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最強ゲーマーの《多世界攻略録(マルチバースアーカイブ)》  作者: 紅柳
第三部異世界編 第一編 城塞都市編
88/150

第88話:コボルトキング

「ガアアアアアアッ!!」


洞窟の奥から響いた咆哮が空気を震わせた。


砂が天井からぱらぱらと落ちる。


今までの魔物とは格が違う。


四人は自然と武器を構えた。


やがて暗闇の中から巨大な影が姿を現す。


「……でかいな」


青真が思わず呟いた。


身長は二メートル半ほど。


全身を覆う灰色の体毛。


鋭い牙。


筋骨隆々の肉体。


そして巨大な戦斧。


普通のコボルトとは比べ物にならない威圧感だった。


「あれがコボルトキングですか」


カレンが剣を握る。


だが敵は一体ではなかった。


キングの両脇からハイウルフが二体現れる。


さらに後方にはコボルトウォリアーが二体。


明らかな護衛だった。


「まずは取り巻きを片付けるぞ」


闇風が短く言う。


「了解」


青真も頷いた。


次の瞬間。


コボルトキングが戦斧を掲げる。


護衛達が一斉に突撃した。


ハイウルフは左右へ分かれる。


コボルトウォリアーは正面から槍を構えて突進。


普通の冒険者なら一気に包囲されていただろう。


しかし。


青真の未来予知が数秒先を映し出す。


「右のハイウルフが飛び込む!」


意念伝達。


情報が仲間全員へ共有された。


カレンが即座に横へ移動する。


直後。


ハイウルフが飛び掛かってきた。


だが既に回避されている。


「そこです!」


剣閃。


ハイウルフの肩が切り裂かれた。


その一方でコボルトウォリアー達が迫る。


青真は右手へ魔力を集中した。


「炸裂弾」


光弾が放たれる。


着弾。


直後。


轟音と共に爆発した。


二体のコボルトウォリアーがまとめて吹き飛ぶ。


「ガァッ!?」


壁へ叩き付けられる。


だがE級だけあって耐久力が高い。


まだ立ち上がろうとしていた。


そこへ闇風が消える。


一瞬で背後へ回り込んだ。


短剣が首筋を裂く。


一体目が倒れる。


続けざまに二体目へ接近。


急所へ一撃。


コボルトウォリアーはそのまま崩れ落ちた。


「片付いたな」


闇風が短剣を払う。


残るハイウルフは一体。


だがその動きは速かった。


カレンの攻撃を避けながら青真へ向かってくる。


「ちっ!」


青真が後退する。


未来予知が無ければ反応できなかった速度だ。


ハイウルフが跳ぶ。


牙が迫る。


青真は魔力を練り上げた。


「追尾弾!」


光弾が放たれる。


ハイウルフは空中で回避しようとする。


しかし。


光弾も軌道を変えた。


直撃。


爆ぜるような衝撃。


ハイウルフが地面へ叩き落とされる。


そこへカレンが飛び込んだ。


「終わりです!」


剣が首を断つ。


護衛は全滅した。


残るはコボルトキングのみ。


だが。


「ガアアアアアアッ!!」


キングは怒り狂っていた。


巨大な戦斧を振り上げる。


そして突撃。


巨体とは思えない速度だった。


地面が揺れる。


「速い!」


青真が叫ぶ。


未来予知で見えていても圧力が凄まじい。


カレンが前へ出る。


剣で受け止める。


だが。


「くっ……!」


押される。


純粋な力が違った。


コボルトキングが咆哮する。


さらに戦斧を振り抜く。


カレンが後退。


そこへメグが杖を向けた。


「ファイアボルト!」


炎の矢が飛ぶ。


命中。


だがキングは止まらない。


炎を振り払いながら前進する。


「硬いな!」


青真が舌打ちした。


ホブゴブリンより明らかに格上だ。


だが勝てない相手ではない。


未来予知が勝利の光景を映していた。


キングが戦斧を振り上げる。


その瞬間。


僅かな隙が生まれる。


青真は魔力を極限まで圧縮した。


掌の上の光がどんどん小さくなる。


圧縮。


収束。


さらに圧縮。


だがそれだけでは終わらない。


青真はそこへ炸裂術式を重ねた。


圧縮弾と炸裂弾。


二つのアレンジを融合させる。


膨大な魔力が右手の中で唸りを上げた。


「炸裂圧縮弾」


放つ。


青白い閃光が一直線に走った。


コボルトキングが本能的に危険を察知する。


咄嗟に身体を捻る。


だが遅い。


直撃。


まず圧縮された魔力が胸部を貫く。


次の瞬間。


轟音。


内部から大爆発が発生した。


「ガアアアアアアッ!?」


コボルトキングが絶叫する。


胸部が大きく抉れた。


爆発の衝撃で巨体が後方へ吹き飛ぶ。


地面を転がりながら岩壁へ激突した。


洞窟全体が揺れる。


「何よ今の威力!?」


メグが目を見開く。


「圧縮弾と炸裂弾の合わせ技だ!」


青真が叫ぶ。


キングは膝をつく。


だがまだ倒れない。


E級ボスらしい異常な生命力だった。


しかし。


その隙を闇風は見逃さない。


背後へ回り込む。


短剣が脚を切り裂いた。


キングの体勢が崩れる。


「今です!」


カレンが駆ける。


最高速度。


全力の踏み込み。


そして。


「はあああああっ!!」


渾身の一撃。


銀閃。


剣が首へ吸い込まれる。


一瞬の静寂。


次の瞬間。


コボルトキングの首が宙を舞った。


巨体が揺れる。


戦斧が落ちる。


そして。


轟音と共に地面へ倒れた。


沈黙。


しばらく誰も動かなかった。


やがて青真が息を吐く。


「終わったな」


「E級攻略ですね」


カレンが笑顔を見せる。


「思ったより強かったわね」


メグも肩の力を抜く。


「王都への道中の良い予習になった」


闇風が周囲を警戒しながら言った。


四人は最奥部へ進む。


そこには一つの宝箱が置かれていた。


青真が蓋を開ける。


中には銀色の指輪が入っていた。


「指輪?」


メグが手に取る。


魔力を流す。


すると淡い緑色の光が浮かび上がった。


「アーティファクトよ」


「E級アーティファクト、疾風の指輪」


四人の目が輝く。


「効果は?」


青真が尋ねる。


「敏捷性微上昇」


「疲労微軽減」


メグが答えた。


「当たりじゃないか」


青真が笑う。


未来予知との相性も良い。


しばらく相談した結果、指輪は青真が装備することになった。


こうして青真達は二つ目のアーティファクトを手に入れた。


そして翌日。


十分な食料と水を購入し、装備を整える。


街の門の前。


青真達は振り返った。


異世界で最初に訪れた街。


冒険者となり、初めてダンジョンを攻略した場所。


短い滞在だったが思い出は多い。


「行くか」


青真が言う。


闇風が頷く。


メグが笑う。


カレンが剣を握る。


目的地は王都。


元の世界へ帰る手掛かりを求めて。


四人は新たな旅路へと歩き出した。


読んでいただきありがとうございました!もし面白いと思っていただけたら、ブクマや評価で応援してもらえると励みになりま

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