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49 うしサマにまつわる話
*ごがん村の昔噺
あるところに鬼がいた。
ふだんは牛のふりをして群れにまぎれ、一緒に草を食んで暮らしている。
それはそれは退屈な暮らしだった。
時に、牛を荒らす狼をなぶり殺したり、病を撒いて死体の上で踊ったり、川をあふれさせて家を流したり、気まぐれに悪さをして村人を困らせていた。
村には心の優しい娘がおり、あるとき生まれたばかりの仔牛を見にやってきた。
鬼は一目見て娘が欲しくなり、美しい男の姿になって娘の父親のもとへ行った。
父親はそれが鬼だと一目で見抜いたが、わざと騙されたふりをして言った。
「牛鬼が村で悪さをして困っている。どうにかしてくれたら娘をやろう」
鬼はおおきく頷いて、「わたしがこの村にいるうちは不吉なことは起きない」と約束した。
一方、娘は鬼を怖がり、毎晩さまざまな家に逃げ込んだ。
家主は娘を哀れみながらも軒先に目印の塩を置き、牛鬼をまねく。
牛鬼はていねいに礼をして、愛しい妻を連れて帰った。
やがては娘も鬼の深い愛に気付き、幸せに暮らしたという。
*ごがん祭りで歌われる古謡
うしンめ ほたるひ
かわいこ てっておる
みたかろ みたかろ
やァ よいよい
うたげはさいごに
とっておこ
さむかろ あつかろ
みたかろ ほしかろ
えェこにしな
えェこにしな
めェほしけりゃ
えェこにしな
えェこにしな
めェみたけりゃ




