表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強ゲーマーの《多世界攻略録(マルチバースアーカイブ)》  作者: 紅柳
第五部魔法世界編 第一編 猟犬追跡編
162/167

第162話:暴走する者達

池袋。

休日ということもあり、大通りは多くの人々で賑わっていた。


買い物客。

学生。

家族連れ。


三年前には想像もできなかった魔法世界の日常がそこにはあった。


子供が生活魔法で小さな光球を浮かべて遊ぶ。

街頭モニターには探索者学校の広告が流れている。


探索者は今や憧れの職業だった。

平和、誰もがそう思っていた。


その時だった。

ドォォォォン!!

突如として爆発音が響いた。


通行人達が悲鳴を上げる。

一台の車が吹き飛び、横転した。


「な、何だ!?事故!?」


違う。

爆発の中心には一人の男が立っていた。


スーツ姿の会社員。

その目は虚ろだった。

右腕には黒い腕輪。


見慣れないアーティファクト。

男はゆっくりと手を前へ向ける。


「ァァァ……」

次の瞬間大きな魔力弾を放った。

ドォォン!!


ビルの壁が吹き飛んだ。

悲鳴。

逃げ惑う人々。


さらに別の場所でも異変が起きる。

高校生、主婦、老人。

次々と一般人達が暴れ始めた。


全員が同じようなアーティファクトを装備している。

「逃げろ!!」


「警察だ!!」

だが警察だけでは対処できない。


未知のアーティファクトで武装する一般人。

しかも理性を失っている。

街は一瞬で地獄へ変わった。


「止めるぞ!」

偶然その場に居合わせた探索者達が前へ出る。


探索者。

魔法世界における魔物やダンジョンへの対抗手段。

彼らもまた市民を守る義務を持っていた。


「一般人だぞ!?」

若い探索者が叫ぶ。


「だが放っておけるか!」

別の探索者が剣を抜いた。


防衛権行使。


戦闘が開始した。


拘束魔法。

魔法銃。

近接格闘。


探索者達は一般人を傷付けないよう必死に制圧を試みる。


しかし。


「ぐあっ!?」

探索者の一人が吹き飛んだ。


暴走した会社員。

その身体能力が異常だった。

普通の人間ではない。


腕輪から青い光が流れ込んでいる。

身体強化。


「何だこいつ!?」


さらに別の一般人が防御障壁を展開する。

魔法銃の弾丸が弾かれた。

バチィィィ!!


「アーティファクトだ!」

「一般人が何でそんな物を!?」

探索者達の表情が変わる。

明らかにおかしい。

暴走しているだけではない。

何者かが意図的に武装させている。


そして。

探索者達は徐々に押され始めた。

「くっ……!」

「人数が多すぎる!」

周囲には十人以上。


全員がアーティファクト装備。

しかも精神が壊れているため躊躇がない。

探索者達の隊長格の男が歯を食いしばる。


「特魔災害対策庁へ連絡だ!」

「現場対応不能!」

部下が通信端末を取り出した。


「こちら池袋!」

「武装一般人による大規模暴動発生!」

「現地探索者部隊制圧不能!」

「至急応援を!」


通信の向こう。

特魔災害対策庁。

ナビゲーターの表情が変わる。


『状況確認。』

『PRIMEへ出動要請を送ります。』

その言葉を聞いた探索者達は息を呑んだ。


「PRIME……」

誰かが呟く。


人類最強。

特魔災害対策庁最強戦力。

最後の切り札。


暴走する一般人達を前に、探索者達は必死に時間を稼ぎ続けていた。

PRIMEが到着する、その時まで。


「下がれ!」

探索者隊長が叫ぶ。


既に何人もの探索者が負傷していた。

一般人達は止まらない。

魔法を乱射しながら街を破壊していく。


「くそっ!」

「まだ来ないのか!」


その時だった。

上空。

一筋の蒼い光が走る。


ヒュンッ―――

次の瞬間。

ドゴォォォォォン!!


暴走していた男の目の前へ巨大な氷柱が突き刺さった。


地面が凍結する。

周囲の空気が一瞬で冷えた。


「来た。」

探索者隊長が息を吐く。


次の瞬間。

四つの影が大通りへ降り立った。


四本の魔力ラインが街を照らす。

PRIME。

人類最高戦力。


「お待たせ。」

青真が銀河を肩へ担ぐ。

「状況は?」


探索者隊長が駆け寄った。


「武装一般人です!」

「精神状態が異常です!」

「アーティファクト装備!」


闇風が周囲を見回す。

「一般人だな。」


メグも頷いた。

「精神干渉。」

「かなり強い。」


カレンは静かに剣を抜く。

「全員生存優先ですね。」


青真が頷いた。

「始めるぞ。」


その瞬間。

暴走者達が一斉に襲い掛かってきた。


だが。


「拘束。」

メグが杖を振る。

巨大な魔法陣。

光の鎖が暴走者達へ飛んだ。

ガシャァァァン!!


数人がその場で拘束される。


闇風が消えた。

次の瞬間。

暴走者達の腕輪や指輪だけが切断される。


ガキィン!!

アーティファクト破壊。

一般人達がその場へ崩れ落ちた。


カレンも動く。

一瞬。

本当に一瞬だった。


暴走者達が持つ武器だけが吹き飛ぶ。

誰一人傷付けていない。


そして。

青真が前へ出た。


「終わりだ。」

蒼い魔力が広がる。

大通り全体。

路面が凍結した。


暴走者達の足元から氷が伸びる。

ガガガガガガッ!!

一人。

二人。

三人。


全員拘束。

わずか数分。

事件は終わった。


「すげぇ……。」

探索者達が呆然と呟く。


自分達が苦戦した相手。

それをPRIMEは一瞬で制圧した。


青真は気絶した一般人達を見下ろした。

「メグ。」


「うん。」

メグが鑑定魔法を発動する。


暴走者達が装備していたアーティファクト。

その全てへ魔力を流した。

数秒後。


メグの表情が険しくなる。

「精神干渉。」

「しかも同一規格。」


闇風が眉をひそめた。

「量産品か。」


「そう。」

メグは頷く。

「普通のアーティファクトじゃない。誰かが意図的に作ってる。」


青真は回収された腕輪を手に取った。

黒い金属。

見たことのない紋章。


「組織だな。」

その時だった。


闇風が視線を上げる。

「……居る。」


全員が同時に振り返った。

遠く。

高層ビルの屋上。


一人の男。

黒いコート。

深く被ったフード。

銀髪。

灰色の瞳。


男は無言でこちらを見下ろしていた。


青真と視線が合う。

沈黙。

数秒。

男は小さく呟いた。

「想定以上。」


その声は誰にも届かない。

だが。

確かに笑ったように見えた。

男の足元へ魔法陣が展開される。


転移。

青い光。

次の瞬間には姿が消えていた。


「逃げたか。」

青真が呟く。


闇風は目を細める。

「最初から戦う気は無かった。」

メグは回収した腕輪を裏返した。

そこで全員の動きが止まる。


刻まれていた。

見慣れない紋章。

そして名前。


青真が静かに読み上げる。

「……ネメシス。」


それが。


後に日本最大の魔法スキル犯罪組織として恐れられる存在との最初の接触だった。

読んでいただきありがとうございました!もし面白いと思っていただけたら、ブクマや評価で応援してもらえると励みになりま

す!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ