第89話:王都への旅路
街の門を抜けると、そこには果てしなく続く街道が広がっていた。
石畳の道は遠くの地平線まで続き、その両側には広大な草原が広がっている。
青空の下を吹き抜ける風は心地よく、旅の始まりを祝福しているようだった。
「おお……」
青真が思わず声を漏らす。
「こうして見ると、本当に異世界なんだな」
街の中にいた時も十分異世界だった。
だが街を出て初めて見える景色は別格だった。
地球では見たこともない巨大な樹木。
空を飛ぶ鳥型の魔物。
遠くの山脈。
全てが未知の世界だった。
「今さらか?」
闇風が呆れたように言う。
「いや、だってよ」
「テンション上がるだろ」
青真が笑う。
メグも苦笑した。
「少し分かるかも」
「ゲームの世界みたいよね」
「だろ?」
青真が嬉しそうに頷く。
その横でカレンは周囲を警戒していた。
「油断は禁物です」
「街道にも魔物は出ますから」
「真面目だなぁ」
「冒険者ですから」
即答だった。
青真達は街道を進む。
王都までは徒歩で二週間ほど。
焦る必要はない。
だが安全とも限らない。
途中には複数の集落や休憩所が存在するものの、魔物との遭遇は避けられないとエリナから聞いていた。
しばらく歩いた頃だった。
闇風が足を止める。
「気配だ」
全員の表情が引き締まる。
気配察知持ちの闇風が言うなら間違いない。
草むらが揺れた。
次の瞬間。
三匹の魔物が飛び出してきた。
「コボルトか」
青真が呟く。
だが以前の自分達ではない。
カレンが前へ出る。
一匹目の首を斬る。
闇風が二匹目の背後へ回り込み短剣を突き立てる。
残る一匹が青真へ飛び掛かった。
「遅い」
未来予知。
回避。
そして。
「散弾」
光弾が四つに分裂する。
コボルトへ命中。
吹き飛ばされた魔物はそのまま動かなくなった。
戦闘終了。
時間にして十秒もかかっていない。
和やかな空気が流れる。
だが青真はふと指輪を見る。
右手の薬指。
昨日手に入れたE級アーティファクト。
疾風の指輪。
試しに軽く走ってみる。
すると。
「お?」
身体が少し軽い。
劇的ではない。
だが確かに違う。
「効果出てるな」
「良かったじゃない」
メグが笑う。
「未来予知との相性も良さそうだ」
闇風も頷いた。
王都への旅は始まったばかり。
新たな仲間。
新たなダンジョン。
新たなアーティファクト。
そして元の世界へ帰る手掛かり。
王都への道は、まだ始まったばかりだった。
読んでいただきありがとうございました!もし面白いと思っていただけたら、ブクマや評価で応援してもらえると励みになりま
す!




