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第19話 常に動き回る対象


トリスタン皇国 ドルフィン家領の町の図書館

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

何時もの様に自由時間を過ごした後 日が沈んでいくのが見える

酒場の前を見ると今日は馬車が無い

ポケットに手を突っ込んでみる

銅貨の感触は表。。。なら今日は働くか!!


少年  :「おーい 今日 働きたいんだけど大丈夫?」

酒場の主:「あー チャーリー!

      給仕をしてから皿洗いを頼む」

少年  :「りょうかーい」


この酒場は結構な頻度(ひんど)で客が来る

ただその客達はこの少年の事を知っているので下手(へた)に絡(から)まない

またこの酒場で問題を起こして出禁になったら代わりの酒場は

町の反対側まで行かないと行けなくなる

だから少年でも問題なく給仕ができる


そして今日は馬車が無い

貴族が居ない事を意味する


客は多いが満席ではない


***30分後***

少年  :「お皿あらってくるからー」

酒場の主:「頼んだー」

給仕の後 ひたすら皿洗い

それが落ち着いたら


***1時間後***

少年  :「皿洗いが終わったから休憩(きゅうけい)させてもらうよー

      客が帰ったら掃除するから」

酒場の主:「分かったー

      そういえば 1ついいか?」

少年  :「んーー 休憩ダメーー とかは嫌だよー

      俺 子供だし」

酒場の主:「いや そうじゃなくて 何時(いつ)ものパン屋には行ってないのか?」

少年  :「あー あそこは2度と行かないかもなー」

酒場の主:「なんかあったのか?」

少年  :「銅貨2枚で貴族に届け物をしてくれって言われてねー」

酒場の主:「銅貨2枚 なら悪くないだろう」

少年  :「普通の家に届けるんだったらねー でも貴族相手にだよ

      明らかに中抜きをしているか 人さらいを考えているか

      まー 関わらないのが安全かなって」

酒場の主:「そうか? 普通じゃないのか?。。。いやどうだろう?」

少年  :「いや 怪しすぎだろ? 

      だって貴族相手なら店長が普通 出向くだろ?」

酒場の主:「。。。そういえばそうだな」

少年  :「子供のいる人に主(あるじ)からも伝えておいてよ

      あのパン屋に子供には買いに行かせない方がいいと」

酒場の主:「分かった (中抜きする店なら客足が減っても文句はないだろう)」


***10分後***

少年  :「よし。。。さー やるか

      すいませーーん!!! 閉店前の掃除を始めるんで

      向こう側に移動してもらって良いですかー」

客   :「おいおい 話がいいとこなのに」

客   :「おいおい 意地悪すんなよ」

客   :「あーー しゃーねーなー」

少年  :「ありがとう」

客   :「イイって事よ」

客   :「掃除頑張れよ―― 少年

      それでな この間 お城で」


少年が酒場で働く理由の1つに噂話を聞く事が出来る事がある

新聞では得られない最近の出来事や城の話など

給仕や掃除の時に聞くのが好きであった

少し際(きわ)どい話で 大人の給仕の前では辞めても

子供のチャールズの前で辞める事は滅多になかった

だからここでの仕事は貴重な情報源でもある




***20分後***

そして掃除もおわって 銅貨3枚を受け取る

少年  :「ありがとうねー じゃー おやすみー」

酒場の主:「気を付けて帰るんだぞーー

      あと これ 余り物! かあちゃんにあげてくれ」

少年  :「ありがとうねー」


そして少年は走って帰る


色々考えた末 常に走っているのが一番安全だと判断しての事だ

そして家までの距離なら走り続ける事が出来る

そしてもう1つは働く日をランダムにするという物

決まった日に働いていたら店を出た時に強盗にあったりするかもしれない

たかが銅貨数枚

それでも少年にとっての大事なライフライン

取られる訳にはいかない


だから 働くかどうかはコインの表裏をポケット内の感触で決めている


酒場の主:「一応 チャーリーに聞いておきましたか あれで良かったですか?」

執事長 :「ああ ありがとうございます」


***夜中***

伯爵  :「どうだった?」

執事長 :「いや パン屋が銀貨1枚の所を

      銅貨2~3枚の駄賃にしようとしていたそうです」

伯爵  :「あのパン屋の店長がか?」

執事長 :「まー チャールズ殿もあの店を見限ったそうなので。。。」

伯爵  :「そうか。。。ならうちもそうしないとな

      それで肝心のチャールズ少年は?」

執事長 :「私が何とかしてみます」

伯爵  :「頼(たの)んだぞ アルフレッド」


***1週間後***

伯爵夫人:「アルフレッド 娘の頼みは終わったのですか?」

執事長 :「いえ 伯爵夫人。。。正直 手強いです」

伯爵夫人:「あら 貴方の口からそんな事が言われるなんて」

執事長 :「いや【平民の魔法の使えない少年】ですが。。。」


夜道に気を付ける

だから走って家に向かう

問題は そのルートが毎回違う

更に壊れた壁の位置とかを全て把握している

例えば人んちの馬屋に入って藁(わら)の中に

暫(しばら)く出てこないなーと思っていたら 壊れた木の壁を藁で隠してあったりとかだ


アルフレッドは闇魔法を使える

影に隠れたりとかで魔法が無い人間に気付かれる事はない。。。はずなのだが

走っている最中に急に振り返ったりする場合もあるので

普通に追いかける事ができない

だから家の特定も出来ないでいる


そして日中

常に働いて 常に走っていて どうしようもない

また夜だが働く日と働かない日があるが

その判断の仕方が分からない


新しいパン屋へ行くとき

昼食の時間

図書館の時間に接触はできるが


いやはや どうしたものだろうか?


まさか ここまで難しくなるとは思ってもみなかった






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