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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第3部
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7.とっておき

「フレイヤ、明日はどうするの?」


友人と一緒に食堂でランチをしている。今日も勿論私は魚ランチ。寒い冬にピッタリの鱈のシチュー。野菜がゴロゴロと入っているのも食べ応えがあって美味しいし、何より熱くて体が温まる。


「明日?何かあるの?」


私の返答に友人2人が驚愕の表情を浮かべ、口も開けて令嬢らしからぬ顔をしている。


え……なんで?


「……貴女、もしかしてだけど……もしかしなくても明日が何の日か知らないとか?」


「……何の日?何かテストでもあったっけ?」


冬の休暇が終わってから直ぐに行われた前期試験は先月無事に終わったし、何かあっただろうかと記憶を探るけれど、何も思い付かない。


しかし友人は私の両肩を強めにがしりと掴み、顔を近づけてくる。


「明日、レオン様の誕生日でしょ!」


……ん?誕生日?

レオン様の?

明日?


「えっ……え──────!!!!」


「知らなかったんだ……」


「うそっ!うそー!明日!?えっ、どっ…どうしよう!何も…プレゼント、何も準備してない!?明日!?」


もう頭は真っ白で、パニック状態。

シチューや鱈より白いかもしれない。


「何でもっと早くに教えてくれなかったのー!」


半泣き状態で友人を責める。

いや、友人が悪い訳ではないことくらい分かってはいるのだが、思考が働かない今はとりあえず嘆きたいのだ。


「……婚約者だし、知ってるかと……」


婚約者なのに知らない!

私って本当にダメダメだ……


「ってか、何で2人は知ってるのー!」


「レオン様ファンなら皆知ってるわよ。毎年多くの令嬢がプレゼントを渡す為にレオン様を探し回るのに、驚くほど上手に身を隠して逃げ回っていらしたのよ。プレゼントを渡せることが出来た令嬢は殆ど居なかったとかっていう噂」


……さすが、レオン様。魔法を駆使して逃げ回ったのだろうな。


そう。この友人、エレナとレベッカはもともとレオン様のファンだった。いや、今もか。

レオン様と私が親しくなった時はかなり羨ましがられたけれど、婚約者となってからは僻まれることも無く、むしろ私のお陰で会話することが出来たと感謝されたぐらいだった。


「まあ、今年はフレイヤと婚約もして、プレゼントを渡す令嬢もそんな居ないだろうし、居たとしても堂々とプレゼントを断るだろうけどね」


……もし、誰か渡す人が居て、たとえ受け取らなくても何をプレゼントしようとしたか分かって、婚約者の私のプレゼントと比べられたら……幻滅されたら……


(ど……どうしよ~……)


「だ…大丈夫?」


「フレイヤ、顔が真っ青……」


心配そうに友人2人は私の顔を覗き込む。相当酷い顔をしているのだろう。


あと、1日で、何が出来るの……?


食堂をキョロキョロと見渡す。

レオン様は姿が見えないから、多分殿下と個室を使われているだろう。


(よし!)


レオン様に見られていないことを確認して、窓辺の席でご友人とランチをしているカリナ様を見つけ、素早く近付く。


「カリナ様、お食事中に申し訳ありません!今、少し良いですか?」


「あら、フレイヤ様。構いませんけど、どうされました?」


いつもの可愛らしさの残る美しい笑顔で応えてくださった。


「あの…明日、レオン様の誕生日って本当ですか……?」


「あら、フレイヤ様ご存知なかったのですか?そうですよ。明日はお兄様の18歳の誕生日で、成人の仲間入りです」


やっぱり、誕生日なんだ……。しかも、成人という大切な節目の年。

どこかで友人が間違って覚えていてくれたらと期待したけど、ダメだった。


「お恥ずかしながら、先程友人に教えて頂き……あの、レオン様って、何が喜ばれるのでしょう?好きなものとか、反対に嫌いなものとか教えてくださいませんか!?」


もはや必死だ。婚約者のクセに何も知らないという恥を忍んで、妹君に教えを請う作戦。


「ふふふっ!お兄様はフレイヤ様にお祝いしてもらえるなら、何だって喜びますよ。これまで何にも頓着してこなかった人なのに、フレイヤ様には物凄い執着してますから。嫌いなものも特には無い筈……強いて言うなら、フレイヤ様以外の女性が苦手ですかねぇ」


カリナ様の言葉に顔が真っ赤になったのが分かった。側で聞いているカリナ様のご友人達にもニコニコとした表情を送られる。

年下に微笑ましいものを見るかの様な表情をされるのは、余計に恥ずかしい。


「明日ですもんね。何か買うにも時間がありませんしね……何かご馳走されるなら、嫌いな食べ物は何も無く何でも食べるので、それこそスイーツも食べますし、何を振る舞っても隣にフレイヤ様が居るだけで喜びますよ」


何だか居たたまれなくなってしまい、顔の火照りもそのままに、カリナ様にお礼を伝えて、友人の待つ席へ戻った。


「顔、真っ赤だけど?さっきまで真っ青だったよね?」


「……触れないで」




ランチを終えて食堂を出たところで、レオン様のご友人の方とバッタリと会った。


「あっ!フレイヤちゃん!」


「こんにちは……えっと───」


そう言えば名前知らない……。


「ショーンだよー。レオンが自己紹介させてくれなかったもんねぇ」


「ショーン様、失礼いたしました!」


「いいの、いいの。レオンの過保護のせいなんだから。よろしくねー」


過保護……思わず苦笑い。


「さっき、食堂でカリナちゃんとコソコソと何か話してなかった?」


ドキリ。


「み…見てました?」


レオン様のご友人に見られていたとは……レオン様にも実は見られていたのだろうか……

見られていないことを祈る。


「フレイヤちゃんもカリナちゃんも目を引くからね~」


え……私もですか?レオン様の婚約者として目を引いているのでしょうか……


「レオン様にも見られてしまったのでしょうか……?」


「いやぁ~、レオンは殿下と個室で騎士団の入団試験について話してたみたいだから、見てないよ~」


「よかった……」


そう言えば入団試験がもうすぐだったな。見られていなくてホッとした。もし見られていたら、ショーン様の様にこうやって聞かれたかもしれないから。そうしたら不器用な私は適当な言い訳なんて思い付かない。


「何で?レオンに秘密にしたいことでもあるの?」


とても好奇心旺盛に食い付かれてる……?


「あの……明日、レオン様の誕生日だと知って、カリナ様に何が喜ばれるかを教えてもらおうと、話を聞いていたのです」


結局私が恥ずかしくなる話を聞いただけだったけど。


「ああ、そう言うこと!なら、とっておきのプレゼントを教えてあげるよ!」


とっておきの、プレゼント!?

今の私にとって、なんと言う魅惑の言葉!!


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