再会
忙しくて中々書く時間を取れませんでした。
徐々にペース上げて週二投稿目指して頑張ります。
これからもよろしくお願いします。
西城と嘉山の攻城戦。その裏では天谷の暗躍、そしてもう一つの影があった。西城を裏切った古森、そして【契約魔法】によって縛られていた有栖。
元囚人であり、西城が力を認めていた数少ない人物。
こだわりの強い有栖は現状に幾つも不満を抱えていた。こんな終わった世界で偉くなってなんの意味があるんだ。
西城の野心を横目に有栖はいつも退屈そうな表情を浮かべていた。
そんな有栖の目の輝きを取り戻してくれるのは戦いだけだった。血で血を洗うような殺し合い。いつからか、戦いこそが有栖の生きてきた理由なのだと錯覚するようになっていた。
古森との戦いは久しぶりに血が踊った。この時間がいつまでも続けばいいのに、そんな時出会ったのが綜馬だった。パッと見軟弱そうな青年。しかし、確固たる自信があるような出立ちをしていた。
古森との戦いの熱をそのままに出会ったため、有栖は有無を言わさず仕掛ける。急所を狙った一撃。
当たった。確かな感触だった。けれどそこには狼のモンスター。これが噂の召喚魔法か、と好敵手の登場に有栖の熱は最高潮に達するが、綜馬さっさと退避する。
情けない奴だと思ったが、戦いの好奇心は止められない。どんな事があっても戦ってやると、有栖は綜馬を追いかけた。
そしてその結果。有栖は綜馬の忠実な下僕となる事を決めた。
有栖が漠然と感じていた退屈。その正体が綜馬との邂逅で見つかったためだった。
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予想だにしていない存在の登場に綜馬は思わず言葉を失う。
「あれ、綜馬君覚えてないとか悲しい話?」
「なんでここに、」
「いやぁだって、綜馬君なんか狙われてんじゃん。俺が行くしかねぇってなってね。」
「おまえら俺たちを騙したのか!」
あまりの衝撃で忘れていたが、手首から上を切り落とされた柏木とその取り巻き達が騒ぐ。
「もういいか、こいつら。」
有栖は綜馬に向ける爛漫な眼ではなく、暗く淀んだ眼光で彼らを睨みつけた。
「仲間じゃないの?」
「まさか、そんなわけないじゃん。こんな雑魚、」
柏木達は声をあげるが有栖は気に留める様子も無く、魔力を溜める。
「良いよもう。それくらいで。人を待たせてるから。」
「んー、でも、こいつら」
「もういいって」
「りょーかい。」
有栖は驚くほど聞き分けが良かった。あの西城の【契約魔法】に縛られていた時よりもよっぽど従順。二人は怯えた顔の柏木達を残し外に出た。
外には戦闘態勢のミケアと、有栖と共に戦っていた二人が睨み合っている状況だった。
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玖珂に案内されたそこはかつて地下鉄が走っていた場所。東京では特に多くの避難民がこの旧地下鉄を利用し生活している。数は減らしたとはいえ、十分脅威なモンスターは何故か地下にはスポーンしない。
一部ダンジョン化しているエリアを避ければ、雨風を凌ぐ事が出来、安全性もそこそこ保証される優秀な物件だった。
ヨハネや、マークなどそれなりに力を持ち、理念を持つ団体は地下鉄や、地下道で時々炊き出しを行う。それは人員確保、戦力増強といった裏のテーマはあるものの、弱者救済、安全維持といった責任感が無いわけではなかった。
特に玖珂は、両親や友人達が地下鉄で暮らしていたという事もあり、避難民への対応は誰よりも真摯で前向きだった。
彼らと関係性を作ることで、居住地を地下から地上へ変えてもらいヨハネが運営するセーフエリアに迎え入れたい。
シュヴァリエの討伐よりも、玖珂が優先してもらいたい事象はこちらの方だった。
「運良く上手くいきましたけど、もうやめてください。」
「運じゃない。実力。」
ミケアは玖珂に決めつけられた事が不満そうだ。
「だったとしても、お二人が必ず勝てるなんて保証はないんです。もし今回もダメだったら、それこそ、」
玖珂は何やら焦っている様子だった。
「団野さん達は討伐すべきだって言ってましたよ。」
「あの人たちは無責任なんですよ。自分たちをヨハネと呼ぶだけありますよ。」
玖珂の浮かべた苦笑は何か強い意味を持っている気がした。
地下鉄に住む者達は綜馬達へ最大の警戒心を向けていた。
ただ、綜馬達の力量を察してか、危害を加えようという素振りは見えない。見つめる目には恐れ、怯え、怒り、のようなものばかり。その目を見つめ返そうとしても、逸らす者ばかり。習慣的に逃げる事を選んできた者達の様子だった。
「これ着いてきてくれるんですかね?」
綜馬は自信無さげに聞く。ヨハネに頼まれた仕事として避難民誘導の仕事もしっかりとこなしたかった。
「正直なところ微妙です。皆さん自分たちを信じてはいないので。」
「信じてない、」
なんとなく理解はしていた。彼らは前提として自分たちのコミュニティ以外を信じていない。これはシェルターの時からそうだった。その上、彼らはたくさん搾取され、騙されてきた。部外者の綜馬とミケアがいればその警戒心はより一層高まる事は容易に想像できた。
「とりあえず警戒心を解いてもらえるように派手な行動はしないでください。あくまでもお邪魔しているという感じで。」
「分かりました。」
ヨハネの団野から話を聞いた時、シュヴァリエという脅威にばかり意識が向いていた。だが、その実は避難民の依頼の方が時間も根気もいる作業だった。
綜馬は頭を悩ませる。どうすれば、と。
「もしかして、綜馬くん?、」
「え、」
突然呼び止められた声の主は長月琴だった。
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