、何が正しかったのかを、証明する。

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