33話
一方その頃、学校では早苗達が遥先生を探して走り回っていた。
「琴美。先生いた?」
早苗がそう聞くと琴美は首を横に降る。
「全然見当たらない。ほかの先生達も探してるんだけど。」
そうして困っていると放送席から放送が流れてきた。
「えー、1年D組の遥先生は本日をもって退職なされました。よって臨時で笠神校長先生が入ります。」
その放送を聴き皆、戸惑っているとこの学校の校長、笠神校長先生が皆の前に現れた。
「ヨロシクOK!!」
カタコトな日本語を話す校長にさらに戸惑うのであった。
「…く…逃げられたか…」
裕翔はそう呟くとさっきの路地裏に戻る。
戻るとそこには軍服姿の田中 総がいた。
「…そうですか。逃げられしまいましたか…」
彼はそう言うと左胸の内ポケットからUSBを出した。
「はい、これ。あなたが頼んだ『十面相』の資料です。」
裕翔は軽く頭を下げるとそれを受け取った。
「本当裕翔くんは人の扱い方が雑なんだから。まさかそれも君の『障害』のせいとかじゃないよね。」
総の顔が真剣になるがすぐさま陽気な中年おじさんの顔に戻り"じゃあ、戻りますね。"といいどこかに消えてった。
「絶対勝つぞー!」
「「おー!」」
浩介の掛け声に続きD組全員が返事する。
「さなっち。結局、裕翔くん来なかったね。」
琴美がそう言うと早苗の表情が少し暗くなる。
「うん…」
早苗は力のない声をこぼす。
「誰がいないって。」
その聞き覚えのある声に琴美と早苗は驚き音の方を振り向く。
「「裕翔くん?!」」
そこには平然と立っている裕翔の姿があった。
「お兄…裕翔くん?いつの間に…」
早苗の質問に答えようと口を開いた次の瞬間。
「ゆ・う・と〜〜!!」
浩介がやって来た。色々迷惑を被った彼は裕翔に近づくやいなや首元を掴んで怒りをあらわにする。
だが裕翔は気にもせず、ある一人の美女に目を向ける。
そして浩介を無視して彼女のもとに向かった。
「メイリー、これがお前の欲しがっていたものだ。」
そう言ってUSBを差し出す裕翔に彼女、美久は少し驚いていた。
「勝ったらでは…」
そう言うメイリーに裕翔が優しい表情で言う。
「お前の頑張りは父さんから聞いた。早苗を守ってくれて感謝する。これはただの同情だと思って受け取れ。」
彼女は戸惑いながらもそれを受け取る。
そんなやりとりを見ながら一人、怒りの矛先を見失った浩介が地面を殴っていた。




