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第157話:氷獄停止世界

グオオオオオオオオオオッ!!

青氷龍の咆哮が東京の夜空を震わせた。

完全顕現した神獣の巨体は、東京タワー最上階を覆い尽くすほど巨大だった。


吹雪。

氷嵐。


青白い魔力が空間そのものを凍らせていく。

その圧力だけで空間が軋んでいた。


魔王は小さく笑う。

「相変わらず目障りな龍だ。」


青氷龍もまた牙を剥く。

「貴様こそな。」


次の瞬間。

終焉(ラグナロク)》が振り下ろされた。

轟!!

漆黒の斬撃。

同時に放たれる青氷龍の氷ブレス。


二つの力が正面から激突する。

ドォォォォォォォォン!!

爆発。

衝撃波。

東京タワー最上階が吹き飛んだ。


床が割れる。

壁が消し飛ぶ。

巨大な鉄骨が悲鳴を上げるように軋み始めた。

青真は銀河を構えながら飛び退く。


「まずい!」

展望台そのものが崩壊していた。

足場が次々と失われる。

数百メートル下には東京の街並み。

崩壊する鉄骨が夜空へ散っていく。


しかし。

魔王はそれを見ても表情一つ変えなかった。

背後へ巨大な魔法陣が展開される。

飛行魔法。

赤黒い魔力が翼のように広がった。


「場所を変えるか。」

ドンッ!!

魔王の身体が一気に夜空へ飛び出す。

東京タワーを離れ、遥か上空へ。


青氷龍は翼を広げた。

「逃がさん。」

巨大な翼が空気を叩く。


轟音。

神獣もまた夜空へ飛翔した。

青真はその背へ飛び乗ろうとして――止まる。

「いや。」

銀河が震えた。

キィィィィィン……

青白い光。

刀身が分離する。


七振りの銀河が夜空へ展開された。

青真は静かに銀河に魔力を流す。

銀河の一振りが足元へ移動した。


空中。

何もない場所。

そこへ着地する。

カン。

まるで透明な床が存在するかのようだった。


次の銀河。

さらに次。

青真は夜空を駆ける。

銀河が道を作る。

青真はその上を走る。


ビルからビルへ飛ぶのではない。

空そのものを走っている。

「面白い。」

魔王が僅かに口元を上げた。

青真は二振りを手へ握る。

二刀流。


残る四振りは周囲を旋回する。

守る。

攻める。

追う。

全て同時。


それが銀河だった。

「行け!」

四振りの銀河が一斉に飛び出す。


東京上空。

四方向からの同時攻撃。

魔王は終焉を振るった。

ガァァァァン!!


火花。

衝撃波。

二振りが弾かれる。


だが。

その瞬間。

青真自身が突っ込む。

足場の銀河を蹴る。


ドンッ!!

加速。

さらに次の銀河。

さらに加速。


高速で突っ込み斬りつける。

「死いいねええええ!!」

魔王の終焉に受け流される。

「動きが単調になっているぞ。」

魔王が終焉で弾くがさらに青真は次の銀河へ跳ぶ。


夜空を縫うような超高速機動。

青真の身体が魔王の目前へ現れた。

二刀流。

蒼白い斬撃。

「ぜやああっ!!」

魔王の黄金の瞳が僅かに細まる。


ガァァァァァン!!

終焉と銀河が激突する。

衝撃波が夜空を揺らした。


青真は即座に距離を取る。

足元の銀河を蹴る。

さらに別の銀河へ跳躍。

そしてまた別の銀河へ。


夜空に展開された七振りの銀河が、まるで見えない階段のように青真を支えていた。

魔王は空中で静止したまま呟く。

「人間離れしているな。」


青真は答えない。

四本の銀河が周囲を高速旋回する。

そのうち二本が魔王へ飛んだ。


左右同時。

魔王は終焉を振るう。

轟!!

二本を弾き飛ばす。


だが。

その瞬間には青真が背後へ回り込んでいた。

銀河二刀流。

斬撃。

連撃。

連続攻撃。


しかし。

魔王は冷静だった。

「遅い。」

時間加速クロノアクセラレーション》。

魔王の姿が消えた。

青真の視界から完全に消失する。


だが。

青真の瞳が蒼く輝く。

《数秒先の真実プリセカンドトゥルース》。

四秒先。

未来映像。

脳内へ流れ込む。


右。

上。

背後。

全て見えていた。

青真は振り返らない。


ただ銀河を一振り呼び寄せる。

ガキィィィン!!

終焉が銀河へ叩き付けられた。

魔王の攻撃を完全に防ぐ。


魔王は僅かに目を細めた。

「未来視か。」

青真はそのまま銀河を蹴る。

再加速。

夜空を駆ける。


青氷龍が上空から急降下した。

グオオオオオオッ!!

巨大な氷結ブレス。

魔王は終焉を振るい斬り裂く。


吹雪が四散する。

しかし。

その死角。


青真が飛び込む。

銀河二刀流。

十字斬撃。


魔王は後方へ飛ぶ。

「良い連携だ。」


青真は銀河を構える。

「まだ余裕そうだな。」


「当然だ。」

魔王の魔力が膨れ上がる。

東京上空が赤黒く染まる。


その時だった。

遠方。

黒い影が無数に現れる。

魔王軍飛行兵士。

飛行魔族。

ワイバーン。


数十。

数百。

大量の飛行戦力が東京上空へ集結していた。


「魔王様!!」

「お助けします!!」


青真の表情が険しくなる。

「余計なことを……。」


青氷龍も不快そうに唸った。

しかし兵士達は止まらない。


一斉に突撃。

魔王ですら僅かに眉をひそめた。

「馬鹿共が。」

次の瞬間。


青真の魔力が爆発した。

青氷龍の魔力と共鳴する。

夜空全体が白く染まった。

「五月蝿い。」

青真は静かに呟く。

「戻れ、青氷龍。」

銀河に青氷龍が戻り蒼く輝く。


魔王の表情が変わる。

「何……?」

青真は銀河を掲げた。

「神武解放、《氷獄停止世界フリーズワールド》。」


ゴォォォォォォォォォォッ!!

吹雪。

氷嵐。

世界そのものが凍り付く。


飛行兵士。

ワイバーン。

瓦礫。

空気。

雲。

魔力。

全てが停止した。


時間が止まる。

東京上空が完全な静寂へ包まれた。

魔王も一瞬だけ凍結した。


そして。

青真は静かに前を見る。

「時間に干渉できるお前なら動けるだろ。

起きろ!魔王!!」

青真は銀河を構え直した。


パキッ。

氷が砕ける音。

魔王の瞳が再び開く。

赤黒い魔力が氷を砕いた。

魔王は周囲を見渡す。


停止した世界。

凍り付いた軍勢。

誰も動けない空間。

そして。


目の前には青真だけが立っていた。


魔王は小さく笑う。

「ほう。」

「時空間そのものを凍結させ邪魔の入らない決戦場を作り出すとは。」

魔王は終焉を肩へ担いだ。


そして。


静かに笑う。

「面白い。」


停止した世界。

動けるのは二人だけ。

読んでいただきありがとうございました!もし面白いと思っていただけたら、ブクマや評価で応援してもらえると励みになりま

す!

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