39.扉を開ける者
6月下旬。
東京都某所にある日本サッカー協会(JSA)本部。その奥に位置する大会議室の中では、息の詰まるような緊迫した重い空気が流れていた。
長大な楕円形のテーブルを囲むように座っているのは、日本サッカー界の育成年代を担う重鎮たち。各地域のトレセン責任者、強化部長、育成委員会の幹部たち。彼らの懐疑的な視線は、部屋の上座に立つ一人の男へと一斉に注がれていた。
日本サッカー協会ナショナルチームダイレクター、柳野隆二。
柳野は手元にある分厚い資料の束をパタンと閉じ、張り詰めた沈黙を破るように、低く、しかし有無を言わせぬ響きを持った声で宣言した。
「以上の理由により、今年日本で開催されるU―15ナショナルチャンピオンシップにおける日本代表メンバーは、この26名で決定とします」
会議室にどよめきにも似た重い吐息が広がった。
数名の委員が何かを言いたげに口を開きかけたが、柳野の射抜くような鋭い視線に気圧され、結局誰も反論の声を上げることはできなかった。
「異議がないようでしたら、本日の選考会議はこれで終了といたします。皆様、長時間の審議、ご苦労様でした」
柳野はそう言って深く一礼すると、足早に会議室を後にした。
そのままエレベーターに乗り込み、自身の執務を行っているフロアのデスクへと向かう。そして自席に辿り着くや否や柳野はネクタイを少し緩め、オフィスチェアに深く腰を沈めた。
「ふぅ・・・」
長時間の保守的な連中からのプレッシャーから解放され、肺の底に溜まっていた重い空気を一気に吐き出す。すると、絶妙なタイミングで傍らにスッとマグカップに入ったコーヒーが差し出された。
「お疲れ様です、柳野さん」
部下である氷川清美が、労いの言葉とともにコーヒーを差し入れた。
「あぁ、サンキュー」
柳野はコーヒーを受け取り、一口すする。そして一息ついた柳野は、早速デスクの上のノートパソコンを開いた。画面には先程まで行われていた選考会議の議事録と最終決定された26名のリストが表示されていた。
氷川はそのリストの最後尾にある【一つの名前】に視線を落とし、小さくため息をついた。
「結局、ねじ込んだんですね」
「人聞きが悪いな、氷川。ねじ込んだなんて物騒な言い方はよしてくれ」
柳野はコーヒーを片手に苦笑しながら画面を見つめた。
「でも、事実じゃないですか? 今日の会議、あの選手を入れることに対して最初は育成委員会のほぼ全員が猛反対していましたよね。【無名の部活動の選手をいきなり国際大会の代表に選ぶなど前代未聞だ】って」
「そうだな。頭の固い連中ばかりで説得に骨が折れたよ」
「その説得にこの前の春季大会・・・白豪学園戦の動画を使ったんですよね?」
氷川の問いに柳野は薄く笑みを浮かべた。
「俺はただ、圧倒的な【個】を持つストライカーの存在を彼らに紹介しただけだ。言葉で飾るより、実際にモノを見せた方が早いからな」
柳野はそう言うとパソコンのキーボードを操作し、一人の選手のパーソナルデータを画面に大写しにした。
【神野蹴太 区立青下中学校三年(青下・松野川合同チーム所属)】
「神野蹴太・・・」
柳野はその名前を愛おしそうに、そしてどこか恐ろしいバケモノの名前を呼ぶように口にした。
「あれから協会のネットワークをフルに使って徹底的に彼の過去を調べさせたが、結果は氷川の事前の調査通りだった。どこのJリーグの下部組織にも、強豪街クラブにも所属していた形跡は一切ない。もちろん、海外のクラブにいたという経歴もな。正真正銘、純度100%の公立中学校の部活動上がりの選手だ」
「本当に無名の部活動だけでやってきたんですね・・・しかも、地区トレセンや都道府県トレセンの選抜記録にすら、一度も名前が挙がっていません」
スポーツ庁から出向してきている氷川にとって、それは日本の育成システムを根本から否定しかねない異常事態に思えた。
これだけの圧倒的な才能がなぜ協会の中央システム網のレーダーに一切引っかからなかったのか。
「まぁ、それはいいさ。トレセンの選考会はあくまで任意参加だからな。指導者が推薦しなかったのか、本人が興味を持たなかったのかは分からないが、参加しない奴も一定数はいる。問題はそこじゃない」
柳野はそう言うと、会議で委員たちに見せつけた例の動画を再生した。
白豪学園戦で神野蹴太がヤンセン・大河を含む5人を置き去りにし、50メートルを独走してゴールを奪った、あの悪魔的なプレーの映像。
画面の中で、背番号9が理不尽なまでの【瞬間最高初速】で、世代ナンバーワンのディフェンダーであるヤンセンを、ただの走力だけでぶっちぎっていく。
何度見ても、背筋に冷たい粟が立つ光景だった。
これを初めて見せられた時の会議室の重鎮たちの絶句した顔。柳野はそれを思い出し、口の端をニヤリと吊り上げた。
「これほどのバケモノを、野に放っておくほど今の日本サッカーは強くないんだよ」
「・・・そうですね」
「ともかくだ。俺は腹をくくった。神野をこのU―15代表のリストに通すのにまた相当な無茶をしたからな」
柳野はノートパソコンをパタンと閉じ、背もたれに体重を預けて天井を仰いだ。
氷川は呆れたように肩をすくめる。
「またですか・・・つい先日もこのU―15日本代表の監督に、まだまともに監督経験のない元プロの久森監督を強引に推挙して通したばかりじゃないですか。あの決定のせいで、上の反感を買って柳野さんの出世の話が白紙になったって、専らの噂ですよ?」
「いいじゃねぇか、出世なんて。俺の人生の話なんだし、俺がやりたいようにやるさ。日本が世界で勝つための最短ルートを探るのが俺の仕事だからな」
柳野はケラケラと笑い飛ばした。
「で? 今度はどうなるんです? 異端の監督に、無名の部活動の選手。こんな爆弾を二つも抱え込んで」
「大したことねぇよ」
柳野は事もなげに言った。
「もし俺が推挙した久森監督とこの神野を使って、今回のU―15チャンピオンシップで予選リーグを突破できなきゃ・・・俺が全責任を負って、協会をクビになるだけだ」
「えぇ!?」
氷川は目を見開き、素っ頓狂な声を上げた。
自分の首を懸けてまであの中学生一人に日本の未来を賭けたというのが信じられなかった。
「冗談ですよね・・・?」
「さぁてね」
柳野はそれ以上氷川と目を合わさず、ニヤリと笑ったまま手元の別の書類の処理に取り掛かった。氷川は呆然と立ち尽くし、ただその破天荒な上司の横顔を見つめることしかできなかった。
■■
それから数日が過ぎた7月上旬。
厳しい日差しが照りつける、松野川中学校の職員室。
本日は蹴太が放課後に居舘の元を訪れる予定だった。しかしその直前に放送で呼び出されたため、一緒に会うはずだった春樹を先に合流させていた。
「お電話代わりました。居舘です」
職員室に到着早々、受話器を耳に当てる。
「お世話になっております。日本サッカー協会、JSAの氷川と申します」
「はい、いつもお世話になっ・・・えっ? JSAって・・・あの日本サッカー協会ですか!?」
居舘の声に周囲の教師たちが驚いて一斉に振り向いた。
「はい。お忙しいところ恐縮ですが、単刀直入に申し上げます。青下・松野川合同チームの顧問として登録されている居舘さん。そちらに所属の【神野蹴太】君ですが、今回、U―15の日本代表メンバーに選出されました。つきましては、強化合宿および大会へ参加していただきたく、まずは本人にその旨をお伝えいただけますでしょうか」
「・・・は?」
居舘の頭は完全に真っ白になり、しばらく呼吸の仕方すら忘れてしまった。
■■
「俺が日本代表? どういうことですか?」
松野川中学のグラウンドの片隅。
進路の報告を終え、吉峰春樹も含めた五人で高校での再会を誓い合っていた蹴太たちの前に、息を切らして駆け込んできた居舘が告げた言葉。
それはあまりにも現実離れしすぎていて、蹴太の口からは間の抜けた疑問符しか出てこなかった。
「どういうことも何もない! さっき俺のところに直接JSAから連絡があったんだよ!」
居舘は興奮のあまり唾を飛ばしながら、蹴太の両肩を激しく揺さぶった。
「どうやら、あの事件のあと合同チームの大会登録上の窓口が俺に変更になっていたから、先に俺のところに話が来たらしい!」
「そうですか・・・いや、でもなんで俺なんかに?」
蹴太は冷静に首を傾げた。
自分が圧倒的なステイタスを持っていることは自覚している。だが公式の記録としては、自分はただの【都大会一回戦負けの無名の部活動の選手】に過ぎない。年代別の代表に選ばれるような実績は何もない。
「それは・・・俺にもわからん!」
居舘はきっぱりと言い切った。
「だが、お前のあの白豪戦でのプレーを協会の偉い人間が見ていたとしか考えられない。とにかく! 明日、青下中学でお前に直接、アンダー世代のナショナルダイレクターが会いに来て正式な通達をするらしい。お前、すごいことだぞ! とりあえず、おめでとう!」
「はぁ・・・ありがとうございます」
蹴太自身はまだ状況を全く飲み込めておらず、どこか他人事のように気の抜けた返事をした。しかし、周囲の仲間たちは違った。一瞬の静寂の後、グラウンドに爆発的な歓声が響き渡った。
「マジか! マジなのかよ、蹴太ぁぁぁっ!!」
健一が顔を真っ赤にして、蹴太の首に激しく抱きついた。
「おい、苦しい! 離れろ、バカ!」
「日本代表だぞ!? あのテレビで見てる、胸に日の丸がついてるやつだろ!? 俺の幼馴染が日本代表!? ヤバい、ヤバすぎるって!!」
健一は興奮のあまり、泣き出しそうな顔で飛び跳ねている。
「本当に・・・神野君が・・・」
明里は両手で口元を押さえ、信じられないというように目を丸くして震えていた。
「すげぇな、神野・・・」
春樹もまた、圧倒されたようなため息を漏らす。つい先程、「高校に行ったら一緒に全国を目指そう」と誓い合ったばかりの男がいきなり高校サッカーという枠組みすら飛び越え、自分たちの遥か頭上、【世界】へと足を踏み入れようとしている。その次元の違いに言葉を失っていた。
そしてその輪から少しだけ離れた場所で蒼空斗が腕を組んだまま、静かに口の端を吊り上げていた。
「・・・ふっ。見事に先を越されちゃったね」
かつて、東京カイザースのジュニアユースで将来の日本代表を期待されていた天才。怪我で一度はその夢を絶たれたが、必ずあの場所へ戻ると誓った男。
その彼が目指していた場所に突如現れた友であり最大のライバルが、あっさりと先に到達してしまった。
悔しい。だがそれ以上に誇らしく、熱いものが胸の奥で燃え盛っていた。
「蹴太。日本代表のユニフォーム、絶対に似合わないと思うけど・・・せいぜい暴れてきなよ」
「うるせぇ」
■■
その日の夕方。
蹴太が家に帰ると、玄関のドアを開けるよりも早く、中からドタバタという激しい足音が近づいてきた。
ガチャッ!
「あんたっ!!!」
ドアを勢いよく開け放ったのは目を真っ赤に充血させた母親の夏美だった。
「母さん、うるさい」
「うるさいじゃないわよ! サッカー協会ってところから電話があったのよ! あんた! 日本代表よ! 本当に! すごい、すごすぎるわ!」
母親の夏美はそのまま蹴太に強く抱きついた。
「ちょ、離せって・・・暑苦しいな」
いくら引き剥がそうとしても、母親の力は信じられないほど強かった。そして夜になり、仕事から疲れ果てて帰ってきた父親の博も、玄関で靴を脱ぐなりそのニュースを聞かされた。
「・・・は? 日本、代表? うちの蹴太が?」
父親の博は持っていた仕事用のカバンをその場に取り落とし、数秒間完全にフリーズした。そして事態を正確に理解した瞬間、スーツ姿のままリビングで跳び上がった。
「うぉぉぉぉぉぉっ!! やったぁぁぁっ! 俺の息子が日の丸を背負うぞぉぉぉっ!!」
日頃の社畜としての疲れなど微塵も感じさせない大ジャンプ。そして博はそのまま蹴太に飛びつき、母親と一緒に涙を流して大騒ぎを始めた。
「・・・うるさっ」
蹴太は両親にもみくちゃにされながら、深くため息をついた。だが蹴太の胸の奥にもじんわりと温かい何かが広がっていくのを感じていた。
翌日の放課後。区立青下中学校、校長室。
普段は生徒が立ち入ることなど滅多にない、重厚な革張りのソファが置かれた部屋に、蹴太は学生服姿でぽつんと座らされていた。
隣のソファには蹴太の担任である中田と、青下中学の校長がまるで死刑宣告を待つ罪人のように、額から滝のような汗を流しながらカチコチに緊張して座っている。
「いやはや・・・まさか、うちのような普通の公立中学校から、サッカーで日本代表の選手が生まれるとはな・・・私の教育者人生でも類を見ない快挙だ・・・」
校長がハンカチで何度も汗を拭いながら、震える声で呟く。
「本当に・・・私も驚きを隠せません。神野は確かに成績優秀ですが、サッカー部では万年一回戦負けだったはずで・・・」
中田もまた信じられないというように蹴太をチラチラと見ている。
「俺も驚きですよ。というか、今でも何かの詐欺か、人違いだと思っていますよ」
蹴太は出された緑茶をすすりながら、一人だけ極めて冷静に淡々と返した。
その時、校長室の重厚な扉を『コンコン』とノックする音が響いた。
「ひっ!」
校長が奇妙な悲鳴を上げて跳び上がり、慌てて「ど、どうぞ! お入りください!」と声を裏返らせた。
ガチャリ、と扉が開き、室内に入ってきたのは二人の人物だった。
一人は知的な眼鏡をかけたスーツ姿の女性、氷川清美。そしてもう一人は上質な仕立てのスーツを身に纏い、その場にいるだけで周囲の空気を圧倒するような強烈なオーラを放つダンディな男だった。
「初めまして。日本サッカー協会、アンダー日本代表のダイレクターを務めております、柳野隆二です」
柳野は校長たちに軽く一礼した後、真っ直ぐに蹴太の前へと進み出た。
「君が、神野蹴太君だね」
「はぁ・・・ども」
蹴太が立ち上がり、柳野から差し出された右手を掴んで握手をする。
分厚く、力強い手だった。この男がただのスーツ組ではなく、かつてピッチで修羅場をくぐり抜けてきた人間であることがその握力だけで伝わってきた。
柳野と氷川がソファに腰を下ろすと氷川がタブレットを開き、校長と中田に向けて改めて神野蹴太がU―15日本代表メンバーに正式に選出されたこと、そして今後の強化合宿や大会のスケジュールについて事務的な通達を行った。
「本当に、我が校から代表選手が・・・これは学校を挙げて横断幕を作らねば!」
校長が感極まって涙ぐむ中、柳野は話を切り上げるようにスッと立ち上がった。
「校長先生、担任の先生。ご承諾いただき感謝いたします・・・ところで、神野君」
柳野は蹴太を見下ろした。
「この後、少しだけ君と二人きりで話せるかい?」
校舎の外、夏の強烈な西日が照りつける青下中学の土のグラウンド。
生徒たちはすでに下校し、部活動もしていない誰もいない静寂なグラウンドの真ん中に、柳野と蹴太は並んで立っていた。
「単刀直入に聞く」
柳野はポケットに手を入れたまま、真っ直ぐに蹴太の目を見据えた。
「君は・・・サッカーの【日本代表】をどう思う?」
「どう思うって・・・」
蹴太は首を傾げ、そして一切の遠慮なく正直な感想を口にした。
「いや、別になんとも思ってないですよ」
普通の中学生であれば「憧れの場所です」とか「光栄です」と模範解答を返すところだ。だが、蹴太は違った。前世で理不尽な才能の壁に絶望し、一度はサッカーを捨てた男。憧れはとうに捨てていた。
そして蹴太のそのあまりにも素っ気なく、可愛気のない回答に、柳野は心底楽しそうにフッと笑顔を浮かべた。
「そうか。いや、いい答えだ。お前みたいなストライカーにはそのくらい図太い方が合っている」
柳野は真剣な表情に戻り、蹴太の真正面に立った。
「だが、これだけは覚えておいてくれ」
柳野の瞳に深い熱が宿る。
「サッカーに【絶対】はない」
「・・・」
「それはピッチの中だけじゃない。ピッチの外、世界の歴史や常識においてもそうだ」
蹴太は黙って柳野の言葉の続きを待った。
「世界には、およそ戦術や組織論ではどうにもならないすべてを理不尽に破壊する【怪物】と呼ばれる絶対的な存在がいる。しかも一番大事な、点を取る【ストライカー】のポジションにだ」
柳野はふと遠い過去の悔しさを思い返すような、どこか遠くを見る目をした。
「長年、日本は組織力で世界と戦ってきた。パスを繋ぎ、規律を守る。だが、最後の最後の扉をこじ開ける、すべてを一人でひっくり返せるような狂った【怪物】は、この日本の土壌からは絶対に生まれないと、世界中から・・・いや、俺たち日本サッカー界自身がそう諦め続けてきた」
柳野は再び視線を蹴太に戻しその強い視線で蹴太の心を射抜いた。
「だが、それが覆った」
「・・・」
「お前だ、神野蹴太」
その言葉に蹴太の胸の奥がドクンと大きく跳ねた。
「俺は白豪学園戦でのあの50メートルの独走を見た。ヤンセンという世界基準の壁を、お前はただの己の【個】の暴力だけで破壊してみせた。俺はずっとお前みたいな理不尽なバケモノがこの国から現れるのを待っていたんだ」
柳野の声には何十年もの間、日本サッカーが越えられなかった壁に対する深い絶望と、それをついに打破できるかもしれないという強烈な希望が入り混じっていた。
「まだ15歳の君に言うのは大人のエゴとして間違っているかもしれない。途方もない責任を、国を背負うという重圧を感じさせて潰してしまうかもしれない」
柳野はそう言うと、慈愛に満ちた、それでいて確かな光を見つけたような真っ直ぐな目で、蹴太に問いかけた。
「日本を、頼んでもいいか?」
夏の熱を孕んだ風が吹き抜け、公立中学の乾いた砂埃が舞い上がった。しかし蹴太は柳野のその強い目から一切視線を外さなかった。
(日本を頼む、か・・・)
蹴太は、自分の足元を見た。自分の足にはあの日、ヤンセンを置き去りにした時の、あの爆発的な熱がまだ確かに残っている。そして仲間から想いを託され、自分の意志でゴールを奪う快感を知ってしまった。
ストライカーとして完全に目覚め、【ガチでサッカーをやる】と決めた。
(サッカーの神からの愛を受けたんだ。これをやるのも俺の責任か)
蹴太はゆっくりと、だが確かな自信と覚悟を持って口の端を吊り上げた。そして日本サッカー界の頂点に立つ男に向かって不敵な笑みと共に言い放った。
「・・・任されました」
その言葉を聞いた瞬間、柳野の顔に今日一番の会心の笑みが浮かんだ。
その後二人は校長室に戻り、関係各所への書類にサインを交わした。そしてこの日、神野蹴太は正式にU-15日本代表のメンバーとなった。
すみません、一応続けるつもりですが、次から一話ずつの更新となるかもしれません。
以上、報告でした。




