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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第3部
80/159

17.魔法戦

競技場には、先ず魔法戦に出場する者が全員立つ。

私もカリナ様も、私の友人も。

全員で潰し合いをし、制限時間を過ぎるまで残れれば次の本戦へと出られる。


昨年は竜巻を起こしたけれど自滅してしまったから、同じ失敗はしないように慎重に行く予定だ。


審判の先生の合図がかかり、様々な人が魔法を繰り出してくる。


私は一先ず防御魔法を掛ける。

火魔法や水魔法、風魔法、氷魔法と、あちらこちらから魔法の攻撃が飛んでくるが浮遊魔法を使い軽く躱しながら、比較的空いているスペースへと移動していく。固まっていると狙われやすいので、誰がどこに向かって魔法を繰り出しているのかを観察しながら避けていく。


すると、周辺に蝶が飛び交っているのに気が付いた。それもかなりの数だ。誰かの何かの魔法であろうと思うので、触れないよう避けることにした。


(綺麗な蝶だけど……怪しい)


様々な色で、様々な大きさの蝶が美しく舞うように飛んでいる。戦いの場であるのに、とても華やかな競技場へと変身していた。


次第に人が倒れ出した。力が抜けるようにずるりと一人、また一人と伏していく。

倒れた者の様子を見ると、手足が震えているのが見えた。


(痺れてるの……かな?)


蝶が何かを撒いているのかもしれない。

ちょっと怖くなり、防御魔法を強めに掛け直した。


気付けば辺りには倒れている人ばかり。そして、その中央には納得の美しい人が、服の花に蝶を纏わせ立っていた。


「この蝶達は、カリナ様の魔法ですか?」


「あら、フレイヤ様!さすが、私の魔法を防御されているのですね!」


成る程。魔力の高いカリナ様の魔法を完全に防御できる人は少ないだろう。初めは防御出来ても、蝶はずっと何かを撒き続けている為に、しばらくすると耐えられなくなりまた一人と倒れていってしまう。


……うん。

防御魔法に魔力を使うことを優先しよう。


美しいものには棘があるというが、美しい人には毒があるようだ……。可愛らしく微笑む美しいカリナ様には、皆を次から次へと倒していく蝶が飛び纏っていて、まさに妖艶な魔女の姿だった。


その姿に背筋がゾクリとして、私は本戦でカリナ様と対戦することになっても勝てるだろうかと少し不安が過ぎる。


辺りを見渡すと、私同様に魔法での攻撃を止め、防御に徹している人が10人程残っている。制限時間まで魔力消費を抑えるためにこのまま防御して残る選択をしている様だ。


しかしカリナ様の魔力はやはり強いようで、防御していてもじわりじわりと蝶の撒く何かが体を犯していき倒れてしまう人もいた。結局審判の先生の終了の合図が鳴った時まで残ったのは全員で7人だった。


倒れてしまった方が全員競技場の外に運ばれていく。先生がカリナ様に何を撒いたか問い、「神経毒を撒きました」とにっこり笑顔で答えていた。


……うん。怖い笑顔。


比較的軽傷の方々はその場で治癒魔法を受け、症状が酷く出ている者は医務室に運ばれていった。私、魔力が高くて良かった……。


そして残った7人は本戦のトーナメントの抽選をして、競技場から一旦降りた。予選での戦い内容から、カリナ様はシード枠に入った。


一応目標としていた本選出場を達成出来てほっとする。魔力もそこまで消費せずに済んだ。カリナ様がかなり人数を絞ってくださったお陰で、最高でも3回戦うだけだ。


しかし……しかしなのだ!


抽選の結果、私は昨年準優勝された魔法科の3年生の男性の方と早速対戦することになってしまった……!昨年優勝された方は卒業されているので、つまりは優勝候補者だ。

何と言うくじ運……。

いや、もはや本選に残った方は皆魔力が高い人ばかりだし、強い人なのは当たり前で、勝ち進めばいずれ対戦するのだからそんなことを言っても仕方ないのだけど!



そんなことを考えながらも、少しの休憩を挟んで本選が始まった。


優勝候補者との対戦。

仮装は吸血鬼のようだ。マントではなくコウモリの羽を背から生やしているのは、風魔法の影響を受けづらくする為だろうか。黒と紫のダークでシックな装いなので赤色の瞳が映える。


審判の先生の合図が掛かり、試合が始まる。


さあ!……と、魔法を繰り出そうと思った瞬間、私の左右に大きな物が現れた。はっとして、浮遊魔法を使い後ろに飛び退いた。後ろに下がったことで左右に現れた物が何か分かった。棺桶だ。吸血鬼だからか……成る程。棺桶に閉じ込めて早々に勝負を着けようとしたのかもしれない。

しかし、避けれたと思ったが棺桶は私に向かってきた。


(逃げても追ってくるのね……!)


棺桶に追いかけられるとか、縁起が悪すぎて怖い!ただ逃げては魔力を消費するだけだ。

逃げながらも相手を追い詰めなければ。


相手に気付かれないように透明のシールドで囲んでいく。浮遊魔法を使い逃げながらなので、シールドを張っていくのに少し苦労したけれど、何とか囲めたところで、追いかけてきていた棺桶に氷魔法を掛けて固め、動きを止める。


そこで土魔法で地割れを起こす。ゴゴゴッという音と共に周辺がグラグラと揺れ、相手の足元の競技場とその下の地面がパッカリと割れ、足場が無くなり相手は下に落ちていく。

直ぐにコウモリの羽を羽ばたかせて飛び、地割れの中から抜け出そうとしてきた。

相手の周りにドーム型に張っていたシールドの形状を変化させ、地割れから出られないようにシールドの蓋をする。


魔法を使って地割れから抜け出そうとするのを、シールド強化と地固めで防ぐ。


(このまま閉じ込めれば……!)


……と、思っていたら突然バンッと言う音と共に目の前が真っ暗になった。


「えええっ!!!」


思わず出た声がすぐに跳ね返ってくる。これはつまり……狭い空間にいるということか!?

両手で辺りを探ってみると、すぐにペタペタと壁に当たり形状を確認出来た。


……うん。恐らく棺桶に閉じ込められた。


棺桶は氷魔法で固めた筈だった。氷魔法を解除されてしまったのか。私が地割れとシールドの魔法に魔力を集中させてしまったからかもしれない。3魔法同時使用は私には無茶だったのかしら。

このままでは負けてしまうので魔力の出し惜しみをせずに、風魔法で風の渦を体の周りに発生させ、棺桶をこじ開け脱出した。


そのまま足を着地させて……あれ?


足元の感触が硬い競技場じゃない?


土と、草……


「あああ────!?」


着地した場所が場外だった。

競技場から落ちてしまったら負け。

つまり、私の負け……。


棺桶に入れられたまま場外へと移動させられていたのか!?


審判の先生のコールで勝敗が決まった。

私の大会は、終わってしまった。




ガックリと肩を落とし競技場から離れると、レオン様が近寄ってきてくださった。


「おつかれさま。惜しかったね」


「……まだまだですね。もっと魔法戦での戦い方を勉強したいと思います」


「結構良い戦いだったと思うよ」


「ありがとうございます」


優しい笑顔に癒される。

……いや、甘えてはダメ。反省すべき点と今後の課題をハッキリさせ、もっと精進せねば!


「フレイヤー!」


聞き覚えのある声に振り返ると、ルイーズがこちらに向かって走って来てそのまま私に抱きつく。今日も凛々しい騎士服姿。仮装っていうか、ルイーズの定番の正装じゃないかしら。


「ルイーズ!冬の休暇の時以来ね!」


「惜しかったな~!でも頑張ったんじゃないか。魔法も安定していたし。おつかれさま!」


「ありがとう。ルイーズも頑張ってね」


「私を応援して良いのか?婚約者がヤキモチを妬くぞ?」


隣のレオン様を見れば……無表情?


「……何故ルイーズが抱きつく?」


「え~。女同士ですよ~」


「……アカデミーだし、人前だし、俺は我慢しているのに」


「可哀想ですね~」


あああ~。

挑発するようなことをわざと言っているのかしら。ルイーズはぎゅうっと強く私を抱き締めてレオン様に見せつけている。


バチバチとにらみ合いをする2人。


……仲が良いなぁ。やっぱり私の方が妬いてしまう。


「私と対戦するまで負けないでくださいよ?」


「フレイヤの前でみっともない姿はもう見せない。今年は本気で優勝を取りに行く」


「優勝は私が頂きます」


ルイーズが自信満々に宣言し、妖しげに笑う。

レオン様はルイーズに対してご友人に接するかのように素の姿を見せている気がする。私に対してとはちょっと違う。


やっぱり妬いてしまい、『私に対してとは違う』ということに、ツキンと胸の奥が痛くなった気がした。



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