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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第3部
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3.お披露目

お披露目当日。


続々と親族が集まって来て、俺の隣にはフレイヤが寄り添ってくれ、和やかな雰囲気で挨拶をしていく。


ヒューゴ様がリーズ公爵邸で「怖いくらいに」と言っていたので、多少は身構えてはいたのだが、リーズ公爵家の魔女は穏やかそうな性格の方ばかり。皆がフレイヤやエミリー様の様ににこやかに笑顔を浮かべている。

そして宝石のように綺麗な青色の瞳と、ぷっくりとした唇。ここまで皆が同じ特徴を持っていると言うことは、ソフィア様もそうだったのではないかと思う程。



「始まりの魔女が創ったこの星は、サイズが地球の10分の1位らしいのだけど、小さいと周りの天体を引き付ける引力が地球よりも小さくなるから、重力が今より小さくなる筈なんだ。そして重力が小さいと筋力が必要なくなり弱くなって、体が軟体化してしまう。でも私達の体は全くそうはなってはおらず、重力は地球と同じだ。また、星が地球より小さいと、気体を引き付けておく力も小さくなる。気体を引き付けられないということは空気が希薄もしくは無くなり、同じように水も無くなるので、生物の生命維持が不可能な筈なんだ。始まりの魔女の中でもこの星を創ることを考えたソフィア様は、そこも計算して星を創ったのだと考えられる。科学も物理も今よりも解明されていないずっと昔のことなのに、そこまでの広く深くそして確かな知識と想像力、それが出来てしまう高度な魔法技術、それは本当に素晴らしく尊敬しかない!」


「……いやぁ、本当にそうですね」


ソフィア様の素晴らしさについて力説してくださったのだが……途中から理解が追い付かず、内心すみませんと言った気分だ。取り敢えず笑顔を返しておく。


「ロイおじい様は研究者で、お若い頃は王立アカデミーで教師もされていたくらいとても詳しくて、そして熱量が凄くて話し始めると止まらなくて……レオン様、吃驚されましたよね」


「そうよ。貴方、もうちょっと抑えてください。ごめんなさいね、レオン様」


「いえ、大変貴重なお話で勉強になります」


先々々代公爵夫妻とお会いして、ロイおじい様の迫力に圧倒された。お二人は100歳を越えているだろうに、まだまだ元気そうだし、クロエおばあ様に関しては全く老いを感じさせない。


「ロイの新しく執筆した天文学の書籍はとても面白かったわ」


「お母様ったら、そんなこと言ったら主人がまた話し出して止まらなくなるから止めてください」


先々々々代公爵のエレナおばあ様はロイおじい様の書籍を全て読まれているらしい。お二人とも大変勉強熱心で、知識の吸収が好きなのだとか。この領主館で暮らしていた頃は麓の町にある大図書館の館長も勤めていたとか。

エレナおばあ様のご主人はもう亡くなっており、今はお一人で暮らしているそうだ。



「フレイヤー!!!」


俺の視界に全く入らない下の位置から声がし、俺の隣に寄り添うフレイヤが体勢を崩して俺の体にトンとぶつかる。咄嗟にフレイヤの体を支え足元を覗けば、小さな少年がフレイヤに抱きついていた。


ピクリと眉が動く。

小さいとは言え、男に抱きつかれるのは気分が良いものではない。


「マシュー!久し振りね!」


少年の視線に合わせてしゃがみこみ少年の頭を撫でるフレイヤの首に、少年は巻き付くように手を伸ばし抱きついてフレイヤの頬にキスをした。


(抱きつくだけならまだしも、キスまでっ!!)


キスした後、再び強く抱きつき、少年は俺を見てニヤリとした。


(当て付けか!!!)


子ども相手にとも思うが、こんな風に挑発されてただ黙っているのも癪だ。


しゃがんでいるフレイヤの直ぐ後ろにしゃがみこみ、後ろから手を伸ばして顎を取り横を向かせ、少年がキスした頬にキスを上書きする。

少年がそれを見てムッとした表情をしたので、笑顔で返しておく。


「えっ!なっ……!れ、レオン様!?」


急に俺にキスされて顔を赤くして動揺しているフレイヤの肩越しに、少年と睨み合う。


「あら~、さすがアナベル様の直系ね。顔だけじゃないわ!」


「本当に。情熱的なのねぇ。お会いできて安心したわ」


エレナおばあ様とクロエおばあ様の会話が背中から聞こえたが、目下、この少年から目を離す訳にはいかない。


「マシュー!もう諦めたらどうだ?」


「いやぁ、アカデミーでの噂を色々聞いたけれど、あのレオン様がこうも情熱的になるとは!しかもそれがフレイヤに対して」


少年の背後から声が聞こえてきて見上げれば、壮年の男性と若い男性、それと……若い女性?


「アンドリューおじ様!それにオリバーとルイーズも!」


不貞腐れながらもフレイヤからマシューと呼ばれている少年がやっと離れたので、フレイヤの手を取り立ち上がらせる。


「アンドリューおじ様は、カミーユおばあ様の弟の息子でタンカーヴィル伯爵なんです。そしてその息子のオリバーと、この子がマシュー。それから男装していますけれど、娘のルイーズです。私の再従兄弟にあたります」


女性で合っていた。

ルイーズは顔立ちこそ綺麗で女性に見えるのだが、格好が騎士のような服装だ。


タンカーヴィル伯爵一家に挨拶をする。マシューにだけはプイッと顔を背けられてしまったが。

怒ってはいない。フレイヤに心の狭い男と思われたくないので、笑顔で余裕を見せる。

まあ、そう思っている時点で心は狭いのだろうな……。


「オリバー、今日奥様は?」


「めでたく妊娠してね。気分があまり良く無いから今日は来てないよ」


「まあ!おめでとう!」


「ありがとう」


そう言えば、以前アリーチェ王女殿下にソフィア様の家系は少産で、魔女ばかりが生まれると聞いた。カミーユおばあ様の弟の前タンカーヴィル伯爵が生まれたのは本当に希なことだったのだろう。

そしてオリバーがソフィア様の家系でありながらアリーチェ王女殿下の婚約者候補にならなかったのは、結婚していたからなのだろうな。


しかし、直系でないと子どもは3人も出来るのか。魔力が弱まったからだろうか。

アナベル様の家系のうちは、比較的多産だけど魔力が弱いと言うわけではない。

魔力の質が関係しているのだろうか。


「ルイーズは今、王立アカデミーの騎士科の1年生ですよ。レオン様の後輩になりますね」


「騎士科に進学して早々、2人の噂が嫌でも耳に入ってくる。基礎科の頃はレオン様にキャーキャー言ってたご令嬢達ばかりで騒がしかったけれど、騎士科になれば男ばかりだから煩くないだろうなんて思ってたのに、食堂の騒がしさったら無いよね~」


結構ズバズバ言うタイプだな。


「俺も意外でしたよ!仮装トーナメント大会でのレオン様は全然表情が変わらず、冷静に対戦相手を倒していっていましたし。マシュー相手にこんな風になるとは思いませんでした」


「仮装トーナメント大会ですか?」


オリバーも王立アカデミーに在籍していると言うことか。


「あ、覚えて無いですか?俺、2年前に準決勝で当たってますよ」


「あ……そう、でしたか」


全然覚えていない。2年前なら、決勝で殿下にわざと負けた時か。準決勝……


「負けた上に記憶にも残らず、ダサいな~俺」


「1年の時はとにかく夢中で対戦相手と戦ったので……すみません」


「ダサっ!オリバー情けないよ!うちは騎士の家系だぞ!」


ルイーズが騎士科で服装も言葉遣いも男っぽいのは、騎士の家系だからなのか。


「レオン様が騎士科に入る前の2年生の時はちゃんと優勝したぞ!」


「1年生の時は負けたんでしょ」


「それは仕方ない!今の騎士団第一中隊隊長がまだ在籍していたんだから。あの人には勝てないよ。自領の騎士でしかない俺が勝てるかよ」


「情けない」


「お前もどうせ負けるよ。今年はエドワード殿下だっているんだから」


「いいえ!優勝してみせます!」


なかなかの気迫。

でも殿下は力が強いから、男性に比べ線の細いルイーズでは力負けしそうに見えるが。


「そうか!ルイーズは今年の仮装トーナメント大会でレオン様やエドワード殿下と対戦する可能性があるのね!それは楽しみだわ!レオン様、頑張ってくださいね!」


キラキラした目をするフレイヤ。可愛い。


「ありがとう」


「フレイヤは私よりレオン様を応援するのね。親族として悲しいわ」


「あっ……ルイーズも頑張ってね!」


「ルイーズなら負けないよ!ルイーズは強いんだから!レオンなんて顔が良いだけの男だろ!」


……マシューめ!!!


思わず睨んでしまったのは仕方ないと思う。



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