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第147話:激突

東京都庁周辺。

崩壊した高層ビル群の中心。

瓦礫が散乱し、折れ曲がった道路標識や崩落した高速道路が戦場となっていた。


青真は静かに銀河を構える。

その隣では蓮が仕込み傘を肩へ担ぎ、アルゴを真っ直ぐ見据えていた。


アルゴは周囲を見渡し、小さく笑う。

「東京という街は実に面白い。」

「管理者権限との相性が抜群だ。」

その言葉と同時に、右手を軽く掲げた。


「《生成ジェネレート》」

ゴゴゴゴゴ……

地面が震える。


崩れ落ちていたコンクリート片が宙へ浮かび、無数の鉄骨が空中へ現れた。

さらに折れたガードレールや街灯までもが赤い光を帯びながら宙へ持ち上がっていく。


「行け。」

アルゴが静かに指を振る。

無数の鉄骨が槍のように射出された。


「青真!」

蓮が叫ぶ。


青真は未来予知を発動。

数秒先の軌道を見切り、《魔力弾(マナショット)》を放つ。

「散れ!」

魔力の散弾が鉄骨を弾き飛ばす。


しかし数が多い。

左右。

背後。

上空。


全方向から迫る。

その瞬間。

「任せろ。」

蓮が一歩前へ出た。


仕込み傘を開き、左手を前へ突き出す。

「結界展開。」

淡い光が広がる。

半透明の防御結界が二人を包み込み、飛来した鉄骨が次々と弾かれていった。


ガガガガガッ!!

金属音が周囲へ響く。

アルゴは僅かに目を細めた。

「結界か。」

「面白い。」


蓮は傘を閉じる。

次の瞬間。

地面を蹴った。

一瞬でアルゴとの距離を詰める。


(速い!縮地?こいつ、武道経験者か。)

アルゴが驚く。


蓮は傘へ魔力を流し込む。

「魔力付与。」

黒い仕込み傘が淡く輝いた。


そのまま横薙ぎ。

アルゴは空間転移で躱そうとする。

だが。

ヒュッ!

蓮の左手から放たれた一本のナイフが、その転移先を塞ぐように飛んでいた。


「……!」

アルゴは強引に体勢を崩して回避する。


そこへ。

蓮の傘が叩き込まれた。

ドンッ!!

鈍い衝撃。


アルゴが数メートル吹き飛ぶ。


「グッ……!」

そのまま着地したアルゴは眼鏡を押さえながら初めて表情を変えた。

「なんなんだ、お前は!」


一条蓮。

元リベラルワールドトップランカー。

ジョブは《結界術士》。


自在に防御結界を展開し、仲間を守る鉄壁の支援能力。

魔力付与を施した武具による近接戦闘。

さらに無数のナイフを用いた中距離支援。


攻守を瞬時に切り替える万能型プレイヤーであり、その実力はトップランカーの名に恥じるものではない。


「残念だったな。」

蓮は静かに傘を構え直す。


「青真だけじゃない。」

「百華繚乱は全員が、お前の知る頃より強くなっている。」


アルゴは乱れた呼吸を整えながら小さく笑った。

「なるほど。」

「理解した。」


赤い情報ログが周囲へ展開される。

【対象追加】

【一条蓮】

【解析開始】

【解析進行率:0%】

【戦闘データ収集開始】


「なら。」

「君も解析対象だ。」


蓮は僅かに眉をひそめた。

「好きにしろ。」

「解析できるなら、な。」


その横で。

青真が銀河をゆっくりと構える。

「蓮会長。」

「ここからは俺も行きます。」


「頼む。」

二人は同時に踏み込んだ。


対するアルゴも静かに右手を掲げる。

東京都庁を囲む無数のビル群が、再び赤い光を帯び始めた。


「さぁ。」

アルゴが静かに眼鏡を押し上げる。

「ここからが本番だ。」


その瞬間だった。

ゴォッ――!!

管理者権限が発動する。


東京都庁周辺一帯。

崩れた道路。

瓦礫。

鉄骨。

ガラス片。


全てが赤い光を帯びながら宙へ浮かび始めた。

「《生成》。」


アルゴが小さく呟く。

宙へ新たな鉄槍が次々と生み出される。


「……!」

青真が未来予知を発動した。


数秒先。

数百本の鉄槍。

崩落する高層ビル。

隆起する道路。


一瞬で東京都庁一帯が戦場へ変わる未来が映る。


「来ます!」

蓮が結界を展開する。


その横で青真は銀河を握り直した。

「蓮会長。」

「ここは任せます。」


「分かった。」

二人は同時に前へ踏み出す。


西新宿高層ビル群。

グラディウスは豪快に首を鳴らした。

ゴキッ。

ゴキッ。

「さて。」

「今度こそ決着だ。」


闇風は静かに双短剣を構える。

「望むところだ。」


グラディウスが笑う。

「面白ぇ。」

「逃げんなよ。」


「最初から逃げる気はない。」

二人の視線が交差した。

同時に地面を蹴る。

ドンッ!!

轟音。

しかし互いの姿は一瞬でその場から消えていた。


渋谷スクランブル交差点。

「うふふ。」

第二席が嬉しそうに笑う。

その周囲へ幾重もの召喚陣が展開される。

狼。

蛇。

鳥。

魔獣。

無数の使い魔が次々と姿を現した。


「可愛い子たち。」

「遊びましょう?」


メグが魔導之杖を握る。

アルナも弓へ矢を番えた。

「生憎だけど。」

「遊びに来たんじゃない。」


アルナが風を纏う。

「さっさと終わらせるわ。」


第二席は楽しそうに肩を揺らした。

「その強気。」

「嫌いじゃないよ。」


和田倉噴水公園。

第一席は静かに剣を抜いた。

澄み切った刀身。


無駄のない構え。

ただそれだけで。


周囲の空気が張り詰める。

カレンは剣を構える。


その隣ではルシウスが聖剣を静かに掲げていた。


第一席が二人を見る。


「二対一か。」

初めて口を開いた。

低く落ち着いた声。


「構わない。」

ルシウスが一歩前へ出る。


「参ります。」

カレンも頷いた。


「お願いします。」

三人の剣先が静かに向かい合う。


そして――

東京全域。

四つの場所で。

ほぼ同時に。


地面が砕けた。


東京都庁周辺。

西新宿高層ビル群。

渋谷スクランブル交差点。

和田倉噴水公園。


百華繚乱。

対。

アイアングリッチ最高幹部四神傑。

それぞれの死闘が、ついに幕を開けた。

読んでいただきありがとうございました!もし面白いと思っていただけたら、ブクマや評価で応援してもらえると励みになりま

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