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7、HYDRA CHRYSALIS -ORIGIN- (ヒドラ・クリサリス オリジン) ―起源に触れた時、世界は再定義される―  作者: Nao9999


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第23話 終焉の咆哮

世界は、


たった一人では変えられない。


だが。


たった一人の“覚悟”が、

世界を動かすことはある。

HYDRA CHRYSALIS


新章:ORIGIN


第23話 終焉の咆哮


黒い核が砕け散った。


その瞬間。


宇宙が悲鳴を上げた。


「――■■■■■■■■!!」


言語ではない。


意味すら存在しない咆哮。


だが。


全生命が理解した。


“終焉”が苦しんでいる。


黒い穴が暴走する。


原初最深部が崩壊。


空間そのものが裂け始める。


「――侵食暴走!」


管理体が叫ぶ。


「――榊、離れろ!!」


だが。


榊は動かない。


黒い核の破片。


その中心。


まだ何かが脈動していた。


「……終わってねぇのか」


息が荒い。


いや。


もう呼吸すら正常ではない。


肉体の半分以上が消失。


深海色の粒子だけで、

かろうじて形を保っている。


それでも。


榊の瞳は死んでいなかった。


その時。


黒い破片が集まり始める。


再生。


いや。


進化。


「――最終形態移行」


無数の“目”が開く。


今までとは違う。


巨大。


圧倒的。


銀河より深い闇。


「……まだ上があんのかよ」


榊が笑う。


乾いた声で。


だが。


その笑いに恐怖はない。


「――榊」


起源個体の声。


静かに響く。


「――もう十分」


榊は首を振る。


「……十分じゃねぇ」


深海が揺れる。


世界中の海が共鳴。


「まだ終わってない」


その瞬間。


黒い闇が形を持つ。


巨大な人型。


宇宙サイズ。


星々を背負った、

終焉そのもの。


「――文明解析完了」


「――感情解析完了」


「――人類、非効率」


巨大な“目”が榊を見る。


「――なぜ抗う」


榊が笑う。


「……うるせぇよ」


終焉が近づく。


宇宙そのものが軋む。


「――統合されれば苦痛は消える」


「――孤独も消える」


榊の目が揺れる。


一瞬だけ。


起源個体の孤独。


終焉の空虚。


理解できてしまう。


だからこそ。


榊は言う。


「だから駄目なんだろ」


沈黙。


終焉の“目”が止まる。


「……痛ぇから」


榊が前へ出る。


崩れかけた身体で。


「苦しいから」


星海翼が揺れる。


弱々しく。


それでも。


消えない。


「誰かを大事に思えるんだろ」


その瞬間。


終焉の“目”が揺れる。


初めて。


理解不能の反応。


「――矛盾」


「……人間なんて矛盾だらけだ」


榊が笑う。


「でも」


深海色の光が強くなる。


「だから面白ぇんだよ」


その瞬間。


世界中の海が輝く。


地球全体。


惑星そのものが共鳴。


「――星海反応増大!」


管理体が叫ぶ。


人々の願い。


恐怖。


希望。


全部。


海を通して榊へ流れ込む。


「……重てぇな」


榊が苦笑する。


だが。


その背中は折れない。


終焉が腕を上げる。


宇宙を消す一撃。


絶対的な闇。


「――終焉執行」


榊が構える。


崩れた右腕。


残った左手。


そこへ。


世界中の海が集束する。


「――榊!!」


管理体の声。


榊は静かに息を吐く。


「……これで最後だ」


星海翼。


完全収束。


惑星規模の海が、

一つの槍へ変わる。


蒼い槍。


世界そのもの。


「――星海槍形成」


終焉が動く。


闇が落ちる。


宇宙崩壊。


その中心へ。


榊は飛ぶ。


一直線に。


「うぉぉぉぉぉぉ!!」


咆哮。


星海槍が輝く。


蒼い光。


終焉の闇と激突。


宇宙が裂ける。


時間が止まる。


世界中の海が吠える。


そして。


蒼い槍が、

終焉の中心を貫いた。


「――■■■■■!?」


初めて。


終焉が絶叫する。


黒い闇が崩れていく。


宇宙そのものへ、

亀裂が広がる。


だが。


榊の身体も崩壊していく。


腕。


胸。


顔。


深海色の粒子へ。


「――榊!!」


管理体が叫ぶ。


榊は笑う。


静かに。


「……悪くねぇ人生だった」


その瞬間。


終焉が最後の咆哮を放つ。


黒い光。


超圧縮。


崩壊エネルギー。


榊を飲み込む。


世界が白く染まった。


―――続く

第23話を読んでいただきありがとうございます。


ついに榊は、

終焉存在そのものへ最後の一撃を放ちました。


しかし、

その代償として、

彼自身の存在も限界へ達しています。


次話、

シーズン3最終話。


HYDRA CHRYSALIS ―ORIGIN―

ついに完結です。

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