第4話
昨晩玄関前にいた女に襲われ、腕を掴まれていたものの、なんとか逃れた僕は
息をするのも忘れて玄関から外へ出ようとした。
ガチャガチャガチャガチャ
変に力の入った手でドアノブを回すがうまく回らない。
後ろからは金切り声のような笑い声が聞こえており、いつ追い付かれるかわからない。
焦る気持ちを一瞬落ち着けてドアノブを回した。
回した瞬間外に出ようと身体を前に傾けたが、ただ扉に体当たりしてしまっただけでびくともしなかった。
開かない。閉じ込められた。
その2つが頭をよぎる。
洗面所の方を振り返ると白いワンピースの髪の長い女が気味の悪い笑顔でこちらを覗き込んでいる。
玄関の扉で足止めされている僕を見て笑っているのだ。
だが洗面所からは出てきていない。
咄嗟に自分の活路を見つけた。
ここは2階だがベランダから飛び降りれる。
足を折るくらいはあるかもしれない。
運が良ければ隣との仕切りの塀に降りられるかも。
考えるのと同時に狭い廊下を抜けるため、足に思い切り力を込めた。
白いワンピースの女が僕を捕まえようと腕を差し伸ばす。
その下を潜り抜ける。
頭が完全に腕の下を通り抜けた瞬間、背中に鋭い痛みが走った。
女の左手中指が僕の背中に刺さっている。
正確には“猫のように先の尖った爪が”だ
刺さっている部分を中心に電撃が広がるように痛みが走る。
その痛みで足がもつれて顔面から転けてしまう。
這いあがろうと床に手をついたが女が僕の足首を掴んで離さない。
「やめろ!!」
僕は蹴って女の拘束を外そうとするも、うつ伏せで倒れてしまったせいで力が入らない。
バタバタとよほどみっともなかったのだろう、女の金切り声の様な耳障りな笑い声がまた始まった。
僕は手をついて状態を起こし身体を仰向けに向き直った。
その瞬間女が覆い被さるように僕を登ってきた。
顔と顔の距離は5cmもない。真っ黒になっている目と目が合い、
大きく開いた口からは音量が増幅された笑い声が発されている。
もうダメだ。怖すぎて心が折れそうだ。
意識が遠のきそうになった瞬間、チリンとベランダの方で鈴の音がなった。
思いがけない澄んだ音に女の視線も一瞬ベランダへ取られる。
その一瞬の隙をみて女の腹を思い切り蹴飛ばしなんとか拘束から抜け出しベランダへ走る。
窓の鍵をバチんと乱暴に開け、チラリと女の方を確認する。
もう立ち上がりかけている。
大きな窓を開けベランダに飛び出す。
「痛っ」
小さな小石が足の裏に刺さるが構わない。
ベランダの柵に足をかけ登る。
もう一度女を見ると両手をこちらに突き出し突進してきている。
突き落とされたらバランスを崩して頭から落ちてしまう。
そうなると死んでしまう。
飛ぶ前に嫌な想像をしてしまい一瞬飛び出すことを躊躇ってしまった。
それがいけなかった。
もう目前にきていた女が僕めがけて飛び込んできたのだ。
視界がゆっくりと進む。
女の表情まではっきりと見えた。伸ばしている手が僕に触れる。
チリンという音が鳴ったのが聞こえた。
その時、女の脇腹に黒く丸い塊がすごい勢いでぶつかった。
ぶつかったことで女の方向が僕から斜めにずれ、そのままベランダから落ちてしまった。
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服の背中に空いた、小さな穴。あなたの背中は大丈夫でしょうか。
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次回、最終第5話に続きます。




