43.覚悟の代償
(なにが・・・起こったんや・・・)
ピッチの上で、白チームの右サイドバックである青星俊は、まるで重力が倍になったかのようにその場に棒立ちのまま立ち尽くしていた。
額から流れ落ちる汗が目に入っても拭うことすら忘れている。
自分の背後、数十メートルの彼方で味方である白チームのゴールネットが激しく揺れた残酷な光景が、網膜に焼き付いて離れなかった。
つい数秒前まで、青星はあの無名の神野蹴太からいとも簡単にボールを刈り取り、自分の華麗なオーバーラップでカウンターを仕掛けるつもりだった。
あの公立中学の部活生など、名門・大阪ユナイテッドのスタメンである自分の敵ではない。そう信じて疑わなかった。だが結果として、自分の渾身のタックルはまるで闘牛士に弄ばれる猛牛のように、流麗なターンであっさりと躱された。そして慌てて振り返った時にはあの男の背中はもうはるか遠くにあった。
中学生という枠組みを完全に無視した、あの理不尽なまでのゼロヒャクの加速。
【瞬間最高初速】という異次元の才能を目の当たりにした青星の脳は、事実の理解を完全に拒絶し、フリーズしていた。そして、青星の後方でカバーに入っていた白チームのキャプテン、国近涼真もまた驚愕を隠しきれずに荒い息を吐いていた。
(・・・俺は最大限の警戒をしたはずだ。あのヤンセンが認めた男。間合いも、ポジショニングも、カバーの意識も、今の俺にできる完璧な対応だった。それなのに!)
国近はギリッと奥歯を噛みしめた。
―――抜かれた。
しかもフェイントで逆を突かれたわけでも、連携で崩されたわけでもない。
ただ純粋な【スピード】という圧倒的な暴力だけで真正面からぶち抜かれた。自分の守備として持っていた矜持を根こそぎ否定されるような、完全なる敗北。
確定してしまった過去の事実を国近はただ歯を食いしばって認めるしかなかった。しかし自分がここで下を向くわけにはいかない。国近はこの白チームのキャプテンを任されているのだ。
「まだだ!」
国近は両手を叩いてパンッと乾いた音を鳴らし、動揺するチームメイトたちに向かって大声を張り上げた。
「まだ序盤も序盤! たかが1点だ。ここから俺たちで返していくぞ! 顔を上げろ!」
国近のよく通る声が白チームの選手たちの意識を現実に引き戻す。その頼もしい姿を、センターサークルへゆっくりと戻っていく蹴太は、確かな評価を込めて見つめていた。
(あの国近ってやつ、すごいな)
蹴太は口角をわずかに上げた。
(俺の初速に対応できなかったとはいえ、あの間合いの取り方は完璧だった。ヤンセンほどじゃないが、春季大会でヤンセンと戦う前の俺ならきっとあそこで止められていただろうな)
強敵との戦いを経て、ストライカーとして覚醒したからこそ抜けた相手。蹴太はすぐにリスタートの準備に入りながらこの合宿のレベルの高さに内心で舌を巻いていた。
一方蹴太の凄まじさに動揺しているのは失点した白チームだけではなかった。
味方であるはずの紅チームの陣営でも、エリート意識の塊だった選手たちが亡霊でも見たかのような顔で固まっていた。
「えっ・・・なにが・・・えっ?」
佐々木雅人が引きつった顔で何度も瞬きをしている。
「な、なんだよ! あいつ! あんなの聞いてねぇぞ・・・」
石高誠也が震える声でつぶやく。
「ただの部活生じゃなかったのかよ・・・バケモンじゃねぇか・・・」
有馬貴大も冷や汗を流しながら蹴太の背中を見つめていた。
試合前、蹴太を【無名の公立】【コネで入った異物】とバカにし、露骨に陰口を叩いていた三人。彼らは今、自分たちの目がどれほど節穴であったかを思い知らされていた。
こぞって理解した。いや、残酷なまでに理解させられてしまった。
こいつには到底勝てない。自分たちが温室で積み上げてきた実績など、あの理不尽な才能の前では紙屑同然なのだと。
その紅チームの澱んだ空気を一瞬で切り裂いたのは最後尾に君臨する傑物だった。
パンッ!! パンッ!!
「はいはい! 意識切り替えろ! お前ら、味方が点決めたんだから、とりあえず喜んどけ!」
ヤンセン・大河が呆れたような、しかしどこか楽しげな声で手を叩いた。
「ほら、相手のボールでのリスタートだぞ! 中をパカパカ空けるなよ。気をつけろ!」
ヤンセンの圧倒的なキャプテンシーに引っ張られ、紅チームの選手たちもハッとして我に返り、少しずつ落ち着きを取り戻してリスタートのポジションへと散っていく。
そしてヤンセンは自陣の最終ラインで腰に手を当てながら、センターサークルに立つ無名の背中を見つめていた。
(やれやれ・・・相変わらず理不尽極まりない初速だな)
ヤンセンの口元に、深い笑みが刻まれる。
(敵に回すとこの上なく厄介で嫌な相手だが、いざ味方になるとこれほど頼もしい背中は他に無いよ)
ヤンセンは蹴太という存在がこのチームにどのような化学反応をもたらすのか、その行く末を特等席で見られることに心底ワクワクしていた。そして、主審を務めるスタッフのホイッスルが鳴り、白チームのキックオフで再び試合が動き出した。
ワントップの武雄颯太がボールを軽く蹴り出し、トップ下の外丸直樹へと下げる。
「よし、まずは落ち着いて回して・・・」
外丸がボールを足元に収め、顔を上げてパスコースを探そうとした、その瞬間だった。
(はやっ!)
外丸の視界の端から蹴太が急接近してきた。
先制点を奪った直後だというのに、自陣に下がるどころか、キックオフのボールが動いた瞬間に前線から爆発的なスプリントで猛プレスを掛けてきた。
外丸はまだ周囲の状況を完全に把握しきれていなかった。ボールを足元に置いたまま、ほんの一瞬判断が遅れる。その致命的な隙を蹴太が見逃すはずがない。
「しまっ・・・」
蹴太の足がボールに届く寸前。
「外丸君! こっちに!」
左サイドから鋭く、的確な声が飛んだ。明石SCのキャプテンの左サイドバックの鵜飼朝陽。
外丸はその声に反応し、蹴太のタックルが突き刺さる間一髪のタイミングで、左サイドのスペースへ向けてボールを蹴り出した。
(ちっ! さすが鵜飼。俺の狙うタイミングが完全に分かってるか!)
蹴太は舌打ちをし、すぐさま方向を転換する。
朝陽はリスタートのホイッスルが鳴ったと同時に蹴太と同レベルの走力をフルに活かして、すでに高い位置まで一気にオーバーラップしてきていた。蹴太が前線からハイプレスを掛けることをかつての死闘の記憶から完全に予測していたのだ。
パスを足元にピタリと収めた朝陽の前に紅チームの右インサイドハーフ、横畑海夏人が立ちはだかる。
「速いね! 君!」
甘いマスクに似合わない、闘争心を剥き出しにした目で横畑が間合いを詰める。
(ここは一気に縦へ!)
朝陽は自慢の走力を活かし、ボールを大きく蹴り出して横畑を一気に置き去りにしようとした。
だが横畑もまた、静岡ウォリアーズで厳しい競争を勝ち抜いてきた代表選手。スピードこそ朝陽に劣るものの、身体の入れ方とコースの消し方が絶妙だった。抜ける隙を一切見せず、朝陽の突破のルートを巧みに塞いでいく。
(・・・さすがに簡単には抜かせてくれないか。仕方ない、ここは国近君に!)
朝陽は強引な突破を諦め、素早く状況を判断して中盤の中央でサポートに来ていたボランチの国近へとパスを戻した。
国近はそのパスを足裏でピタリと止めることなく、流れるようなファーストタッチで右サイドの広大なスペースへとボールを展開した。
「ないすや! 国近はん!」
右サイドのタッチライン際。そこにぽっかりと空いたスペースでボールを受けたのは、青星俊だった。先ほどの失点で屈辱を味わわされた青星は、名誉挽回とばかりに鼻息を荒くしてボールをトラップし、前方のスペースへとドリブルで駆け抜けようとする。
「ここで俺のクロスから同点弾や!」
だが青星がトップスピードに乗ろうとした瞬間。その真横にピッタリと張り付くように並走する影があった。
「! おまえ!?」
青星が驚愕に目を見開く。そこにいたのはあろうことか、つい数秒前まで逆サイドのトップ下の位置にプレスを掛けていたはずの蹴太だった。
「なんで・・・【無名】のお前がこんなところにおんねん!?」
「・・・」
蹴太は青星の焦りに満ちた言葉に耳を貸さなかった。
表情一つ変えず、息一つ乱さず、ただ無言で青星と並走する。その冷徹な視線は青星の顔など見ていない。ただ青星の足元のボールの動きと、その重心の移動だけを機械のように精緻に見つめ、いつ奪い取るかを思案している様子だった。
(なめやがって・・・! さっきのはただのまぐれや! お前なんぞ、俺の敵やないわ!)
青星のプライドが再び暴走した。
名門・大阪ユナイテッドのジュニアユースで、エリートとして名を馳せてきた男の意地。ここで無名の選手に怯んでボールを下げれば、自分の存在価値が否定される。
青星は無謀にもスピードを緩めず、並走する蹴太をドリブルで強引に抜きにかかった。しかしその感情に任せた焦りこそがストライカーの格好の餌食となる。
青星の意地とプライドは蹴太という絶対的な実力の前で何の意味も持たなかった。
「・・・」
蹴太は青星がボールを前に押し出したその一瞬の隙、身体がボールから離れたコンマ数秒のタイミングを見逃さなかった。無言のまま、スッと足を差し出す。
足裏で軽くボールの軌道をなぞるように触れ、青星のコントロールから完全にボールをロストさせる。そしてそのままの圧倒的なスピードを維持したまま、奪い取ったボールを自分の前に置き、ガラ空きになった右サイドのスペースを一気に駆け上がっていった。
「うそ・・・やろ・・・」
青星は自分の足元からボールが消え、再び目の前で遠ざかっていく蹴太の背中を、ただ呆然と見送ることしかできなかった。
タックルすらかわされ、並走からいとも簡単にボールを奪われる。認めたくない。絶対に認めたくなどない。だが認めざるを得ないほど、実力がはっきりと残酷なまでに乖離していた。自分とあの男の間には埋めようのない深くて暗い溝があるのだと。
そして青星からボールを奪い取った蹴太は、右サイドから一気に内側、中央へと鋭く切り込んでいく。その前方に白チームの心臓である二人のボランチ、国近ともう一人の守備的MFである三國健が分厚い壁となって立ち塞がった。
「三國! 左のコースは任せた。お前は左だけ集中して切れ!」
「了解!」
国近は一瞬の判断で指示を飛ばした。
先ほどの失点シーンで国近は痛いほど理解していた。この男を自分一人で止めることは不可能だと。そのため相方の三國に蹴太の左側への突破の警戒を全面的に任せ、自分自身は蹴太の右側である縦への突破と、正面からの迎撃に全集中力を注いだ。
(あのトップスピード。分かってたって止められん! なら相手がアクションを起こして動く前に、こちらから潰して刈り取る!)
国近は蹴太がスピードに乗る前に、一歩前へ出て決死のタックルでボールを刈り取ろうと飛び込んだ。
最悪、刈り取れなくてもいい。足先でボールに触れ、少しでも軌道をずらしてスピードを殺すことさえできれば、後ろに控えるセンターバックが必ず対応してくれる。そう信じての捨て身の一歩だった。そして国近の足がボールを捉えんとする。
「・・・」
だが蹴太はさらにその上を行っていた。
国近が飛び込んでくるその瞬間、蹴太は足元のボールを右足のかかとで自分の真後ろへとトンッと軽く弾き返した。
ヒールパス。
そしてその後ろには蹴太の死角に隠れるようにして、猛スピードで駆け上がってきていた影があった。紅チームのトップ下、九条隼人。
「ナイスパス!」
九条が蹴太のヒールパスを無駄なくダイレクトで足元に収める。
(ちっ! こいつ、わざと九条と俺の間に入りやがったのか!)
蹴太はヒールパスを出した直後も、ピードを一切緩めることなく前進を続けていた。意図的な進路妨害ではない。ただパスを出した余韻での、ごく真っ当な前方へのランニング。
しかしそのあまりにも速く、存在感のある絶妙な位置取りが、国近とボールを持つ九条との間に越えられない【物理的な壁】を作り出していた。
その壁のせいで国近はすぐさま九条へのプレスに向かうことができず、対応が完全にワンテンポ遅れてしまった。
完全にフリーになった九条はそのままドリブルでペナルティエリアの手前まで一気に侵入する。
「止めろっ!」
国近が叫び、白チームの二人のセンターバックの窪田大輔と中村彰人が慌ててラインを下げながら九条のカバーに入る。
「へい!」
九条はセンターバックの二人が自分に引きつけられたその瞬間を見逃さなかった。
左足を鋭く振り抜き、ペナルティエリア内へふわりとした、それでいてピンポイントの精確なクロスを上げる。そしてそのクロスの落下点。
そこにはボランチの三國のマークを鮮やかに躱し、センターバック二人が九条に釣られて空けた一瞬の裏のスペースへ、完璧なタイミングで走り込んでいた神野蹴太がいた。
「ふんっ!」
蹴太はペナルティエリア内で力強く地を蹴って跳躍した。
高い。
ヤンセンとの空中戦で己のフィジカルの限界を知った蹴太だが、フリーの状態での彼の跳躍力はヤンセンと並び立つ。
空中で身体を弓のように反らせ、九条からのクロスにドンピシャのタイミングで頭を合わせる。
固有スキル【ヘディング】。
額の芯で捉えられたボールはGKの林が一歩も動けないほどの恐ろしい速度で、ニアサイドのネットへと完璧に突き刺さった。
ドバァァッ!!
白チームの右サイドバックである青星からボールを奪い取ったところから始まった、流れるような、そしてあまりにも美しく華麗なカウンターアタック。
試合開始わずか13分。
【紅チーム 2―0 白チーム】
神野蹴太という圧倒的な【個】の力と、そこから生み出された九条隼人との高度な【連携】による決定的な2点目。
もうピッチ上の誰一人として、この無名の公立中学生の実力を疑う者はいなかった。
ピィーーーッ!
そして2点目が決まり、紅チームが歓喜に沸く中、久森監督はピッチの脇で短く、しかし鋭いホイッスルを吹いた。
その久森は足早に呆然と芝の上に座り込んでいる青星俊のもとへと真っ直ぐに向かった。
周囲の選手たちが何事かと固唾を呑んで見守る中、久森は青星を見下ろし、氷のように冷たい声で宣告した。
「お前はもういい。帰れ」
「・・・えっ」
青星は自分が何を言われたのか瞬時には理解できず、間抜けな声を漏らした。
「ど、どういうことですか、監督・・・?」
久森は怪訝な顔をして見上げる青星を、まるでゴミでも見るような冷徹な目で見下ろした。
「俺は最初に言ったはずだ。『過去の肩書きや実績など、俺のピッチでは何の意味も持たない』とな」
「・・・」
「お前は何だ? 相手が公立の無名選手だと知るや否や、相手を舐め腐り、感情に任せて飛び込むような幼稚なプレーをたった13分の間に2度もした」
久森の言葉は鋭い刃のように青星のプライドを切り裂いていく。
「1度目は無謀なスライディングで先制点の起点を作られ、2度目は無謀なドリブル突破でボールを奪われ、2点目の完璧な起点になった。お前のその薄っぺらいプライドと油断がチームに致命的な2失点をもたらしたんだ」
「・・・っ!」
「そんな三流以下のメンタルしか持っていない奴に、日の丸を背負う代表を名乗る資格はない。荷物をまとめてさっさとピッチから出ろ。大阪へ帰れ」
非情な宣告。
合宿初日、試合開始13分での事実上の強制送還命令。青星の頭から血の気が完全に引いた。名門クラブで常にチヤホヤされてきた彼にとって、それは人生で初めて味わう明確な【クビ】の宣告だった。
「い、いやです!」
青星は震える声で叫んだ。
「なんだと?」
久森の目が細くなる。
「もう絶対に舐めたマネなんてせぇへん! 相手が誰やろうと、死に物狂いでプレーします! だから、たのんます! もう一度、俺にチャンスください!」
青星は立ち上がることすら忘れ、熱を持った芝の上に無様に四つん這いになった。ここで引き下がれば、自分という人間の価値が完全に終わる。名門クラブのエリートという薄っぺらいプライドなど、どうでもよかった。
「お願いしますっ!!」
青星は久森の足元に公衆の面前で額をこすりつけ、見苦しい土下座をした。
全国から集まったエリート選手たちが見ている前で、プライドも、名門の看板もすべてかなぐり捨てて、精一杯ピッチの芝に額をこすりつけた。
ここで帰れば自分のサッカー人生は終わる。それだけは本能で理解していた。そして久森は額を擦り付ける青星を無言で見下ろしていた。
数秒の重い沈黙がピッチを包む。
「・・・なら一つだけ条件だ」
久森の低く静かな声に青星がハッと顔を上げる。
「なんですか!? なんでもやります!」
「もし、9月からのU―15ナショナルチャンピオンシップの予選で、日本がグループステージを突破できない時。お前はもう二度、どの年代の日本代表にも呼ばれないように俺が手配する。たとえお前が今後、どれほどの実力を身につけたとしても、だ」
「そ、それは・・・」
青星は言葉を失った。
それは自らのサッカー人生における【代表】というキャリアを、このたった一つの大会の結果にすべて賭けるという、あまりにも重く、残酷な契約だった。
「嫌なら帰れ。お前の選択肢は2つだ。今すぐ尻尾を巻いて去るか、ここに残って今のこのU―15日本代表というチームにお前のサッカー人生の運命のすべてを委ねるか。どっちだ?」
久森の冷酷な問いかけに青星は奥歯を噛みしめ、ギリッと血が滲むほどに拳を握りしめた。
「・・・残ります!」
青星は土下座の姿勢からゆっくりと立ち上がり、久森の目を真っ直ぐに見返した。その目からは先程までの傲慢なエリートの面影は完全に消え去っていた。
「俺は残って、必ずチームの役に立って、死んでもグループステージを突破してみせます!」
「・・・なら準備しろ」
久森は表情を変えず、短くそう言い捨てた。
「お前のチームは現在、2-0のビハインドだ。お前は右サイドバック。俺に口で誓う必要はない。実力をピッチの上で示せ」
「はいっ!!」
青星が腹の底から声を振り絞って返事をするのを聞き届け、久森は背を向けてセンターサークルへと戻っていった。そして立ち上がった青星の顔にはもう迷いはなかった。
泥だらけの顔を袖で乱暴に拭い、自分のポジションへと向かうその目には過去の実績やプライドをすべて捨て去り、一人のサッカー選手として這い上がろうとする揺るぎない闘志がみなぎっていた。




