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自分だけ揚げ物が楽しめる世界  作者: ミツメ


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探し出したその果てに

この作品の更新は書き溜めてからなのでゆっくりになりますが、まとまって書いてある別作品があるので興味があればそちらもよろしくお願いします。

タイトルは『狼男に転生した俺は魔物の支配者ではなく、庭付き戸建ての夢を見る。』です。

 東京だったそこはかつての様子は欠片も残しておらず、完全に朽ちていた。原因は二つ。関西と同じようにシェルターでの抗争が激化。ただでさえ人数が多く、常に物資難である東京エリアは日夜争いが生まれる修羅となった。

 これまで以上に人というものの価値は薄くなり、パックご飯の方が優先されるみたいな異常が日常になっていた。

 それはシェルターが崩壊し、ランキングという個人間でのやり取りが多くなった現在も変わっておらず、強いものに取り入るもの、徒党を組み襲撃を企てるもの、陰に潜み飢えに喘ぐもの。これまで以上にはっきりとした弱肉強食の構造。


 そしてそこにもう一つ。異常の襲来があった。かつて綜馬が倒し自らの影の一つとした『スコル』。そんな怪物と同じような異形が血を、力を、支配を求めて生まれ落ちた。怪物は人を殺す為だけの形をしている。それ専用の器具みたいに簡単に壊して見せる。


 東京だったそこは人の欲望と恐ろしい怪物の住まう世界へと変貌していた。


「彩人の班と連絡が取れない。」


「今あいつらって、」


「マークの食糧庫に向かってた。」


「バレたか、それとも、」


「言わないで。そんなこと。」


「悪い。とりあえず、マークの連中なら殺しまではしないだろうから、俺たちは救出に向けて動く。」


 個人で物資を得て、個人が最大で最小の単位となった現在。徒党を組む殆どが力を持たず、モンスターを狩るにも命がけ。当然まともな物資を得られるはずもなく、出来る事と言えば略奪か服従。

 ここにいる彼らはマークから食料を盗むことでどうにか生活を成り立たせていた。この街ではそうする他なかったのだ。彼らと同じように力を持たないものがほとんどで、いままで戦いに絶望を覚えていた者達は、彼らからすると恵まれている立場にしか映らなかった。

 

 数人がかりでやっと数匹のゴブリンを狩り、装備の修復と傷の治療をする。丸一日死ぬ思いで稼いだのが赤い魔石五つという結果。下から二番目の等級で、えられる物資はジャガイモやパスタといったところだろう。魔道具を動かすのにも魔石はいる。この世界に生きる過半数はこの生活に疲弊しきっていた。

 それこそ、盗みや暴力を当たり前だと感じるほどに。


 『ヨハネ』はそんな混沌を変えようと集まった者たちだった。志は高く、各々が今を変えようと必死になっている。

 しかし、彼らには決定的に足りないものがあった。それは力。独善たる圧倒的な能力。それが欠如していた。

 力とは暴力のことではない。全てのものを導けるほどの希望。心に平穏を与える絶対が、ヨハネは持ち合わせいなかった。


 彼らは悩んだ。どれだけ時間を使い、我々を消費しようとも世界は変わらない。それほどまでの説得力を自分たちはもっていない。ただの自己犠牲。偽善であったと過去にされて終わるだけ。


 彼らは求めた。力を持つ存在を。我々の血肉を使っても良いという才覚を。

 そして、見つけた。というより最初から彼の事は話に上がっていた。

 『シェルター130』。東京エリアでは無類の強さを誇ったシェルター。様々な人々が規則の元に行動する集団。

 今はなき最強の一つだったそこで、諜報、密偵を得意とした長谷部という男がいた。彼は【陰魔法】と【音魔法】という強力な魔法を駆使し、相性の良い魔法の組み合わせで様々な仕事をこなしてきた。


 そんな彼が見たという圧倒。現在東京エリアで暴れる怪物と同じような凶悪を一瞬で屠った存在。噂や、幻覚の類として長谷部の言葉をそのまま受け取るものはいなかったが、ヨハネはそんな曖昧な情報に縋るしかない状況にまで追い詰められていた。

 ヨハネの中でもそんな馬鹿馬鹿しい話を信じて時間を浪費するよりも、物資や魔力で靡くような一時的な補強をした方がいいという者が少なくなかった。

 もしかすると殆どがそんな考えだったかもしれない。


 ヨハネ内にも強い者はそれなりにいる。が、この世界において強さが足りるなんて事はなかった。信念がなくとも、志が低くとも、味方となるのであればヨハネは動いた。


「わかった。噂の彼は私たちだけで行う。」


 団野は一つの強い関心を持っていた。噂の彼こそが自分たちを救う救世主になるんだと。


 団野は【探知魔法】を持っていた。しかし魔法と言っても万能の力ではない。当然制限がある。ただ団野は噂の彼がなぜ噂の域を出ないのか、そしてこれまでの間見つからずにいるのか、その部分である憶測を用意していた。


 同じ魔法でも術者によって効果や効力は異なってくる。同じく【探知魔法】を持つ西城は一度会った人間の位置を探ることに特化していた。

 団野の【探知魔法】は検索するように、目的の対象の条件を決めてから探知する。そのため、対象の情報を知っていなければかなり精度が低い。ただ、その分西城では行えなかった会ったことのない人物でも探す事が可能だった。


 団野の憶測。それは、【陰魔法】を使う人間だというもの。隠密能力に優れていて、比較的に珍しい魔法。強さと消息の不明さを両立させるためにうってつけの魔法。

 団野はその一つの憶測をもとに地域を一つ一つしらみ潰しで探していく。掲示板で情報提供も求めた。


 機能としての情報の等価交換は、わからない部分が多すぎて利用できなかった。そして、ある日偶然目にした関東のランキング上位者。

 つまりは強者の羅列。上から順に検索をかけていく。現在の位置。そして、そのエリアに絞って【陰魔法】の使い手を再び検索し直す。


 綜馬は、【陰魔法】の使い手だった。彼だ。団野は確信した。しかし、翌日彼らがいた地点に向かう頃には姿を消していた。

 【探知魔法】も万能ではない。それは機能の部分もそうだが、燃費の部分にも言える。魔石という外部動力を使わなければ満足に検索することも出来ない。

 そこからは魔石を集め、検索。近づいては離れ、の繰り返し。やっと彼と出会えた時は感動のあまり涙を溢しそうだった。


「少し良いかな。」


 上擦ってしまった声は緊張で気にならなかった。

 

読んでいただきありがとうございます。


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皐月賞はマテンロウゲイルを軸に買います。

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