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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第4部
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4.入団式

入団式当日になった。

朝からソワソワして落ち着かない。いや、昨日からソワソワしていたかもしれない。


何を着て行こう、どんな髪型で行こうと、全然決められずに侍女を困らせてしまった。終いには「時間に間に合いませんよ」と半ギレ状態で言われ、全部決められてしまった。

……うちの侍女は強い。私が弱いのか。


仕上がりは素晴らしく……いや、所詮素材が私なので大したことはないのだけれど、私という一人の女の中では素晴らしい仕上がりで、さすが公爵家の侍女である。うちの侍女は凄い。


ベルック公爵家の馬車に乗せて頂き、入団式が行われる王宮へと向かう。



──結論、凄く格好良かった。


広く水色に澄んだ空に斜めに白い雲が流れている。とても天気の良い秋の日。


王宮の騎士団本部の広場で行われた入団式。階段の上の観覧席には現国王様と王妃様、それに次期国王であるアリーチェ王女殿下がおられ、とても厳粛で伝統ある行事であることを感じられた。


新隊員が剣を携え一矢乱れぬ行進で入場すると、辺りから歓声が上がる。

太陽の日を浴びて光輝く長い金髪が一際目を引くエドワード殿下。その直ぐ後に続く、殿下とは対照的な黒髪が美しいレオン様。


久し振りに見たお姿にも、初めて見た騎士服姿にも、目を奪われてしまい心臓の激しく鳴る音が煩い。


叙任の儀式では新隊員を代表して殿下が前に出て、国王に跪き頭を垂れ誓いを立てる。

滅多にない叙任の儀式での親子共演なので、新聞記者が沢山来ている。友人が言ったとおり、殿下の絵姿は新聞に載るかもしれないなと思った。


本当に格好良く、素晴らしい入団式だった。






「フレイヤ!」


2ヶ月ぶりに会うレオン様に強く抱き締められた。


入団式が終わり、新隊員達は見学に来ているそれぞれの親族のもとへとやって来た。


「あっ、あのっ、皆さんいらっしゃいますっ……」


久し振りに抱き締められて、嬉しいけれど恥ずかしさもあり、どうしたら良いのか分からなくなる。

とりあえず心臓は激しくドキドキしている。多分、レオン様に伝わっている。


「フレイヤの香りだ……」


香り!?

髪に顔を埋めてクンクンされる。恥ずかしい……。


「レオンお兄様……変態ですか……」


「レオンはフレイヤちゃんしか見てないのね、まったく」


カリナ様とマデリン様が呆れている。


「レオン様……髪、伸びましたね」


会えていなかった2ヶ月間、髪を切っていなかったのか、髪が伸びて襟足を1つに縛っている。初めて見る髪型だ。

とても……格好良い。何だか大人びて見えるのだ。色気が増している。


「ん?そうだね。寮に月に1度理髪師が出張してきて散髪してくれるんだけど、全員同じ髪型にされてしまうんだ」


そう言ってレオン様が他の隊員を指し示す。


皆で視線を移すと、……うん。

半数くらいの方がとても短く整えられている。襟足やサイドは刈り上げられて、スッキリとした髪型。皆全く同じ髪型をしている。


……うん。レオン様はこっちの方がいい。


残りの半数の方は嫌なのか、レオン様みたいに少し伸びた様子だったり、殿下みたいに長く伸ばして縛っている。


「ほらほら、フレイヤちゃん!アレを渡さないと!」


「あっ、はい!」


マデリン様に促されて、一緒に刺繍をした剣帯を取り出してレオン様に差し出す。


「マデリン様とカリナ様と一緒に刺繍をしたのです。騎士団への入団、おめでとうございます」


「ありがとう」


とてつもなく美しい笑顔でお礼を言われて、私はもう立っているのもやっとな状態です……。

今日もレオン様のバックには薔薇が見えます。何の魔法なんだろう……。薔薇を背負う魔法なんて無い筈なんだけどな。


「ここの柊、フレイヤが刺してくれたところでしょ?」


「え!何でわかるのですか!?」


帯の刺繍された1部分を指で撫でながらレオン様が言う。確かにそこは私が刺したところだけど……。


「何となく」


「何となく?」


「お兄様、何故分かるのです?仕上がりにそんなに差がありますか?」


「いや、全部綺麗な刺繍だけど。何となく」


「あら。愛の力かしら」


「私もお母様も頑張ったんですけど!?」


「……2人もありがとう」


「愛の力には負けるわねぇ」


マデリン様にからかわれてます。恥ずかしい……。


暫くするとエドワード殿下がやって来た。仲良さげにカリナ様とお話しをされている。

私はこれをほんの数ヵ月前まで本気で兄妹のような仲だと思っていたのだ。

よく見ればお二人はお互いを大切に想い合っているのが分かるのに、自分の鈍感さに情けなさを感じる。


貴重な時間を過ごされているのは分かっているが、勇気を出して声を掛ける。


「あのっ!エドワード殿下とレオン様!お二人にお願いがあるのですが」


「お願い?」


「写真を撮らせて頂けませんか!?」


「しゃしん?」


レオン様が不思議そうに聞き返す。


「ああ、あれか。リーズ公爵が地球の新しい文化を真似た魔道具のことだろう」


さすが殿下です。ご存知でした。


「そうです。父にカメラを借りてきました。カメラで対象物を撮ると、その物がそのまま紙に印刷出来るのですが、それが写真なのです」


「へぇ。ヒューゴ様は本当に色々なものを持っているね」


「お二人の騎士服姿のお写真を撮らせて欲しいのです」


「面白そうだね。私は良いよ」


殿下は好奇心旺盛な性格なのでしょうか。快く了承してくださりとても有り難いです。


「フレイヤのお願いなら可愛いから良いよ」


……その一言が恥ずかしいのですが。


「ありがとうございます」


そしてお二人に並んで立って頂き、数回撮った。1枚くらい上手く撮れたのがあるだろう。家でお父様に教えて貰い少し練習をしたのだ。


「これだけでいいの?」


「後はお父様に現像して貰います。絵姿よりも本人そのままの姿が写っているんですよ!現像出来たらお見せしますね!」


「ふ~ん。肖像画みたいなものか?それならフレイヤと2人のも欲しい」


「えっ!?」


「よし、私が撮ろう!やってみたい」


そう殿下が言うとカメラを取られてしまい、私はレオン様の隣に押しやられてしまった。

簡単にやり方を伝えただけなのに、すぐに使いこなしている様子の殿下に撮って貰ってしまった。殿下の好奇心はなかなかですね。


そんな流れで、ベルック公爵家の皆さんとも写真を撮ったり、殿下とカリナ様の写真も撮ったりした。

かなりここだけで盛り上がってしまい、それを嗅ぎ付けたアリーチェ王女殿下まで登場をして、アリーチェ王女殿下とエドワード殿下のご姉弟のお写真も撮影した。


お二人が並ぶと華やかさと威厳があり、カメラのシャッターを押す手が震えてしまった。

でも、気安く会話されるお二人を見て、とても仲の良いご姉弟なのだなぁと感じた。


仕上がりがとても楽しみだ。

現像したら羨ましがっていた友人に、騎士服姿の殿下とレオン様の写真を見せてあげるつもりなのだ。



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