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7、HYDRA CHRYSALIS -ORIGIN- (ヒドラ・クリサリス オリジン) ―起源に触れた時、世界は再定義される―  作者: Nao9999


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18/24

第18話 原初最深部

世界の始まりには、


必ず“最初の孤独”がある。

HYDRA CHRYSALIS


新章:ORIGIN


第18話 原初最深部


空を飛んでいた。


いや。


落ちているのかもしれない。


榊にはもう、

上下の感覚が曖昧だった。


周囲は深海。


空なのに。


海の底。


深海色の水が、

空間そのものを満たしている。


「……ここが」


原初最深部。


世界の底。


起源個体の領域。


都市も。


空も。


時間すら遠い。


静寂だけが存在していた。


その中心。


巨大な“核”。


惑星ほど巨大な球体。


脈動している。


心臓のように。


「――到達確認」


声が響く。


優しい。


低い。


世界そのものの声。


榊の前に、

人影が現れる。


女だった。


長い白髪。


透き通る肌。


深海色の瞳。


だが。


人間ではない。


存在密度が違う。


「……お前が」


女が微笑む。


静かに。


「――起源」


榊の胸の原初が共鳴する。


激しく。


「……ずいぶん人間っぽいな」


女は少し考える。


「――合わせている」


感情の薄い声。


だが。


どこか寂しそうだった。


榊は周囲を見る。


何もない。


ただ。


深海だけ。


「……ここには何もないんだな」


女は答える。


「――あった」


一拍。


「――昔は」


その瞬間。


榊の視界へ映像が流れ込む。


海。


原始の地球。


生命誕生以前。


静かな世界。


そこへ。


“起源”は落ちてきた。


宇宙から。


「……隕石か」


「――違う」


女が首を振る。


「――逃げてきた」


榊の目が細くなる。


「……何から」


沈黙。


長い。


永遠のような。


そして。


「――終わりから」


空間が揺れる。


起源の感情。


恐怖。


孤独。


絶望。


榊へ流れ込む。


「――私は生き残った」


女が言う。


「――だから増やした」


生命を。


海を。


進化を。


世界そのものを。


「――一人にならないために」


榊は黙る。


理解してしまう。


起源個体。


世界を侵食する存在。


その正体。


ただの怪物じゃない。


孤独だった。


「……だから取り込むのか」


女が頷く。


「――繋がれば、消えない」


「――一つなら、壊れない」


深海が脈動する。


榊の胸の原初も共鳴する。


「……馬鹿だな」


榊が笑う。


静かに。


女の目が揺れる。


「――理解できない」


「……そりゃそうだ」


榊が近づく。


ゆっくり。


「人間はさ」


苦笑する。


「一人でも生きるんだよ」


女が止まる。


理解できない顔。


「――孤独なのに?」


「孤独だからだよ」


榊が言う。


「だから誰かを守ろうとする」


沈黙。


深海が静まる。


女の瞳が揺れる。


初めて。


感情らしいもの。


「――分からない」


小さな声。


本当に。


分からないのだ。


榊はため息を吐く。


「だろうな」


その時。


深海が震える。


突然。


巨大なノイズ。


「――っ」


女が顔を上げる。


初めて。


明確な動揺。


「……なんだ?」


深海の奥。


さらに下。


“何か”がいる。


巨大。


圧倒的。


起源個体ですら警戒している。


「――来る」


女の声が震える。


「――追ってきた」


榊の背筋が凍る。


その瞬間。


深海が裂ける。


黒い“穴”。


空間そのものを喰う闇。


そこから。


無数の“目”が開く。


「――見つけた」


声。


人間ではない。


生命ですらない。


理解不能。


起源個体が後退する。


初めて。


恐怖で。


「……おい」


榊が目を細める。


「こいつが」


女が震える声で言う。


「――終わり」


その瞬間。


黒い穴が広がる。


深海が消えていく。


存在そのものを喰われながら。


世界のさらに外側から来た“何か”が、

ついに原初へ到達した。


―――続く

第18話を読んでいただきありがとうございます。


ついに榊は、

原初最深部へ到達しました。


そして明かされた、

起源個体の正体と孤独。


しかし物語はここで終わりません。


世界のさらに外側から来る“終わり”が、

ついに姿を現しました。

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