第52話 蒸したジャガイモ
トリスタン皇国 ドルフィン家領内の町の宿屋
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伯爵令嬢:「貴方がやっているのは
蒸したジャガイモを飢えた子供にあげるような事なの」
梨絵 :「それの何が悪いの? いい事じゃない」
伯爵令嬢:「本当に?」
梨絵 :「。。。え? 当然でしょ?」
伯爵令嬢:「あなたって思っていた通り おつむが弱いのね? お可哀想に」
梨絵 :「どういう事よ?」
伯爵令嬢:「葉を見る人は枝を見ようとしない
枝を見る人は幹を見ようとしない
幹を見る人は木を見ようとしない
木を見る人は森を見ようとしない
もう一度考えてごらんなさい」
梨絵 :「。。。。。」 そう言われても分からない物は分からない
伯爵令嬢:「はー 本当はあなたが自分で気付かないといけない事なのに」
梨絵 :「それが分からないから訊いているんでしょ!!」
伯爵令嬢:「貴方がやっているのは蒸したジャガイモを飢えた子供にあげるような事
もしもそのジャガイモを貴方が自分で買った物や
畑から採ってきた物なら
貴方のやっている事は純粋に正しいでしょう
ただ 飢えた子供がなけなしのお金で買った蒸したジャガイモ
それを貴方が奪って別の飢えた子供にあげたのなら
それで貴方は自分がやった事が正しいと言えるの?」
梨絵 :「。。。。。。。。。」
伯爵令嬢:「。。。。。。。。。」
梨絵 :「え!!! ちょ ちょっと待って! それって?」
伯爵令嬢:「当然言えるわよね? だからやり続けていたんだもの」
梨絵 :「そ そんな事は」
伯爵令嬢:「私達は人間という小さい生き物なの
死神様を騙す事は出来ない
刈り取られる運命の魂をあなたは邪魔をした
なら別の魂が刈り取られるだけの事
本当に 当たり前の事よね?
当然 知っているわよね?」
梨絵 :「。。。(そんな事知らない そんな訳がない 誰も教えてくれなかった)」
伯爵令嬢:「貴方が初めて回復魔法を使用した時 私が何て言ったか覚えている?」
梨絵 :「い 犬の様だと」
伯爵令嬢:「そう 自分の尻尾を追いかけまわしてクルクル回る犬の様だなと
東の怪我人を回復した 死ぬはずだったのに
だから北で事故が起きた でも貴方はそれを追いかけて回復した
だから西で事故が起きた でも貴方はそれを追いかけて回復した
だから南で事後が起きた
貴方の魔力がなくなり追いかけられなくなった
そこで連鎖は終了した
東の怪我人と家族からしたら貴方に感謝しかないでしょう
死ぬ運命の旦那を助けたのだから
村の人から祝われて そして貴方はそれしか見なかった
でもそのせいで南の家の旦那が亡くなった
南の家の残された夫人と子供達からしたら本当にいい迷惑よね?
そうは思わない?」
梨絵 :「。。。。。」
何も言えなくなる聖女
外の窓の下で休んでいる少年は理解した
そうか だからか
令嬢は馬車で家に立ち寄り残された夫人と子供達に
お見舞い金を渡していたのを知っている
そして夫人にはドルフィン家で仕事が与えられている
ドルフィン家のキッチンで見たから
だから残された子供達の生活には支障がない。。。いや その言い方は正しくない
父親が亡くなったのだから。。。でも 飢えて死ぬ事はないであろう
伯爵令嬢:「貴方は村の疫病を回復魔法を使い治し村を救った
ただ その裏で2つ先の村に竜巻が起きた
騎士団長の家族が亡くなった」
外の窓の下で休んでいる少年は理解した
噂があった
騎士団長だけ冷たい目で聖女を見ていたと。。。
そしてその夜 騎士団長は辞表をだした
梨絵 :「そんなの偶然よ!!!
大体そうなら なんで誰も回復魔法を使うのを止めなかったの?」
伯爵令嬢:「あなたが使う強力な回復魔法
教会は似た事を経験していたから
大金を取って治す事に対する対価をとるようになった
そして得たお金で神をまつる像を作ったり 綺麗にしたり
回復魔法の反動 神様からの怒りを買う事を抑えた
極1部の例外を除いて教会の人達の食べ物は質素そのものよ
極1部の例外を除いて教会の人は来る人を出来るだけ助けようとする
貴方やおつむの悪い皇子が考えている様に
人々に意地悪をしたいからじゃないの
決して邪魔をしたり業突く張りだからではないの
でも貴方達は彼らの言葉を聞かなわかったわよね」
梨絵 :「。。。。。。」
伯爵令嬢:「怪我や病気になったら本来は魔法ではなく頑張って自分で治す
それが動物では当たり前
でも魔法が使えるからって人は楽になろうとする
なら対価を払わなければならない」
梨絵 :「。。。。。。」
伯爵令嬢:「薬は大丈夫らしいんだけどね
薬という知識を持っている
それだけで対価を払った事になっているのでしょう
弱い回復魔法も同じ理由で問題はないらしい
回復魔法で治しても治しても毎日大量の病人や怪我人がくる
何かがおかしい
病気や怪我人の数が全くと言っていいほど減っていかない
私達が考えていた事に教会の聖職者達も気づいた
それを減らすために病院を作ったの
お蔭で少しづつ怪我人や病人は領地から減っていった」
梨絵 :「。。。。。。」
伯爵令嬢:「貴方にも経験があるんじゃなくて?」
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梨絵 :「えーと 忘れ物って言うのは?」
リューズ:「余り時間がありません
単刀直入に言わせてもらいます
聖女様の違和感は正しいです」
梨絵 :「え?」
リューズ:「怪我や病気などは回復魔法で治っています
でも 怪我人や病気の人の人数は減っていません」
梨絵 :「それって?」
リューズ:「貴方自身が気づかないといけない事です」
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梨絵 :「。。。。。。」
伯爵令嬢:「でも強すぎる回復魔法は必ず反動が来る」
梨絵 :「。。。。。。」
伯爵令嬢:「その上でこの国はあなたの行動を野放しにした
何故だかわかる?」
梨絵 :「。。。だからなんで?」
伯爵令嬢:「はー 本当におつむが弱いのね。。。
お可哀想に。。。本当にお可哀想に。。。
考えてごらんなさい
貴方がやっているのは
蒸したジャガイモを飢えた子供にあげるような事なの」
梨絵 :「それは分かっているわよ
でも別の飢えた子供から奪っているのなら意味が無いじゃない!?」
伯爵令嬢:「本当に?
例えば強盗、強姦魔、殺人者などの極悪人が食べるはずの
ジャガイモを奪ったのならそれは悪い事なの?」
梨絵 :「え?」
伯爵令嬢:「もしも自分の お金でかったジャガイモなら?
畑で育てたジャガイモなら?」
梨絵 :「。。。。。。」
伯爵令嬢:「それが出来るか確かめる必要があった
なぜなら貴方の回復魔法はそれだけ強力だから
あなた覚えている? 敵対国の近くの病院で回復魔法を使った事を?」
梨絵 :「あのピリピリしていた遠征」
伯爵令嬢:「遠征先の建物
あの場所に居た人達
トリスタンの国の怪我人や病人を予め送っていたの
そして貴方が治した時トリスタンの人達は死ななかった
遠巻きに囲んでいた騎士達に害は起きなかった
言い方は悪いけど
貴方の回復魔法の反動はその周辺にしか及ばない。。。
皇帝達にとってそれが確かめられた」
梨絵 :「。。。。。。」
伯爵令嬢:「私達は知っていたんだけどね
反動を避ける為に病院であなたに回復魔法を使わせないで
川を超えた場所で使わせたぐらいだから」
梨絵 :「。。。。。。」
伯爵令嬢:「でも苦労したのは皇帝の甥を回復した時の事」
梨絵 :「そうよ あの時は何も起きなかったじゃない」
伯爵令嬢:「起きなかったじゃない
起こさせなかったのよ」
梨絵 :「。。。どういう意味よ」
伯爵令嬢:「牢獄にいた極悪人の全てを城の裏庭に集めて
貴方が回復魔法を使用させた後に全員処刑したの」
梨絵 :「。。。。。。え?」
伯爵令嬢:「皇子が王令を読み上げるとか理由をつけて
貴方の回復魔法を使うタイミングで
秘書官が窓から合図を送ったそうなのよね」
梨絵 :「。。。。。。」
伯爵令嬢:「数十人いたらしいわよ
でもそれで王族の血が護られたのなら価値はあったんじゃない?」




