第142話:2人の剣士
「今だ!」
青真が叫ぶ。
「カレン!」
「了解!」
二人が同時に駆け出す。
魔王は《時間加速》によって再び距離を取ろうとする。
「闇風!」
「右!」
数メートル後方を走り続ける闇風が即座に叫ぶ。
「次は左へ切り返す!」
青真の未来予知が数秒先を映し出す。
「見えた。」
右手を振る。
蒼い魔法陣が空中へ幾重にも展開された。
空中へ氷の足場が次々と生成される。
「行く!」
青真はその足場を蹴り、空中へ跳び上がった。
カレンもすぐ隣へ飛び出す。
床ではない。
空だ。
二人は空中へ現れた氷の足場を蹴りながら、魔王を追い始めた。
「空中を走ってる!?」
アルナが思わず叫ぶ。
「氷を足場にしてる!」
メグも目を見開く。
「そこ!」
青真がもう一枚、氷の足場を生成する。
カレンは迷わず踏み込んだ。
ギュンッ!!
一気に高度が上がる。
魔王の真上。
「はあぁぁぁっ!!」
上段からの斬撃。
魔王は剣形態へ変化した《終焉》で受け止める。
ギィィィィン!!
その隙。
「下だ!」
青真が銀河七刀を操る。
七方向から同時斬撃。
魔王は後方へ跳ぶ。
「逃がすか!」
青真が床へ蒼い魔法陣を展開する。
「氷槍――いや。」
「こっちだ。」
巨大な氷塊が床から隆起する。
先端が大きく反り返り、まるで巨大な跳躍台のような形状へ変化した。
「カレン!」
「分かった!」
カレンは全速力で駆ける。
氷の跳躍台を踏み切る。
ドンッ!!
凄まじい勢いで空高く射出された。
メグが思わず叫ぶ。
「人力カタパルト!?」
空中。
青真は既にもう一枚の氷の足場を生成していた。
「もう一段!」
「任せろ!」
カレンは氷を踏み、さらに加速する。
「まだ!」
「もう一枚!」
青真が未来予知を頼りに次々と氷の足場を作る。
カレンは一切迷わない。
踏む。
跳ぶ。
踏む。
跳ぶ。
阿吽の呼吸。
まるで昔から何百回も繰り返してきた訓練のようだった。
魔王が初めて表情を変える。
「空中機動……!」
その一瞬の隙。
「そこだ!」
青真が叫ぶ。
「《属性付与魔力弾》!」
蒼い光弾。
全て氷属性。
闇風の実況。
未来予知。
二つを合わせて導き出した未来座標へ、十数発が集中砲火となって降り注ぐ。
ドドドドドドドドッ!!
魔王の肩。
脚。
腰。
全身へ命中。
氷が一気に絡み付く。
「今!」
アルナ。
風を纏った矢が一斉射撃。
ヒュン!!
ヒュン!!
ヒュン!!
魔王は避けようとする。
しかし。
時間加速した身体でも、氷によって僅かに遅れる。
ザシュッ!!
数本の矢が胸と腕へ突き刺さった。
「まだ!」
メグが錬成陣を展開する。
黄金色の鎖が床から伸び、魔王の足首へ絡み付く。
「これで!」
完全に動きが止まる。
「終わりだ!」
青真とカレン。
空中。
上下から同時に飛び込む。
銀河七刀。
白銀の剣閃。
二人の斬撃が十字を描き、魔王を同時に斬り裂いた。
ズバァァァァッ!!
魔王の胸から黒い血が大きく舞う。
「ぐっ……!」
魔神覚醒して初めて。
魔王が大きく膝をついた。
玉座の間が静まり返る。
青真は銀河を肩へ担ぎ、不敵に笑う。
「あと一歩だ。」
魔王はゆっくりと立ち上がる。
その赤い瞳には、なお消えない闘志が燃えていた。
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