第34話 メッサへの遠征
トリスタン皇国とメッサの国境へ移動中の馬車
――――――――――――――――――――――――――――――――
レオン :「聖女様 見事に睨まれてたなー」
梨絵 :「回復したあげたのに」
それは一昨日 回復できなかった母親が連れてきた子供
昨日 一番最初に回復したのに 親子はお礼すら言わないで立ち去った
梨絵 :「あの態度 ちょっとだけ失礼だと思ったんだけど」
レオン :「基本的に聖女様が見たい
だから小さな怪我とか風邪でも教会に来ていた野次馬も多いし
それ以上に まー 昔があったからな」
梨絵 :「昔? 前も言ってたよね?」
レオン :「俺が子供の頃 教会での回復魔法で皆 喜んでたんだよ
俺が少し齢を取った頃 教会での回復魔法はしてもらうのが当たり前
俺が騎士団に入った時は 早く回復しろ!
とか教会に文句を言う奴もいたからなー」
梨絵 :「うわーー それって
奢ってもらってありがとう から
奢ってもらうのが当たり前になって
奢ってもらっても足りないって文句言う
みたいな?」
レオン :「そうそう 良く解ってんじゃん 聖女様
教会で働いている人達は基本的にいい人なんだよ
そしていい人ほど回復魔法を使える資質があると言うか」
梨絵 :「だから教会は回復魔法に高額な費用をかけたの?
民衆の横暴を止める為」
レオン :「うーん。。。いや どうだろう?
ただ高い費用にしろって要求したのはドルフィン家だったはず
教会の幹部とドルフィン家がいろいろ議論していたって噂があったな
その後だよ 確か病院が出来たのは」
梨絵 :「領民や国民は怒らなかったの?」
レオン :「いやー 凄い批判があったんだけど
今までの回復魔法や教会の費用は領主たちが払ってた
これからは自分で払ってくれ! って説得の仕方してたな」
梨絵 :「人々は納得はしたの?」
レオン :「せざるを得なかったって感じかな」
梨絵 :「やっぱりドルフィン家って悪い家なんじゃないの?」
レオン :「色々と裏でやっているのは確かだと思うんだけど どうだろう
教会と病院の人達の事を唯一最初から最後まで考えていたのは
ドルフィン家とその友好関係にある家だけだったし
国も領民や国民もアンタも皇子も
あの人達の言葉を聞こうとしなかったろ?」
梨絵 :「。。。。。。」
レオン :「それよりもさー 聖女様さー
何でメッサへの強行軍を受けちまうんだよ?
折角の休みだったのに」
梨絵 :「緊急の皇帝からの命令だそうで受けた方がいいかなーって」
レオン :「聖女様が受けるのはいいんだが 俺の休みを奪うのは止めてもらいたい
護衛をやるって言っても 俺も休み必要だからな?」
梨絵 :「うーーー ゴメン そこまで考えてなかった」
レオン :「ほんと 最悪だよなー」
梨絵 :「それが護衛の言葉?」
レオン :「周り観ても同じこと言えるか?」
梨絵 :「。。。。。。」
ダンテスさんと500人近くが馬車を護衛している
梨絵 :「凄い人数」
レオン :「騎士団を全滅させた化け物が出た事があったからな」
梨絵 :「え? そうなの?」
‟ガンッ” と音が鳴り馬車が跳ね上がる
レオン :「大丈夫か!!」 とっさに利絵の横に移動している
梨絵 :「うん 大丈夫」
御者 :「すいません
この辺りは道が整備をされなくて」
レオン :「ゆっくりでいいから
安全運転を心がけてくれ」
御者 :「了解です」
梨絵 :「うわー びっくりした」
レオン :「そうか」 元の場所に戻っている
梨絵 :「ねー メッサってどんなとこ?」
レオン :「細長い国だよ」
梨絵 :「細長い国?」
レオン :「そう 横に細長――い国」
梨絵 :「他には?」
レオン :「魔物が多く居る」
梨絵 :「魔物?」
レオン :「ああ まー 出会わないだろうけど」
梨絵 :「じゃー 何でこんなに騎士の人達がいるの?」
レオン :「敵対してるって訳じゃーないんだけどな 戦争をしている訳でもないし
でも領土問題 国境の場所の認識がそれぞれ違うんだよ
それで国境付近では
お前 俺の国に入ったろ? ちげーよ お前が入ってるんだよ
って形 小競り合いは続いているな」
梨絵 :「小競り合い?」
レオン :「まー 毎年100人近くは死んでるんじゃないか?」
梨絵 :「それダメじゃない!」
レオン :「まー 良くはないがな
でも それ騎士達したっぱだけ
貴族達はお互いの国同士で貿易したりしてるし
パーティーに呼んだり呼ばれたり」
梨絵 :「それおかしくない?」
レオン :「貴族って平民と貴族を切り分けて考えてるんだよ
同じように騎士達を切り分けて考えている
下が殺した 殺された は貴族達には気にならないって事だろ」
梨絵 :「うわーーー」
レオン :「へーー そういう感情を出せるのか?」
梨絵 :「どういう意味よ?」
レオン :「いや 聖女様は異世界の貴族だから失礼ないように! って
言われてたからなー」
梨絵 :「そうなの? どっちかと言うと平民側だと思うんだけど」
レオン :「それ絶対に言うな!!
貴族でしたか? って訊かれたら否定は絶対にするなよ!!
城での扱いが本当に変わってくるから」
梨絵 :「。。。わかった (やはり本気で私の事を心配してくれている)」
リューズ様とレオンハルトさん
2人ともイケメンなんだよね 私の事本当に考えてくれてるし
リューズ様は筋肉があればなー
レオンハルトさんはチャラくなければなー
でもレオンハルトさんはレオンハルト様になりそうな気がする
梨絵 :「そう言えば昨晩」
レオン :「ああ 俺が盗み聞きしてたの見てたろ?」
梨絵 :「あんな事していいの?(気づいてたんだ)」
レオン :「良くわないけどレディー ドルフィンに言われたからな」
梨絵 :「???」
レオン :「ダンテスの護衛っていうのは山賊とか敵が来たら物理的に守る
何故ならダンテスは近衛だから」
梨絵 :「レオンハルトは違うの?」
レオン :「ああ 俺はパレスガードだ
それを分かっててレディードルフィンは守るように言ったんだよ
外敵の全ての攻撃から城を守る
物理的な攻撃だけでなく政治的な策略や貴族達の噂とか悪意からもな
対象が城から個人に変わっただけだ
面倒な役回りだが出来る限りの事はさせてもらうから」
梨絵 :「。。。うん。。。お願い(本当の騎士様だ それも心強い)」
その後 他愛もないない話をしながら馬車はトリスタンの前線にたどり着いた




