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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第3部
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18.憂い事

「優勝おめでとうございます!」


「まあ!ありがとうございます!」


魔法戦は結局カリナ様が優勝をされた。決勝は私と戦った優勝候補の吸血鬼の仮装の方と行い、カリナ様の圧勝だった。圧勝だったのだ。


……うん。私、もっと努力しよう。


「フレイヤ様との対戦でかなり魔力を消費されてたようなので、助かりました!」


お役に立てて光栄です。

カリナ様の魔法を防御しただけで本戦トーナメントに出場出来てしまったので、図らずもお返しに力になれたのなら良かったかもしれない。


カリナ様は開始の合図と共に大量の蝶で吸血鬼さんの全身を囲い、姿が全く見えない程に蝶で生き埋め状態にした。吸血鬼さんはカリナ様の魔力を打ち破る程の魔力が残っていなかったようで、蝶に埋め尽くされたままバタリと倒れ込んで戦闘不能になった。


「カリナ、結構えげつないな。一人でどれだけの戦闘不能者を出したんだよ」


レオン様がちょっとひきつった顔をしている。


「最近、少し鬱憤が溜まってましたの。毎日毎日縁談の話が来てうんざりしてたので、殿方達に怖がって貰えれば少しは減るかしらと思ったんです」


「……そうか」


そんなに沢山の縁談話が来ていらしたのか!美しい人は大変なんだなぁ。


白いワンピースのカリナ様は見た目は聖女だ。反対に吸血鬼さんはダークカラーの衣装にコウモリの羽で悪魔のよう。そんな相手を一瞬にして倒してしまった。しかも蝶が悪魔の生気を吸い取ったかのようで怖さを感じた。

これだけの強さを見せつけたのだ。安易に近付いてくる男性はアカデミーには居なくなるだろうな。


「カリナ。優勝おめでとう」


「殿下!ありがとうございます。次は剣術戦ですね!頑張ってください」


兄であるレオン様と、エドワード殿下くらいしか近寄れる方は居ない気がする。実際、皆ちょっと距離を置いている。




暫くして会場に剣術戦開始のアナウンスが入り、出場者は競技場に上がっていく。


魔法戦と同じで、先ずは予選で潰し合いをして残った者が本戦のトーナメント戦に出場出来る。


レオン様は昨年の優勝者なので優勝候補だ。皆に狙われたりするのだろうか。見ている私の方がドキドキと緊張して、握り締めている手が汗ばむ。



審判の先生の合図で試合が始まる。

辺りに剣と剣がぶつかる音が数多響く。剣と言ってもアカデミーでは通常真剣を使用しないので、皆木剣だ。カンカンと少し高い音と、皆の声と熱気で競技場の上は凄い迫力だ。


「ね……ねぇ……フレイヤ……」


「ちょっと……想像以上だよ……」


友人2人が私の腕を取ったり肩を叩いたりしてくるが、私もこの目の前の想像以上の様子に反応出来ない。


「かっ……」


目の前とは、勿論私はレオン様の姿を目で追っているわけで。


「「格好良すぎ!!!」」


友人2人の声が揃った。

私は正直剣術のことなんてよく分からない。でも、レオン様の動きの素早さとか、流れるように周りの人を次々に斬り伏せていく美しさとか、圧倒的な強さってこういうことなのかと思うくらい凄い。


友人2人は昨年の大会でレオン様の戦っている姿を楽しみにしていたけれど、猪だった為に見られなかったので、その姿をやっと見られて相当興奮しているようだ。


友人2人だけじゃなく、見学している令嬢達からもキャーとあちこちから悲鳴が聞こえてくる。

……これはモテるよ。格好良いもん。


レオン様のこと、好きになってしまう令嬢が増えそうだ。ちょっと心配になる。


「レオンお兄様、気合いが入ってますわね」


「そうなのですか?」


「目立つことが嫌いなのでこういうのは人の影に隠れるように流すタイプなのに、今日はフレイヤ様に見られているから手加減なしで相当格好つけてますわね」


「そ……そうなのですか」


そう言われると、ちょっと恥ずかしくなる。


「顔も全く隠さず、ご令嬢達に見られることも全く気にもせず。このご令嬢達の黄色い声援にも気付いているのかしら」


「……そう、ですね」


「また立場を弁えないご令嬢の絵姿が届きそうですわ」


それは、つまり……カリナ様だけでなく、レオン様宛にも未だに縁談の話が来ているってことだろうか。

私は本当に婚約者として世間から認められていないのだろうな。レオン様にふさわしくないと思われているんだ。


「……不安に、なります」


レオン様は優しくて、いつも好意を分かりやすい程に示してくださっている。

でも、私より綺麗な令嬢や素敵な令嬢は沢山いて、私と言う婚約者がいても関係なくアプローチしてくる令嬢も沢山いて、その中からたった一人を見つけ出してしまったら、もう私には見向きもしなくなるんじゃないかって思う。

そうしたら心地好かった筈の沼で呼吸が出来なくなり、ずぶりずぶりと飲み込まれたまま、私は2度と浮上出来なくなるだろう。


「不安?何を仰っているのです!?」


「私は婚約者として役不足です。更にモテてしまったら、私はただのお邪魔虫です」


カリナ様が盛大に溜め息をつく。


「フレイヤ様。今のレオンお兄様は全てフレイヤ様中心の思考回路になってます。先程も言いましたが、今日頑張っているのもフレイヤ様に良いところを見せたいからです。結婚式の日取りだって、フレイヤ様に寂しい思いをさせたくないって言ってフレイヤ様の卒業後直ぐの日程で調整していますし。まあ、これはそんなこと言いながら自分が1日でも早く結婚したいからでしょうけどね」


「えっ!けっ、結婚式の日取り!?」


「ご存知ありませんでした?卒業後直ぐの夏の休暇時期に挙式するつもりみたいですよ」


そうなの!?

全然知らなかった……!

知らないの私だけ?お父様やお母様はご存知なのかしら。

寂しい思いをさせたくないって、この間私が寂しいと言ってしまったからだろうか。1日でも早く、結婚……。結婚をして一緒に暮らすようになれば、わざわざ会いに来る必要もなくなるから?


「お兄様の愛は重たい程押し付けていると思ってましたのに、こんなに伝わっていないなんて思いませんでしたわ」


……伝わってはいるんですけれど、ね。


「以前も言いましたが、お兄様がこんなに執着したことなんてこれまで無かったんです。今後もフレイヤ様以外の人に目を向けることなんて有り得ませんよ!?」


「は……はい」


カリナ様の迫力に圧されて思わず頷いてしまった。


「フレイヤ様がお邪魔虫だなんて!立場を弁えずにすり寄ってくるご令嬢の方がお邪魔虫です!……いや、レオンお兄様の方がフレイヤ様の寄生虫かもしれませんわ。宿り木としてどっしりと構えてくださいませ」


すぐ後ろで聞いていた友人2人がカリナ様の言葉にクスクスと笑っている。


「そっかぁ。卒業したら直ぐに結婚するのね~。勿論式には呼んでくれるんでしょ?楽しみだな~」


えっ。卒業したら直ぐの結婚は決定事項!?


「レオン様のこの格好良さを見られたのはフレイヤのお陰だったのね。納得。感謝するわ」


それを言われると恥ずかしい。


「でも、フレイヤ様が不安に思うっていうことは、つまりはレオンお兄様を失うのが怖いからですよね」


「あっ……」


そう、解釈、出来ますね……。


いや、そうなのだろう。


優しい婚約者も、今の幸せな時間も、失ってしまうのが怖いから不安になって寂しく思うのかもしれない。


「お兄様が聞いたら喜びそうですわね~」


人に言われること程恥ずかしいことはない……。

3人にからかわれ、もう何も言えなくなってしまい、両手で熱くなった顔を冷ましながら競技場を見つめた。


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