32話
あーらーらら
「次は綱引きです。」
3年の女子がそうアナウンスすると校庭の中央に大きな縄が置かれる。
「最初は3年A組と3年E組の対決です。」
この綱引きはクラスの全員で縄を引っ張り合う普通の綱引き…のはずだが…
「お〜とA組のほとんどが倒れた〜!」
琴美が熱の入った実況をする。
なんとE組の担任の塚ちゃん先生が縄を思いっきり引っ張った勢いでA組のほとんどが倒れてしまった。
A組の残りは吹奏楽部のゴリラ部長だけだった。だがなんとこれまたゴリラ部長が引っ張った勢いで塚ちゃん先生以外全員倒れてしまった。
結果、二人の男による一騎打ちなり塚ちゃん先生が勝った。
「早苗ちゃん。小林先生知らない?」
クラスの女子が早苗に聞く。
「知らないけど…どうかした?」
早苗がそう返すとクラスの女子は困った顔をして言う。
「実はさ、もうすぐ出番なのに見当たらないんだよね。」
それもそのはずだ。何故なら今、小林 遥は裕翔と会っているのだから。
「あはは、もう全てお見通しなのね。」
男の声がだんだん女の声に変わる。
そいつは自分の顔に手をやり何かを剥ぐ。そして出てきたのは小林 遥の顔だった。
「あなたが私に会いに来ることはわかっていたけどまさか正体がバレるなんて。わざわざ学校を抜け出してきたのに。」
遥は不敵な笑みを浮かべ、話を続ける。
「それでどうするの?あなたがメアリー・スミスを守る理由なんてないでしょ?」
遥の言葉に裕翔は少し苛立つ。
「守る理由…お前にわかるか?アイツの辛さが。」
裕翔から殺気が伝わる。
「辛さ?生憎私は物心ついた時には家族がいなかったもんで全く分かりません。」
馬鹿にするように遥が言う。
「そうか…」
そう言った次の瞬間、裕翔は遥の懐まで詰め寄っていた。しかし裕翔の拳は遥によって塞がれる。それも素手で。
「…っく?!」
裕翔が少し動揺を見せ一旦距離を置く。
「あはは、残念。まさか私の腕が機械だって思わなかったでしょ?やっぱね、殺しやってると腕の一本無くすもんだよ?」
そう言って遥は自身の左腕を見せる。その腕は黒い金属でできていた。
「だけどホント残念だな〜本当はメイリーで君を殺して油断しているところをついてメイリーも殺そうと思ったんだけど。」
裕翔は遥を睨んだまま聞く。
「なぜメイリーを殺そうとする。」
すると遥は思いっきり口角を上げて言う。
「あるヤツに頼まれたんだよ。スミス一家を殺せってね。それで殺した。
だけどまさか私が働く軍でメイリーが復活するなんてね。びっくりだよ。
だから軍にこの事がバレないようにメアリーを殺そうとした。任務中の事故死としてね。」
裕翔は分かっていたかのような顔をする。
「…流石、報告通りですね。田中さん。」
裕翔がそう言うと軍人服の男が一人物陰から出てきた。
「裕翔くん…君の気持ちもわかるが軍事力をサーチネみたいに使わないでくれ。」
(サーチネとはインターネットサービスのソフトのこと。)
遥はその男を見て驚く。
「ふふふ、まさかこっちの軍が関わってきてたなんて。」
実はメイリーの身元確認などを裕翔は知り合いの田中 総に頼んでいた。彼は自衛隊の上の身分の方でこの身体になって色々お世話になった人だった。
「とりあえず…」
遥が戦闘態勢をとったと思うと
「逃げますか。」
すぐさまその場から離れた。
もちろん追いかけてたが流石『十面相』。逃げ切られてしまった。
感想とか欲しいなー




