13話〜ゲーム大会〜
今日は日曜日、学校もなく憂鬱感もない朝に裕翔そしてその父、智は真剣な表情で朝食を食べていた。
「お味はどうですか?ア・ナ・タ♡」
早苗の母、現智の妻の来海が言い智の顔がダラける。
「最高だよマイハニー♡」
そんな会話を聞いて少し吐き気がする。
「おい、そんなことしてないで早く行くぞ。」
裕翔がそう言うと"ああ、そうだな。"と智が言い食べ終わった皿を来海に渡し真剣な表情に戻る。
「よし、行こう。」
「あぁ。」
裕翔はお気に入りの黒いパーカーにスリッパで智はスーツ姿だった。
家を出ようとしたその時、
「あれ?どこか行くの?」
早苗が寝間着姿で二階から目をこすりながら降りてきた。
高1にしては可愛すぎるネコが描かれた寝間着は身体の小さい早苗には少し大きすぎるようでブカブカだ。肩が出て胸が見えそうだ。
「ん、あぁ少しな。」
少し戸惑いながら裕翔が言う。
「でも今6時だよ。」
そう今は6時、いつもの裕翔なら熟睡しているところだが今日は今までの訓練の成果を発揮するために早起きしていた。何をしに行くかと言うと…
「ゲ、ゲーム?!」
そう、ゲーム大会だ。
裕翔と智は大のゲーム好きで今回のゲーム大会で優勝するために練習してきたのだ。
今、裕翔たちは家から遠く離れた大都会、アキバに来ていた。
早苗がいるのは"ついて行く"と言って聞かなかったからだ。
裕翔と智はささっと会場に入って行く。それを慌てて追いかける早苗。
裕翔は人が多いのが苦手だが今日だけは耐えていた。しかも早苗が注目を集めているおかげで少し楽だった。
早苗は可愛い白いワンピース姿で少し幼稚感に混じった大人のオーラを放っていて誰もが見つめてしまう。
「さあ、出場者が揃いましたので第12回格闘ゲーム大会を開催します!」
「「「うおーー!」」」
女性司会者がそう言うとゲーム好き達が声を上げる。早苗は体を縮めて裕翔のパーカーを掴む。
「かわいい…」
裕翔は少し怯えている早苗を見てつい本音が出てしまった。
「ん?何か言った?」
周りの声のおかげで早苗には聞こえずに済んだ。
「あ、いいや何も。そろそろ行かないと。」
そう言い逃げようとするが
「やだ、一緒に行く。」
そう言ってついて来た。
「今回の優勝賞品は3位、特製リモコン。2位はきょんちゃん仕様のゲーム機。そして1位はなんと来週発売のゲームソフト「サリオ」です!」
「「「おぉ〜」」」
(今回の賞品もいいものばっかだな、確か特製リモコンは大手ゲーム会社が作った世界に1つしかない物でさらに発売前のアクションゲーム、「サリオ」だと。2位のゲーム機は人気キャラクターのきょんちゃんか…そこまで欲しくは…)
裕翔が珍しく少し興奮していると早苗がきょんちゃん仕様のゲーム機をじっと見ているのが分かった。
そして戦いが始まった。
この日、裕翔の秘密が早苗に知られるとも知らずに…




