↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強ゲーマーの《多世界攻略録(マルチバースアーカイブ)》  作者: 紅柳
第二編 パーティーレイド編 
9/182

第9話:パーティー戦

「……というわけで、これが黒死蝶『第四師団』のアジトの場所よ」


放課後の生徒会室。メグがノートPCの画面を俺たちに突き出した。画面には、街の寂れた地下格闘場跡地が映し出されている。


「すぐに警察に通報して突入すべきよ!」

一条さんが息巻くが、俺は即座に首を振った。


「ダメだ、一条さん。敵のホームグラウンドに生身で突入するのはクソゲーの極み。向こうの拠点を攻めるんじゃない。あいつらを、俺たちの『フィールド』へハメ出す(釣り出す)んだよ」


俺の作戦はこうだ。メグの情報工作で「一条カレンが1人で近くの工事現場跡地にいる」という偽情報を流し、敵を誘い出す。視界が開け、事前にこちらがシステム(地形)を掌握できる場所で迎撃するのだ。


全員の片耳には、メグ特製の無線イヤホン。そして俺のポケットには、メグが放課後に急造した「バフ・デバフアイテム」が詰まっている。


「……来たわ。第四師団の先遣隊、総勢12名。いいモヒカンね」

物陰からメグの声がイヤホンに響く。


「よし、全員作戦通りに動け。イベント『第四師団・先遣隊ハメ殺し戦』を開始する!」


俺はあえて、一番目立つフィールドの中央へと姿を現した。


「あ? なんだあいつ、一条カレンじゃなくて、ただの冴えないもやし男じゃねえか」

「チッ、騙されたか。おい、ムカつくから最初にあの弱そうなのブチのめそうぜ!」


不良たちのヘイト(敵意)が、一斉に俺の「最弱ステータス」へと集中する。狙い通りだ。全力でこちらに走ってくる12人の不良。


「うわあああ怖い!!」

内心の本音を叫びながら、俺はポケットからメグ特性のアイテム①『閃光フラッシュ・プロトタイプ』――超高輝度LEDを仕込んだ改造防犯ブザーを起動し、地面に投げつけた。


激しい電子音と共に、夜の工事現場に爆発的な閃光が走る。

「うおっ!? 眩しっ……目がッ!?」

突っ込んできた前衛3人の動きがピタリと止まる。ゲームでいう『目眩まし(スタン)』のデバフだ。


「一条さん、今だ! 正面3人のヘイトを固定しろ!」


「よく分からないけれど、要するに怯んでいる隙に叩けばいいのね!?……そこッ! 不法侵入および暴力行為よ!」

物陰から飛び出した一条さんが、手にした木刀で美しく鋭い三連撃を叩き込む。一瞬で3人が崩れ落ちた。さらに彼女の圧倒的な武力と生徒会副会長としての威圧感に、後ろの不良たちの視線が釘付けになる。ヘイトのターゲットが俺から一条さんへ移った瞬間だ。


「闇風、一条さんがタゲを取った! 左の死角から回り込んでトドメを刺せ!」


「御意……!」

一条さんの影に潜んでいた闇風が、視線を奪われた敵の隙を見逃さず、背後から一瞬で2人の意識を刈り取る。完璧なバックスタブ(不意打ち)だ。


しかし、敵もさるもの。第四師団のフィジカルは第七師団の比ではない。

「舐めるなァ! 女ァ!」

大柄な不良が、一条さんの防御を力任せにぶち破ろうと鉄パイプを振り下ろす。


「一条さん、耐えろ! メグ、足元へ『鈍足スロウ』だ!」

「オッケー、サブマスター。特製ベアリングパチンコ、発射!」


後方からメグが放った鉄球が、大柄な男の足元に転がっていた鉄板に命中。火花を散らして男の足首を強打し、その体勢を大きく崩した。


「一条さん、右へ2歩下がれ! 空いた空間に、俺の『速度上昇バフ』を入れる!」

俺は走り込みながら、男の顔面に懐から取り出した『激辛ハバネロスプレー』をぶちまけた。


「ぶふぉっ!? 目が、鼻がァアア!」

「今よ! 面ッ!!」


体勢を崩し、視界を奪われた大柄な男の脳天に、一条さんの木刀が炸裂する。


「闇風、残りの雑魚を各個撃破だ!」

「はっ!」


青真のアイテムアシスト、メグの妨害、一条のタンク、そして闇風の必殺。

4人の歯車が完全に噛み合ったパーティー戦闘の前には、格上の第四師団といえど、ただの経験値に過ぎなかった。


数分後。傷一つ負うことなく、12人の不良が静まり返った地面に転がっていた。


「……すごいわ。あなたたちの指示通りに動くだけで、大人がこれだけ簡単に……」

一条さんが、自分の木刀を見つめて驚愕している。


「これが俺たちの戦い方だ、一条さん。……よし、敵のドロップアイテム(スマホ)を回収するぞ」


俺はヘトヘトになりながらも、ニヤリと笑った。

4人パーティーの初陣は、文句なしの「パーフェクトクリア」だ。

読んでいただきありがとうございました!もし面白いと思っていただけたら、ブクマや評価で応援してもらえると励みになりま

す!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。