第19話 水路の設計と、説明会
本作は全70話で完結予定です。
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俺は、水路の復旧計画を、形にすることにした。
土壌感知で探った水脈のデータをもとに、迂回ルートを含めた設計図を引く。図を描くのは、ウォルトに手伝ってもらった。騎士は、地図の読み書きができる。木の板に炭で、水源から村までの水の道を描いていった。
「ここが、土砂で埋まった崩壊箇所。掘り出せば通る。問題はここ――岩盤が出ている。もとの道は捨てて、こっちに迂回路を掘ります。距離にして、三十メートルほど」
「三十メートルを、手で掘るんですか」
「計算しましょう。大人が十人いれば、一日に五メートルは掘れる。岩がない土の道なら、もっと早い。六日もあれば、つながる計算です」
ウォルトは、その数字を、じっと見ていた。無理だ、とは言わなかった。
◇
設計図を持って、住民への説明会を開いた。
集会所に、村長を含めて十五人ほどが集まった。前より、少し人が増えていた。芽が出たという噂が、村に広がっていたのだろう。
俺は、設計図を見せながら、説明した。
「水路を、直します。魔法は使いません。人の手で、掘って、つなげます。なぜできるのか、根拠を説明します」
一つずつ、工程を示していく。どこを掘り、どこを迂回し、何日でつながるか。
だが、当然、懸念の声が上がった。
「冬に、土を掘るのは大変だぞ」
「岩盤を迂回するなんて、本当にできるのか」
「だいたい、魔法もないのに、無理に決まってる」
俺は、一つずつ答えた。
「冬だからこそ、農作業が少ない今がいい。岩盤は、感知で確かめました。三十メートル横を掘れば、確実に避けられる。魔法がなくても、水は高いところから低いところへ流れる。それは、変わりません。道さえ作れば、水は来ます」
それでも、住民の顔は晴れなかった。「無理だ」という思い込みは、根が深い。
そのとき、思いがけない声が上がった。
「俺も、手伝います」
ウォルトだった。
「騎士の仕事では、ありません。ですが、体力には自信があります。十人のうちの一人に、俺を数えてください」
集会所が、静まり返った。よそから来た騎士が、村の水路を掘ると言い出したのだ。
村長が、長いこと黙ってから、口を開いた。
「……分かった。手伝う者を、集めてみる」
渋々ではあったが、村長が「集める」と言った。それは、大きな一歩だった。
◇
説明会の後、ミリアが言った。
「ウォルトさん、意外でしたね。手伝うなんて」
「そうかな」俺は首をかしげた。「俺は、意外じゃなかったですよ」
「え?」
「ウォルトさんは、『やる意味がある』と分かれば、動く人です。ずっと見ていれば、分かる。それに――」
俺は、少し笑った。
「あの人にも、ちゃんと農業の話は、続けてるんです。芽が出たのを見て、土が変わるのを見て。あの人なりに、この村が変わるところを、見たくなったんでしょう」
ミリアは、感心したように、ウォルトの後ろ姿を見ていた。




