第42話 イスティカンに入れられたチャイ
トリスタン皇国 ドルフィン家のダイニングルーム
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モーリス:「ネーベでは紅茶は音と味を楽しむのです」
それはまるで素晴らしいショーを見ている様であった
‟シュバ” 水の魔法で鍋が満たされ
‟ボウッ” 火の魔法を鍋の下に
‟コポコポコポコポ” 鍋が沸騰する
金色のヤカンに紅茶の葉と黄色い香辛料を入れ
混ぜるようにして湯を注いでいく
‟じょばじょばじょばじょば”
そしてヤカンを円を描く様に降り始める
と同時にお湯と茶葉がかき乱されていく
‟ぽしょん ぽしゅん ぽしょん ぽしゅん”
と湯がヤカンの内側にぶつかる音がする
そして紅茶の入れ方
小さいグラス それを リズムよく金色の皿の縁にに軽く叩きつける
‟カン カカン カン カカンカン” 心地よいリズムからなる音
貴族社会としてはハシタナイと言われてしまうのであろう
だからネーベの使節団も皇族や公爵にお茶を御馳走しなかった
御馳走しようともそもそも思わなかったというのもあるが
少量のハチミツがグラスに入れられ その上から牛乳が足される
ただ牛乳は高い場所から細くグラスに入れら牛乳がグラスの中で弾ける
‟ぽしょぽしょぽしょぽしょ” と液体が弾ける
紅茶が小さいグラスに注ぎこまれ
それを銀の小さなスプーンでかき混ぜる
この時も スプーンをグラスに敢えてぶつけて ‟キン キン キン” と音を鳴らす
そして グラスが差し出される
‟カン カカン カン カカンカン”
‟キン キン キン”
‟カン カカン カン カカンカン”
‟キン キン キン”
そして伯爵、伯爵夫人、伯爵令嬢の分が差し出される
伯爵 :「でわ」
そして飲んでみる
辛い!。。。ただ牛乳が入っている為 耐えられる
そしてハチミツと辛さが見事に調和している
伯爵 :「これは 美味しい! そして面白い! 素晴らしい!」
モーリス:「チャイと呼ばれる物です」
伯爵夫人:「健やかと言っていいのかしら? 美味しいですわ。。。ね?」
サラ :「うん これは凄い!
味もいいけどグラスの音とスプーンの音がすごく好き!」
モーリス:「喜んでいただいて何よりです!」
本当に にこやかに言い放つ使節団長
グラスを鳴らす小皿とスプーンはネーベでは代々受け継がれている物である
それらが醸し出す音を褒められるのは純粋に嬉しい
ただ そのあと使節団長は大量に黄色い粉を金色のヤカンに入れている
伯爵 :「それは?」
モーリス:「あー ネーベの人は辛さに耐性ができているんですよ
だから このぐらい入れないと辛く感じないので」
サーンス:「いや 入れすぎに見えますよね?
わかりますよ でも私どもにはこれが普通なのです」
ラヴェル:「辛い物の後はチャイ
でもこれを皇族に出したら
無礼者!!!って言われるのは目に見えているので」
全員 :「はははははは」
***1時間後***
伯爵 :「いやはや 本当に有意義な時間でした」
モーリス:「こちらこそ これからもよろしくお願い致します! でわ」
ネーベの使節団は嬉しそうに帰って行った
***数日後***
ネーベから正式に交易がしたいとトリスタン皇国に申し出が来る
ただ 窓口に必ずドルフィン家を仲介される事が条件として付けられているが
今まで交易できていないのはネーベの おもてなしの紅茶の文化を
トリスタンの貴族達が受け入れる事はなかったからだ
数世代前の公爵家がグラスを叩く文化を無礼者!!
と紅茶の注ぎ方に文句を言った事で交易が台無しになった歴史がある
トリスタン皇国側はそれを忘れているが ネーベ側はそれを決して忘れていなかった
だから長年の間 ネーベからしても交易をする相手ににはならないと思われていた
ただドルフィン家は違った
その文化を包み込むように受け入れた
そうネーベの使節団が帰国後に報告をあげたのだ
そして新聞にも記載される
魔法の栄えた国 ネーベとの交易が開始される
それはドルフィン家のおもてなし
そしてネーベ使節団からの紅茶をいれるという最大の敬意の申し出
それらがあったためと
ヨハン :「また あの家か 忌々しい」
梨絵 :「眉間にしわが寄ってるよ」
ヨハン :「ああ」
梨絵 :「でも何が悪かったんだろうね?」
ヨハン :「ん?」
梨絵 :「私達の時はとても空回ってたじゃない」
ヨハン :「。。。」
梨絵 :「あんなに料理とお菓子が美味しかったのに」
ヨハン :「。。。いや ドルフィン家の事だ
何かずる賢い事でもしたんだろう」
そう吐き捨てるように言う皇子であった




