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7、HYDRA CHRYSALIS -ORIGIN- (ヒドラ・クリサリス オリジン) ―起源に触れた時、世界は再定義される―  作者: Nao9999


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第21話 星を継ぐ者

継承とは、


力を受け取ることじゃない。


“想い”を背負うことだ。

HYDRA CHRYSALIS


新章:ORIGIN


第21話 星を継ぐ者


海が光っていた。


地球全海域。


夜の惑星が、

青白く発光している。


「……なんだ、これ」


避難シェルターの人々が空を見る。


嵐は止まっていない。


だが。


恐怖とは違う光だった。


優しい。


温かい。


まるで。


星そのものが呼吸しているような。


原初最深部。


榊は静かに浮かんでいた。


背後。


超巨大な星海翼。


海流。


潮汐。


大気中の水分。


すべてが榊へ接続されている。


「――融合率、安定」


管理体が震える声で呟く。


ありえない。


人間が。


起源個体と融合しながら、

自我を保っている。


「……聞こえる」


榊が目を閉じる。


世界中の声。


泣き声。


願い。


怒り。


祈り。


全部。


「……重てぇな」


苦笑する。


だが。


逃げない。


その時。


深海が裂ける。


黒い穴。


外宇宙捕食者。


巨大な“目”が、

ゆっくり開く。


銀河のような瞳。


感情はない。


ただ。


捕食。


「――星海進化確認」


「――文明価値上昇」


無数の黒い腕が広がる。


宇宙そのものを侵食しながら。


「――捕食開始」


空間崩壊。


原初最深部が削れていく。


「……来たか」


榊が前へ出る。


星海翼が広がる。


惑星を覆うほどに。


黒い腕が襲い掛かる。


「――っ!!」


榊が拳を振る。


超圧海流。


星規模水圧。


衝突。


宇宙が揺れる。


黒い腕が砕け散る。


だが。


再生。


無限に。


「――無限増殖」


管理体が叫ぶ。


「――キリがない!」


榊が舌打ちする。


その瞬間。


黒い“目”が輝く。


「――解析完了」


次の瞬間。


黒い侵食が、

榊の水翼を喰い始める。


「っ……!」


星海翼が消える。


存在そのものを削除されている。


「――捕食適応開始」


榊が笑う。


「……学習すんのかよ」


最悪だ。


長引けば負ける。


その時。


起源個体の声が響く。


榊の中から。


「――榊」


優しい声。


もう恐怖はない。


「――核を壊して」


榊の目が細くなる。


黒い穴の奥。


中心。


巨大な“目”のさらに奥。


脈動する黒い球体。


「あれか」


「――あれが本体」


管理体が叫ぶ。


「――だが到達不可能だ!」


黒い腕の数が増える。


空間そのものが壁になっている。


榊が黙る。


考える。


そして。


笑う。


「……なら」


星海翼が変形する。


圧縮。


収束。


巨大だった翼が、

一点へ集まり始める。


「――榊!?」


管理体が目を見開く。


「――まさか!」


榊の右腕へ、

惑星規模の海が集束する。


超圧縮。


限界密度。


空間が悲鳴を上げる。


「……全部乗せだ」


腕が崩れる。


存在維持が限界。


それでも。


止めない。


「――肉体崩壊!」


管理体が叫ぶ。


榊の身体が、

深海色へ変わっていく。


だが。


榊は笑う。


「……一発で終わらせる」


黒い“目”が反応する。


「――危険認定」


無数の黒腕が榊へ向かう。


だが。


遅い。


榊が踏み込む。


宇宙が割れる。


「うぉぉぉぉぉ!!」


咆哮。


超圧縮された星海水流。


一直線。


黒い核へ。


衝突。


世界が白く染まる。


音が消える。


時間が止まる。


そして。


黒い核に、

初めて亀裂が入った。


「――損傷確認」


外宇宙捕食者の“目”が揺れる。


初めて。


感情。


“驚愕”。


榊が笑う。


ボロボロのまま。


「……効くだろ」


その瞬間。


黒い穴全体が暴走を始める。


侵食速度が急上昇。


「――自壊反応!」


管理体が叫ぶ。


「――榊、逃げろ!!」


だが。


榊は動かない。


黒い核を見つめる。


静かに。


「……あと少しだ」


その背中。


もう半分以上、

人間ではなかった。


―――続く

第21話を読んでいただきありがとうございます。


榊はついに、

外宇宙捕食者の“核”へ到達しました。


しかし、

その代償として、

彼自身の存在も崩壊へ近づいています。


最終決戦は、

いよいよ終局へ向かっていきます。

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