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7、HYDRA CHRYSALIS -ORIGIN- (ヒドラ・クリサリス オリジン) ―起源に触れた時、世界は再定義される―  作者: Nao9999


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第10話 核

救済と破壊は、


時に同じ形をしている。

HYDRA CHRYSALIS


新章:ORIGIN


第10話 核


触れた。


ついに。


捕食体の“核”へ。


その瞬間。


世界が静止する。


黒が止まる。


時間が止まる。


音も。


圧も。


すべて。


「――」


沈黙。


そして。


声が響く。


今までとは違う。


低く。


静かで。


どこか幼い声。


「……痛かった」


榊の目が揺れる。


「……お前」


核の中。


小さな光。


人の形にも見える。


だが。


不安定。


崩れ続けている。


「――ずっと」


声が震える。


「――喰べなきゃ、消えた」


黒が揺れる。


苦しむように。


「……そうか」


榊が呟く。


理解してしまう。


こいつは。


最初から怪物だったわけじゃない。


「――失敗した」


光が歪む。


「――捨てられた」


原初の海。


進化の実験。


その果てに生まれた異常。


制御不能。


だから。


隔離された。


封じられた。


「……一人だったのか」


沈黙。


黒がわずかに震える。


肯定。


「――だから喰べた」


寂しさを埋めるように。


空白を埋めるように。


世界を。


命を。


存在を。


「……馬鹿だな」


榊が笑う。


優しく。


ほんの少しだけ。


「そんなやり方じゃ、埋まんねぇよ」


その瞬間。


黒が揺れる。


大きく。


感情が波打つ。


「――わからない」


苦しそうに。


「――止まれない」


崩壊が加速する。


空間が裂ける。


外側では、

管理体が必死に支えている。


「――限界接近!」


世界全体が軋む。


「……なら」


榊が核へ近づく。


さらに。


「俺が止める」


黒が震える。


拒絶。


恐怖。


「――嫌だ」


子供のような声。


「――消えたくない」


榊の目が細くなる。


「……消さねぇよ」


手を伸ばす。


ゆっくりと。


「終わらせるだけだ」


核へ触れる。


完全に。


その瞬間。


深層水が流れ込む。


青白い光。


優しく。


静かに。


黒を包む。


「――ぁ……」


捕食体の声が変わる。


苦痛じゃない。


安堵。


初めて。


「……眠れ」


榊が言う。


世界が震える。


黒が崩れる。


だが。


暴走ではない。


静かに。


穏やかに。


海へ還るように。


「――あ……」


最後の声。


小さい。


消えそうな。


「――ありがとう」


光が消える。


完全に。


静寂。


その瞬間。


内部空間が崩壊を始める。


「――榊!」


管理体の声。


裂け目が開く。


脱出路。


「……っ」


榊が動こうとする。


だが。


体が崩れる。


深層接続の反動。


限界を超えた。


「……やば」


右半身が水になる。


制御できない。


「――適合限界超過」


管理体が近づく。


初めて。


焦っている。


「……終わりか?」


榊が笑う。


力が抜ける。


その時。


胸の奥。


原初が脈動する。


強く。


深く。


「――進化反応」


管理体が止まる。


榊の体が光る。


青白く。


崩壊していた肉体が、

再構築されていく。


水と。


人間の境界が混ざりながら。


「……はは」


榊が息を吐く。


「マジかよ」


完全ではない。


だが。


もう分かる。


戻れない。


“人間だけ”には。


「――段階移行確認」


管理体が静かに言う。


榊が立ち上がる。


崩壊する空間の中で。


目が光る。


深く。


静かに。


「……終わったな」


管理体が首を振る。


「――否定」


一拍。


「――始まった」


その瞬間。


遠く。


さらに深い場所で。


“何か”が目を開く。


原初の海。


その最深部。


観測。


確認。


そして――


反応。


世界が、

再び動き始める。


―――続く

第10話を読んでいただきありがとうございます。


捕食体との戦いは、

一つの決着を迎えました。


しかし榊は、

完全に新たな段階へ進み始めています。


そして原初の最深部では、

さらなる存在が動き始めました。

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