↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/177

第170話:特魔災害対策庁

東京の街に、再び緊張が走っていた。

数日前に発生した異形の男による事件。


その後も、似た特徴を持つ人間による襲撃が各地で確認されていた。


建物の破壊。

道路の損壊。

そして、強大な魔力反応。

被害は一か所に留まっていない。


青真達の通信端末にも、次々と情報が入ってくる。


「また発生したみたい。」

メグが端末を確認しながら呟く。


「今度は?」

青真が尋ねる。


「西側の商業区。」

「それとは別に、南側でも魔力反応。」


カレンが別の情報を確認する。

「同時に複数の場所で起きています。」


闇風は黙って街を見渡した。

「偶然じゃない。」


「同時に動いている。」

青真も頷く。

「ネメシスが動かしてるってことか。」


「まだ断定はできません。」

カレンが答える。

「ですが、可能性は高いでしょう。」


四人は魔導車へ乗り込み、指定された区域へ向かった。


遠くから轟音が響いた。

ドォン!!


青真が窓の外を見る。


高層ビルの向こう。

巨大な魔力の光が一瞬だけ見えた。


「……あっちでも戦ってるな。」

メグが身を乗り出す。


「うちの部隊じゃない?」


青真は目を凝らす。

遠くの大通り。

何人もの隊員が改人と交戦していた。


そして、その中心で一人の男が走っている。


軽装。

両手に特殊な魔導銃を抱える。

見た目はサブマシンガンに近い。


「オッケーオッケー!」

男は笑いながら走る。


「じゃあ、そっちは任せるわ!」

タタタタタッ!!


連続して放たれた魔力弾が改人へ降り注ぐ。

男は立ち止まらない。

走りながら射撃。

曲がり角を利用し、建物の陰へ入り、再び飛び出して射撃する。


その動きは軽快だった。


「器用だな。」

青真が呟く。


さらに別の場所では、一人の大柄な隊員が前線に立っていた。


巨大な大盾。

腰には長剣。

そして背中には小銃。


改人の攻撃が迫る。


男は盾を構えた。

ドゴォン!!

凄まじい衝撃。

しかし男は一歩も退かない。


「了解した。」

低い声。

「こっちは任せろ。」


小銃を構える。

数発の魔力弾を撃ち込んだ後、すぐに長剣を抜く。


改人が怯んだ瞬間、一気に距離を詰めた。

大盾で相手の身体を押し込み、長剣を振り抜く。


さらにその後方。

一人の女性隊員が魔法陣を展開していた。

周囲に複数の魔法陣が浮かぶ。


一つは拘束。

一つは防御。

そしてもう一つは攻撃。


「動きを止めるわ。」

女性が静かに呟く。


地面から魔力の鎖が伸び、改人の足を絡め取る。

動きが止まった瞬間。

「今です。」


後方の隊員達が一斉に攻撃する。


青真達はその様子を遠くから眺めていた。

「うちってあんなやつらいたんだな。」

青真がぽつりと言う。


メグも苦笑する。

「私も初めて見た。」

「うちって、結構強い奴いるんだね。」


カレンは静かに頷いた。

「私達が普段関わっている隊員だけではないようですね。」


闇風は戦場を一瞥する。

「それぞれ役割が違う。」

「悪くない連携だ。」


青真はもう一度だけ遠くの三人を見る。

だが、それ以上気にすることはなかった。


「俺達は俺達の現場へ行こう。」


「了解。」


魔導車はそのまま進んでいく。

遠くでは、まだ戦闘が続いていた。

そして東京の別の場所でも。


新たな魔力反応が発生していた。

「……まただ。」


カレンが端末を見る。


青真は前方へ視線を向ける。

「急ぐぞ。」


車の速度が上がる。

街の向こうでは、何かが静かに動き始めていた。


魔導車が停車した瞬間、青真達は一斉に外へ飛び出した。


目の前に広がっていたのは、荒らされた大通りだった。

信号機は倒れ、道路には無数の亀裂が走っている。


「こっちです!」

カレンが先に走る。


その先から、激しい衝撃音が響いた。

ドゴォン!!

建物の壁が崩れ、その向こうから巨大な影が飛び出してくる。


「来る!」

闇風が双短剣を構えた。


改人だった。

前に遭遇した個体とは姿が違う。

全身を覆う装甲のような皮膚。

左肩には巨大な魔石が埋め込まれ、そこから紫色の魔力が噴き出している。


「また違うタイプか。」

青真が銀河を抜く。


改人は無言で地面を蹴った。

一瞬で距離を詰める。


青真は銀河を横へ振った。

ガキィン!!


刃と改人の腕がぶつかる。

改人の身体が僅かに後ろへ下がった。

「硬いな。」

青真が呟く。


しかし、今度は青真も追撃する。

銀河が蒼白い光を纏う。


一閃。

改人の肩へ刃が走る。


装甲が砕け、紫色の魔力が飛び散った。


「そこです!」

カレンが踏み込む。


鋭い一閃が改人の脇腹を捉える。


同時に闇風が姿を消した。

「……。」


改人が周囲を見回す。

だが、闇風の姿は見えない。

次の瞬間。


ドンッ!

背後から短剣の柄が首筋へ叩き込まれる。

改人の身体がよろめいた。


「今!」

メグが手を伸ばす。


「《魔人形(ゴーレム)》!」

巨大な魔人形が地面を蹴り、改人へ突進する。


ドゴォン!!

改人が吹き飛ぶ。

道路を何度も転がり、ようやく止まった。


だが。

ゆっくりと立ち上がる。


「……まだ動く。」

メグが目を細める。


改人の身体から紫色の魔力がさらに膨れ上がる。

左肩の魔石が輝いた。


次の瞬間。


無数の紫色の光弾が周囲へ放たれる。


「散開!」

青真が叫ぶ。


四人がそれぞれ別方向へ飛ぶ。


光弾が道路や建物へ突き刺さる。


爆発。

煙。

瓦礫。


その中から改人が飛び出してくる。

カレンへ一直線。


「カレン!」

青真が叫ぶ。


カレンは冷静に剣を構えた。

迫る拳。

その瞬間。

一閃。

改人の腕に深い傷が走った。


「……!」

改人が足を止める。

カレンはそのまま身体を低くし、懐へ潜り込む。


二撃目。

三撃目。

連続した斬撃が改人の装甲を削っていく。


そこへ闇風が再び背後へ回る。

「ここだ。」


短剣が肩の魔石へ向かう。

ガキィン!!

魔石へ亀裂が走った。


「魔石が弱点か!」

青真が未来予知を発動する。


数秒先。

改人が魔石へ魔力を集中させる。


そして一気に放出する。


「今だ。」

青真が駆ける。


銀河を握り締める。

蒼白い魔力が刀身を包む。

改人が魔力を放とうとした瞬間。


「《魔力弾(マナショット)》。」

青真の光弾が散弾となって飛ぶ。

複数の光弾が魔石へ集中する。


パリンッ!!

魔石が砕けた。

改人の身体から魔力が一気に消える。


「……。」


膝から力が抜ける。

改人はその場へ倒れた。


メグが駆け寄る。

「気絶してる。」


カレンも剣を収める。

「無事ですね。」


「うん。」

青真は周囲を見渡す。


街は酷い有様だった。


だが、避難は間に合っている。


「……それにしても。」

メグが倒れた改人を見る。

「こいつら、何でこんな場所を襲ってるんだろう。」


闇風が道路に残された痕跡を見る。

「無差別ではない。」

「この改人は、何かを探していた。」


青真が眉をひそめる。

「何か?」


闇風は建物の一角を指差した。

そこには破壊された施設があった。


「ここだけ、他より破壊の仕方が違う。」


カレンが施設へ近付く。

「中を調べていた……?」


メグも頷く。

「そうみたい。」


「ただ街を壊したかったわけじゃない。」


その時。

通信端末が鳴った。

「こちら特魔災害対策庁。」

「各地で交戦中の改人が、次々と撤退を開始しています。」


青真が顔を上げる。

「撤退?」


「はい。戦闘を中断し、それぞれ別方向へ移動しています。」


闇風が目を細める。

「命令を受けたか。」


青真は倒れた改人を見る。

「何かを終えたってことか。」


さらに通信が続く。


「各部隊から報告。」

「複数の施設が襲撃されています。」

「いずれも魔力関連の設備、通信設備、物流拠点などです。」


メグの表情が変わった。

「……バラバラじゃない。」


「全部、何かに関係してる。」

青真は考え込む。

「改人達は街を襲ってるんじゃない。何かを集めてるんだ。」


闇風が頷く。

「その目的はまだ分からない。」


遠くでサイレンが鳴り響く。


東京の至る場所で、改人達が姿を消していく。

一方。

別の区域では、銃の男が魔導銃を肩へ担いだ。

「ふぅ……終わった?」


その隣では重武装の男が倒れた改人を確認している。

「逃げた。」

「そうか。」


少し離れた場所で、魔導士の女が魔法陣を消していく。

「全員撤退したみたいね。」


三人は互いに別の現場で戦っていた。

それでも、同じ違和感を感じていた。

今回の襲撃には、何か別の目的がある。


そして。

東京の地下深く。


暗い部屋の中で、一つの端末へ次々と報告が届いていた。

「回収、完了。」

「各地点の反応も確認しました。」


暗闇の中。


誰かが静かに笑う。


「よし。」

「第一段階は終わった。」


画面には、東京各地の施設が表示されていた。

そして、その中心にある一つの地点だけが赤く光っている。


「次へ進もう。」

画面が暗転した。

読んでいただきありがとうございました!もし面白いと思っていただけたら、ブクマや評価で応援してもらえると励みになりま

す!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。