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最強ゲーマーの《多世界攻略録(マルチバースアーカイブ)》  作者: 紅柳
第三部異世界編 第一編 城塞都市編
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第86話:王都への道

始まりの洞窟を出た頃には、空は夕焼け色に染まっていた。

赤く染まる草原を歩きながら、青真達は街へと戻っていく。


「思ったより楽だったな」


青真がマジックバッグを肩に掛けながら言う。


「F級ですからね」


カレンが微笑む。


「でも確かに前の世界の同ランク帯よりは強かったわ」


メグもそう付け加えた。


「魔力濃度の違いかもしれないな」


闇風が短く答える。


異世界の魔物は少しだけ強い。

だが今の四人なら十分対処可能な範囲だった。


街へ戻ると、そのまま冒険者ギルドへ向かう。


夕方ということもあり、ギルドは多くの冒険者で賑わっていた。

酒を飲む者。

依頼を探す者。

討伐報告をする者。


様々な冒険者達が行き交っている。


「あ、お帰りなさい!」


受付のエリナがこちらへ気付いた。


「始まりの洞窟の調査依頼ですね?」


「はい」


カレンが討伐証明としてホブゴブリンの魔石を取り出す。


それを見た瞬間。


エリナが目を丸くした。


「ほ、本当に攻略したんですか!?」


周囲の冒険者達も反応する。


「ん?」


「どうした?」


「登録したばかりの連中じゃなかったか?」


ざわざわと声が広がっていく。


青真は首を傾げた。


「そんなに珍しいのか?」


「普通は何度か挑戦して攻略するんです」


エリナが苦笑する。


「初日でクリアする新人はかなり少ないですよ」


「へぇ」


青真達にとっては肩慣らし程度だったため、少し意外だった。


その後、討伐した魔石や素材の査定が始まった。


スライムの魔石。


ゴブリンの魔石。


コボルトの魔石。


そしてホブゴブリンの魔石。


机の上に並べられていく。


「合計で銀貨十五枚になります」


エリナがそう告げた。


「おお」


青真が思わず声を上げる。


「多いのか?」


「新人にしてはかなり良い方ですね」


エリナが頷いた。


「ちなみに銅貨百枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚です」


「なるほど」


分かりやすい。


青真は内心安心した。


変に複雑な通貨制度ではなかったからだ。


「これでしばらくは宿代に困らないな」


メグが笑う。


「食費も大丈夫そうですね」


カレンも安堵した表情を見せた。


続いてマジックバッグの鑑定が行われる。


エリナが鞄を手に取り、魔力を流し込む。


すると淡い光が浮かび上がった。


「間違いありません」


「F級アーティファクト、マジックバッグです」


その瞬間。


周囲の冒険者達が再びざわついた。


「おい、アーティファクトまで引き当てたぞ」


「運が良すぎるだろ」


「初回ダンジョンだろ?」


羨望混じりの視線が集まる。


青真は少し照れ臭そうに頭を掻いた。


「そんなに凄いのか?」


「凄いですよ」


エリナが即答した。


「F級でもアーティファクトはアーティファクトです」


「冒険者なら誰でも欲しがります」


改めて価値を実感する。


派手な武器ではない。


だが確かに便利な道具だった。


鑑定を終えた後、四人はギルドの食堂で夕食を取ることにした。


肉料理とパン。


それにスープ。


異世界の食事だったが意外と美味しい。


「これからどうする?」


青真が尋ねる。


「しばらくダンジョン攻略?」


「それもいいけど情報が欲しいわね」


メグが言う。


「この世界について知らないことが多すぎる」


確かにその通りだった。


異世界へ来てまだ数日。


知らないことの方が圧倒的に多い。


そこで青真はふと思い出した。


ずっと気になっていたことがある。


食事を終えた後、受付へ戻る。


「エリナ」


「はい?」


「異世界転移とか異世界召喚の伝説ってあるのか?」


その瞬間。


エリナの表情が少しだけ変わった。


「ありますよ」


四人全員が顔を上げる。


「本当か!?」


青真が思わず身を乗り出した。


「ただし数百年前の伝承です」


エリナは続ける。


「異界から勇者が現れたとか、別世界の人間が訪れたとか、そういう記録なら残っています」


四人は息を呑んだ。


まさか本当に存在するとは思わなかった。


「詳しい資料はどこに?」


闇風が尋ねる。


「王都ですね」


エリナは答えた。


「王立大図書館なら、そういった古い文献も保管されているはずです」


「王都か……」


青真が呟く。


異世界最大の都市。


まだ見ぬ場所。


だがそこには、自分達が元の世界へ帰る手掛かりがあるかもしれない。


四人は顔を見合わせた。


そして自然と答えは決まる。


次の目的地は――王都だった。

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